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2016年11月28日 (月)

■1128■

アニメ業界ウォッチング第27回:プロデューサーという職業の抱える理想とジレンマ 松尾亮一郎インタビュー
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『この世界の片隅に』の制作プロデューサー、松尾亮一郎さんに取材しました。
『マイマイ新子と千年の魔法』で7年前に知り合いましたが、これまでの仕事歴や、仕事にたいする考え方をまとめて聞いたのは、今回が初になります。


レンタルで、友人から薦められた『最後の恋のはじめ方』と、『スリング・ブレイド』。
Mv5bmtq5mzg2odyxov5bml5banbnxkftztg殺人歴のある精神病患者を主人公にした  『スリング・ブレイド』は、なんとも言えない後味が残る映画だった。
アクション映画のようなタイトルだが、閑散としたアメリカ南部の町が舞台の静かなドラマ。
まず、閉鎖的な町の雰囲気に魅了される。主人公が仲良くなる少年が「ひとりになりたい時に来る」という沼にも、他人の深層意識をのぞきこむような、隠微な魅力がある。


それと、構図に絵心を感じる。ドラマを予感させる知的な構図で、必要以上にカットを割らない。
ファーストカットは病院の中で、患者たちが窓のほうを無言で見ている。ひとりの男が、椅子をひきずりながら、主人公の近くまで歩いていく。窓際で外を見ている主人公のアップ。隣に、男が座る。ロングからアップまで、ワンカットで撮っている。この静謐としたシーンの印象強さが、ラストカットで反復される。反復される理由は、映画を見てほしい。

途中、叙情的な音楽が多用されたり、善良なキャラクターが多く登場しすぎて、「精神病患者=純粋でいい人」風の甘ったるいドラマかと白けそうになるが、見終わったあとは、ちょっとイヤな気持ちになる。そのイヤさ加減が、ずっしりと心地よい。

冒頭、田舎町のしけたファストフード店の店員を、ジム・ジャームッシュが演じている。心憎いほど、気だるい、いい雰囲気を出している。どの役も、おもしろい俳優を連れてきているので、それだけでも得した気分になれた。


来年4月のオーストラリア旅行に向けて、ちょっとずつ準備をしている。
航空会社は格安な分、荷物の運搬費や機内食を有料にすることで、儲けを出そうとしている。6~7時間の飛行なら、食事は空港ですませたほうが絶対にいい。座席指定のために電話すると、さっそく800円の手数料をとられた。往復で1,600円だ。

11月の旅行では、飛行機の中で緊張して発汗してしまうのではないか……と、怖れた。
旅行直前まで、近所を歩いていても対人緊張のあまり腰痛になったり、夜中に不安感がこみあげてきて、体が緊張して足がつりそうになったりした。最悪の状態だった。
ところが、いざ空港についてしまうと、未知の場所へ旅立つ高揚感のため、緊張も不安も、ほとんど起きなかった。むしろ、日本に帰ってきてからのほうが、社会に対して圧迫感や不自由をおぼえる。日本には、嫉妬や近親憎悪が、うずまいている。誰もが誰かを責めたがっているというか……。

海外を通りすぎるだけの自分は、誰の目を気にするでもなく、欲求と目的がピタリと一致していた。自己肯定感に満ちていた。趣味だし休暇なんだから、ひとりで好きなように過ごして、楽しければそれでいい。人生全体を、趣味のように考えらないものだろうか。

(C)2000 Buena Vista Home Entertainment

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2016年11月24日 (木)

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モデルグラフィックス 12月号 明日発売
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●組まず語り第49夜
今回は、SMER社の“オーセベリ船”のキットです。
こういう、無味乾燥とした地味キットから、何とかして見どころを探しあてるのが、いちばん楽しいのかも知れない。「すずさん勝手に立体化計画」も、先月終了しておいて良かった……今月も連載があったら、「あの素晴らしい映画に対して、あまりにもチャチな連載」と、怒られそう。今月から、正常運転です。


友だちに自主映画の試写会に呼ばれた翌日、第7回三鷹コミュニティシネマ映画祭()。僕は、実行委員のドカン隊長から、片渕須直監督のトークショーの聞き手に指名されていた。
片渕監督の会場到着が16時で、その時間には打ち合わせが始まる。ということは、会場で『マイマイ新子と千年の魔法』は見ることができない。なので早朝、Blu-Rayで見ておいた。会場では、『アリーテ姫』のみ、35mmフィルムで見ることができた。

今までのトークショーは、自分で企画したり、いつも話している仲間と盛り上がって、ワンフェスやマチアソビで計画性もなく話してきたものばかり。今回は、ボランティアのスタッフの方たちがお茶を淹れてくださったり、ゲスト待遇なので、戸惑う。徒歩数分のところにある会場で、僕も客として行ったことはあるけど、まさかスタッフの皆さんが、こうまでしっかりしているとは思わず、何だか恥ずかしい気持ちになった。

