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アニメ業界ウォッチング第30回:「監督」と「演出」は、職業的にどう違うのか? 鈴木利正インタビュー!(■)僕は『輪廻のラグランジェ』の公式ライターだったので、鈴木監督とは、よく顔をあわせていました。
その鈴木監督が『傷物語』の演出を担当していると知り、昨年末にご連絡して、ようやく取材が実現しました。
ちょうど、本日開催の「ラグりん祭り」にお呼ばれしたのですが、あまりに仕事が立て込んでいて……監督には、失礼をしてしまいました。
【懐かしアニメ回顧録第27回】シンメトリーの構図と舞台装置が明らかにする、「帝都物語」と演劇の相関関係(■)
アニメに復帰しはじめた1991年に、たまたまVHSで観た『帝都物語』を取り上げました。
翌年が『ジャイアントロボ』、1994年が『マクロスプラス』ですから、あきらかにアニメが面白くなりはじめた時期。世間的には『セーラームーン』から『エヴァ』への端境期で、何度目かのアニメ・ブームが胎動していたころです。
記事の内容としては、構図と仕草なのですが、どちらにも絞りきれない文章になってしまいました。あまりにも、切り口の多すぎる作品なので……。
本当は、加藤が術をつかうとき、左手を大きくカメラに向けるカットに触れたかった。普通、左手がカメラに迫るまでを作画するところですが、手はカメラの前に固定されていて、加藤の体がズーム・アウトして、ぐーんと後ろに下がるのです。そのカットが、アニメの撮影方法をいかした異様さ、不自然さを出していて、白眉なのですよ。
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男児ポルノ画像10万点 神奈川県警など6容疑者逮捕(■)
さみだれ式に情報が出てきているけど、NPO職員、小学校の臨時教員、大学のダンス部所属で“ミスターコンテスト”にも出場経験あり……と、容疑者のプロフィールや手口が、ここまで明らかになった【児童ポルノ】事件も珍しいだろう。
本来このような、児童への【性虐待記録物】を取り締まる法律だったはず。今回は、加害行為を隠しカメラで撮影していたそうなので、まさに「性虐待」の「記録物」だろう。
性器が映っていようがいまいが、一般人が見て興奮しようがしまいが、児童への性虐待があった事実を重視すべき。
この事件の異様さを知れば知るほど、いきなり秋葉原で合法的に売られているAVを選んで「児童ポルノだ!」と指摘する滑稽さが、さすがに分かるだろうと思う。そんな分かりやすいところで、売られているわけがない。
容疑者たちは、NPO法人のボランティアで子供たちをキャンプに案内したり、教師として食事をごちそうしたりする「善人」だった。
いつも、そう。東小雪さんの手記『なかったことにしくたない』でも、我が子を性虐待した父親は、地元で名士と言われるような有名人だった。
イギリスでも昨年、サッカー選手がコーチに性虐待されていた事件が公になったでしょ? 映画『スポットライト 世紀のスクープ』を観れば、すごい数の聖職者が性虐待していると分かる。大人社会で信頼されている者ほど、要注意……という事態になってしまっている。
「私はこのメーカーの、このAVがワイセツだと思います」と呑気なことやっている人たちは、お気楽で結構なことだ。社会の中で「子供たちにとって、良い大人」として振舞っている加害者と、対峙しなくてすむんだから。
「権威」や「良識」を疑い、その奥底に澱んだ汚泥を見つめるのは、とても勇気のいることだ。
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だからいつも、児童“ポルノ”の問題は、“ポルノ”を消費する男性の問題として片付けられてしまう。「未成年の女子に欲情し、彼女たちを搾取する成人男性」といった通俗的イメージに押し込められる。
今回の「男児を性虐待する成人男性グループ」という図式は、「女子高生の制服に群がる援交オヤジ」の短絡イメージなんかより、よほどエグい。生々しい。
だから、「今回の事件は特殊」で片付けられかねない。たった今、別の立場ある大人たちが、児童を同じ目にあわせているかも知れないのに、その可能性を考慮する人は少ないだろう。
なぜなら、通俗イメージを頭に思い浮かべて、「嘆かわしきかな、日本の男」と、浮世離れした嘆き節を繰り返していたほうが楽だから。
僕は無力だが――『スポットライト 世紀のスクープ』は、誰にでも観てもらいたい。森田ゆりさんの『沈黙をやぶって』が図書館にあったら、騙されたと思って、読んでほしい。
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