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2016年12月31日 (土)

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【懐かしアニメ回顧録第25回】物語の深層をすくいあげる「十兵衛ちゃん -ラブリー眼帯の秘密-」の「対決の構図」
T640_7186092016年、最後の記事となりました。
とても初歩的なことを書いていると思うんですが、「何を」「どのように」見たのか、分析することが第一歩だと思います。
ファンの映画レビューならまだしも、プロの「映画評論」が感情移入(共感)できたかできないか、泣けたか泣けないか、論者の好みで語られていることに危惧をおぼえます。


レンタルで、ジョージア・イギリス・フランス・ドイツの合作映画『独裁者と小さな孫』。
Main02_large架空の国を舞台にした、寓話的な映画。監督のモフセン・マフマルバフはイラン出身でありながら、イラン政府から何度も暗殺されかけて、生々流転の暮らしを送っている。
その監督の身のうえを顧みると、どこか童話めいた老大統領と孫との逃亡劇に、底知れぬ切実さが加わる。大統領と孫は、旅芸人のフリばかりか、カカシに化けて革命軍の追跡をかわす。
バックボーンの解説のほとんどない、単純化されたシチュエーションの中でこそ「報復の連鎖をとめろ」といったセリフが、不思議な重みをもって聞こえる。


そして、ギックリ腰の鎮痛剤が効いているうちに吉祥寺オデヲンまで歩き、レイトショーで『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』、三回目。
1482112576194興行収入は第3位に落ちたし、客は10人程度。これぐらい閑散としていたほうが、映画の雰囲気にマッチしている。
キャリー・フィッシャーの若すぎる死も、この寂しいムードに花を添えている。エピソード8は撮影済みだそうだが、『ローグ・ワン』における彼女の役割は、狙ってできるものではない。天の配剤だ。

三回目を観ていて気がついたのは、帝国軍内の会話で「デススターの存在が公になれば、数千の星系が寝返る」といったセリフがあったこと。これは、第一作のオープニング・クロールから削除された「帝国が次の戦いに敗れれば、一〇〇〇以上の太陽系が反乱同盟軍に寝返り……」を、復活させたものだ。
デススターの建造や反乱同盟の行動には、常に政治的思惑がからんでいるのだ。ギャレス・エドワーズはルーカスの目撃した銀河を、正確に観測している。

もうひとつ、ジンの回想シーンに出てきた惑星は、コルサントだろう。窓の外に高層ビルが見えている。政治体制が変わっても、元老院も首都機能もコルサントから動くわけがない。
それもまた、「ルーカスの見た銀河」の再現だ。だが、それは「原作の設定に従う」こととは違う。「原作者の感じたリアリティを共有する」「現在の目でリアリティを捉えなおす」に近い。
だから、『ローグ・ワン』はノスタルジアに甘えていない。


1977年の第一作公開以後、ソ連の崩壊があった。アメリカ同時多発テロがあった。米軍のアフガニスタン侵攻があった。
『ブラックホーク・ダウン』や『アメリカン・スナイパー』、『ハート・ロッカー』のような、自国の正義を疑う映画群があらわれた。そして、『ゼロ・ダーク・サーティ』のグリーグ・フレイザーが、『ローグ・ワン』の撮影監督を務めている。
2016年のアメリカ映画が描かなければならない苦悩を、『ローグ・ワン』は一手に引き受けた。その愚直といえるほどの誠実さゆえ、甘美なノスタルジアに酔いたい人からは嫌われるだろう。

『ローグ・ワン』は40年前にキャリー・フィッシャーによって発音された“HOPE”というセリフを、最初は皮肉として使いながら、やがてアイデンティティに高めていく。「誰かに届いただろうか?」「きっと、誰かが受けとってくれただろう」……宛てのない“HOPE”は他でもない、われわれ自身が、40年前に耳にしているはずなのだ(“You're my only hope.”)。
いま、再び“HOPE”が必要な時代になっていないだろうか? 「スター・ウォーズなんて、ご都合主義のカタマリのようなものなんだから……」「娯楽大作なのだから、難しい理屈はおいといて……」 本当にそうなのだろうか? ファンタジーは、頭のうえをフワフワと漂っている空想的なことさえ描いていればいい? その矮小化はジャンルをせばめ、自らを貶めることにつながるように思える。 

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