片渕監督と一緒に、『マイマイ新子と千年の魔法』の岩瀬智彦プロデューサー、『この世界の片隅に』でも宣伝を担当している山本和弘さんも見えられて、時間が7年前に巻き戻ったような感覚になる。


トークの内容は、先月、実行委員会の方たちと綿密に話して決めてあったが、前夜、ドカン隊長から「声優のたちばなことねさんがお客さんとして来るので、飛び入り参加してもらいましょう」とメールがきて、とにかく40分以内に話を進めるのが、精一杯であった。
終盤ちかく、片渕監督が「『この世界の片隅に』のクラウドファンティングの原型は、『マイマイ新子』の署名活動がベースにある」とおっしゃって、面食らった。もちろん、その場では笑顔で返したが、自分から署名活動の話だけは、決してすまいと思っていた。

七年前の自分の未熟さ、粗暴さが想起されて、悲鳴が出そうになるからだ。
むしろ、劇場に直接交渉したり、貯金を切り崩してポスターを刷ったり、映画上映に携わったことのほうが実りある活動だったと思っている。僕だけではなく、全国で自主的に活動された方たちが『マイマイ新子』を延命させた(そういえば当時、浜松で劇場に働きかけた方が会場に見えられて、7年たって、初めてお会いできたのであった)。
劇場やイベントでの上映が増えつづけて、もう自分では追いきれなくなったし、追うのもやめた。いま、『この世界の片隅に』を誉めるさいの枕詞のように、『マイマイ新子』の名前が挙がる。DVDがレンタル店に並んだことも大きいのだろうが、どこの誰が見ているのか分からないぐらい、広く拡散する状態を望んでいた。いつまでも、熱烈なファンのみが中核にいる状態は、僕は好きではない。
これからも永遠に増えつづけるであろう、世界中の鑑賞者全員が、映画に命の薪をくべつづける。


どんな貧しい興行状態で上映された無名の映画でも、未来永劫、誰にでも鑑賞するチャンスが与えられている――その即応可能なアイドリング状態こそが、文化なのだと思う。
特定の映画タイトルを挙げて、ことあるたびに「歴史に残るクソ映画」などと決めつけている人を見ると、「何も分かってねえな」と苦笑してしまう。「クソ映画」なる評価は、いつでも誰かによって覆される可能性がある。その可能性を考慮しない、他人の秘めた未知の評価軸を尊重しない人間は、文化に見離されている。「好き/嫌い」「快/不快」といった曖昧な、動物的感覚の中で一生を終えるのだと思う。

ちょっとでも自分の気にいらない感想に出会うと、「本当は見ていないんだろう」と検証をはじめる人がいるが、それは自分を牢屋にとじこめることだ。
☆5点評価、百点満点評価など、分かりやすく目に見えやすい評価に固着すればするほど、自分の身動きがとれなくなっていく。
映画は、無限に解放されている。風のように自由でなければ、未知なる映画と出会うことはできない。変化の可能性に自分を泳がせておかねば、自らの価値観や美意識は、決してアップデートされない。


昨夜は「第7回三鷹コミュニティシネマ映画祭」の最終日だったので、イベント後、打ち上げImg_9792 パーティが催された。片渕監督はネットテレビに生出演するとのことで、サイン会を終えて、スタジオに向かった。打ち上げには、飛び入りでステージに登壇していただいた、たちばなことねさんが参加された。
帰り際、ドカン隊長が建物の出口まで送ってくれた。今はなき吉祥寺バウスシアターで『マイマイ新子』を上映していたときも、深夜に酔っ払って、ドカン隊長にタクシーに押しこめてもらったものだった。

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2016年11月22日 (火)

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昨日は、『RWBY VOLUME 3』日本語版のマスコミ試写。
今回は180分もあるので、ワーナー・ブラザースさんから案内をもらったときは「トイレ休憩をはさんでください」と、割とまじめにお願いした。だが、その必要はなかった。今回ばかりは、トイレに行っているヒマなどなかった。

軽い気持ちで試写会に行った『RWBY』に、涙するほど恋してしまい、強引に日本語演出の打越領一さんに取材を申し込んで、一年が経過した()。
『VOLUME 2』以降の日本語版は、実はすっかりあきらめていた。僕の交友範囲がせまいせいもあるだろうけど、『RWBY』を見た、面白い、ハマっているといった声は、ただの一度も聞かなかったから。では、どう面白さを伝えればいいのか、僕は言葉をもたなかった。

先月、上映・発売された『RWBY VOLUME 2』はアクションに脂がのって、ゴージャスで軽快なRwby_vol_3_soundtrack_art印象だった。今回の『VOLUME 3』は、原作・監督、そしてアクションを一手に引き受けていた創造主モンティ・オウム氏が「クリエイト・脚本」でしか、クレジットされていない。彼は昨年2月に亡くなってしまったから。

