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2016年12月 6日 (火)

■1206■

レンタルで、スペイン映画『マジカル・ガール』。
2700x393日本の魔法少女アニメが出てくる……と、話題になった映画だが、それはディテールにすぎない。ディテールにすぎないのだが、フックとしてはうまく機能している。映画には、確かに「魔法少女」が登場する。しかも、2人。
ビジュアル的に視認できる魔法少女と、文芸的な、暗喩としての魔法少女。その2人が、「魔法」を行使することによって、物語を起動させる。

宝石店を襲い、金品を奪おうと決意した男が、路上から石を拾う。その石で、夜中の宝石店のショーウィンドウを割ろうというわけだ。カメラは、ショーウィンドウの内側から、フィックスで男を撮っている。さあ、いよいよ石を振り上げてガラスを割るぞ……というタイミングで、男の頭上からオレンジ色の液体がまかれて、彼がギョッとしたところで、シーンは終わる。
そのオレンジ色の液体は、誰がまいたのか? しばらく説明がない。時系列をズラしながら、関係ないように思われたプロットが、少しずつ寄り合わされていく。離れていたカットとカットが、パズルのピースのように、ぴったりとはまる。
映画のファーストシーンで、数学教師が「たとえ言語が異なろうと、2+2は4だ。絶対の真理だ」と言う。実は、そのセリフがすべてを言い切っている。どうにも引き返せない、なるようにしかならないシチュエーションを、冷淡に見せる映画。かっちりした構成に、機能的なカメラワーク……。

きわめてニヒリスティックな映画だ。しかし、構成もカメラも、とてもよく計算されている。こういう映画は、好みとは関係なく、観ておいたほうが良い。
あと、衣装がいい。豪華というわけではなく、たとえヨレヨレの服でも、とても品のいい衣装を選んでいるので、そこも良かった。


昨夜は、『RWBY』のメインスタッフ(Kerry Shawcrossさん、Gray G. Haddockさん、Miles Lunaさん)を招いてのウェルカム・パーティ。実は今日、3人にインタビューすることになった。
なので、挨拶ぐらいすべきだと言われたのだが、すみません、途中で帰りました。日本の関係者の皆さんが原作スタッフと接するパーティなので、それに徹していただいたほうがいい。
それと、ひとつ文句がある。あれだけ大勢の「関係者」がいるのに、なぜ初日舞台挨拶の取材に来たのが、僕とアキバ総研の担当者、たった2人だけだったのだろう? 昨夜のパーティに来た人の一割でもいいから、応援にきてほしかった。
もし、パーティに来た人、ひとりと話すたびに、『RWBY』の観客がひとりずつ増えていくのだとしたら、僕は全員と話すよう、努力したと思う。とにかく、もっと『RWBY』にヒットしてほしい。僕は、興味を持ってくれそうな友だちに、公式動画のURLを教えて、見てもらえるようメールしている。

いつも思うことだけど、酒の席で、なあなあで知り合った相手のご機嫌をとりつつ、「今度、おもしろいことしましょうよ」なんて空虚な会話に加わる気は、僕にはさらさらありません。
昨夜のパーティに来た人たちの中には、キャラクター名すら知らない人がいた。悪いけど、会社に言われて、お仕事として来たんでしょ? そういう人と名刺交換して、なにか作品にプラスになること、ありますか?

僕は、日本語版声優の4人の方たちから、愛情のこもった素晴らしいお話を聞けたので、それを原稿にしました。本当は、もうこれ以上、『RWBY』のインタビューは載せられない。だけど、作品のためなら、無理をしましょう。僕のキャリアは、そのために積み上げてきたんですよ。「俺様は、○○監督にインタビューした、偉いライターです」といばるためじゃありません。
作品に、ちょっとでも貢献する。そのために、雑誌やウェブに記事を書いてきたんですよ。記事を売りこめる、取材を持ちかけられる、依頼してもらえるようにしてきたのは、作品のためでしょ?


『ゼーガペイン』もそう、『マイマイ新子と千年の魔法』もそうです。作品の質がいいのに、ヒットに恵まれない作品には、かならず理由があって、どこかでボタンをかけ違えています。
それを嘆いても仕方ないから、1ページでも、一文字でも多く、作品のことを書く。良さを伝える。書かせてもらえるよう、交渉する。そのための、僕の命でしょう。
それが、50歳にもなって、いまだアニメを好きでいつづけることの意味ですよ。

この世界に不満があるなら、不満を感じなくてすむように改善する。具体策を考える。
「良くしよう」としなければ、良くなりません。みんなが「良くしよう」と真剣に考えたら、この世界は豊かになると、僕は信じています。

Una producción de Aquí y Allí Films, España. Todos los derechos reservados ©

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