なので、「おそらく、いちばん面白いのは『VOLUME 2』であって、『VOLUME 3』は小粒な出来なのではないか」と、勝手に思い込んでいた。ところが、とんでもない。
『VOLUME 3』は、『スター・ウォーズ』でいえば『帝国の逆襲』。味方側の策はことごとく敵に利用され、仲間たちは傷つき、倒れ、ちりぢりになってしまう。ひとつひとつのアクションが今後の展開を左右するため、ずっしりと重たい。キャラクターひとりひとりが深く彫りこまれ、しかし陰鬱になることなく、逆境の中、沈黙していたキャラクターたちが、武器を手に立ちあがりはじめる。


『RWBY』の面白さは、『ジャイアント・ロボ 地球が静止する日』に通じる。
登場人物は、ほぼ全員が超能力者で、それぞれ得意技をもっている。主人公の上位には、かつて歴戦の勇士として名をはせた大人たちが位置している。今回、主人公のルビーの才能を見出したオズピン学長が、悪化していく事態のなかで、ついに武器を手にする。『ジャイアント・ロボ』でいえば、中条長官がひとりで大怪球に立ち向かうシーンだ。
絶体絶命の窮地に、いちばん戦いそうもない年長者が、あまりにも予想外かつ勇敢なスタイルで戦いに参加する……「熱い展開」ってやつです。「よくある」「お約束」と言ってもいい。だけど、この活劇が雪だるま式にスケールアップしていく高濃度な展開を、大手エンタメではまるっきり見かけなくなった。『RWBY』だけが着々と、シリーズ物の「お約束」を活用・発展させている。物語の濃度が「絵」に力をあたえ、以前とはさほど変わっていないはずのアクションが急速に重さを獲得していく……あいかわらず、「テーマ」はない。勧善懲悪だ。でも、だからこそ「展開」の強度が増す。

この面白さを、『RWBY』のファンのみが満喫しているとしたら、それはとてつもない喪失だと思う。この100倍、1000倍の予算をかけたハリウッドの超大作シリーズが出来ていないことを、四方八方からアイデアを尽くして実践しているというのに。
僕は『RWBY』のファンとしては、かなり薄いほう。だからこそ、「まったく見たことがない」人たちと、どうにかしてこの芳醇な果実を分かち合いたいと焦っている。
(C)2016 Rooster Teeth Productions, LLC.

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2016年11月21日 (月)

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レンタルで、スタニスワフ・レム原作の『コングレス未来学会議』。
Congress_main_large監督が、『戦場でワルツを』のアリ・フォルマンなので覚悟はすべきだったが、途中からアニメになったまま進行し、最後にまた実写に戻る。
アニメ・パートは「精神展開薬による幻覚」とされており、なかなかドラッギーで面白い表現。ただ、「おっ」と思わせられたのは、実写パートで主人公の子供が凧をあげているシーン。彼は、飛行場の近くで凧をあげて、その空に飛行機がフレーム・インする絶妙のタイミングを目撃しようとしている。
その「理想の映像を肉眼で見たい」欲求が、映画全体を修飾語のように包含しており、だから、アニメになっても面食らわずにすむ。

『バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト』のハーヴェイ・カイテルが、やせ細った老人の姿で出演し、それでも、歳に似合わぬ野太い迫力をかもし出していた。


悩んでいても仕方ないので、安いうちにオーストラリア・ケアンズ行きの航空券を買った。日本からの直通便、往復で6万円ちょっと。楽だし、安い。来年4月。

そのことを友だちにメールしたら、「オーストラリアへ行くなら、このサイトを見ておけ! これを知らないばかりに、家族行きのオーストラリア旅行がフイになったんだぞ!」と返事がきて、リンクが貼ってあった。
オーストラリアへ旅行する場合、ETASという簡易ビザを申請しておかねばならない。短期間の観光でも、必ず。この前のアルゼンチン行きで、僕が知らなかったESTA(電子渡航認証システム)に匹敵する罠が、しかけられていたのだ。

航空会社からも連絡が来ていたので、オーストラリア大使館ホームページで、ETASを申請しておいた。
印象としては、ESTAより面倒(旅行記に書いたように、ESTAの申請はデルタ航空の社員が代行してくれたのを、後ろから見ているだけだったんだけど、明らかに記入事項が多い)。
だけど、分からない英語はドラッグして検索するか、翻訳サイトで訳せば解読可能。本当に、便利な時代に海外旅行を始めたものだ。


そのオーストラリアのケアンズだが、友だちは正月に家族旅行するとのこと。
そうだよな……治安はいいし、高山列車やロープウェイ、日本語ガイド付きツアーはあるし……なんか、俺には向いてない、賑やかな場所なのかも。俺は「ハゲ、ヒゲ、メガネの中年アジア人」として旅行に行きたいのであって、旅先で日本人観光客に会うのは、まったく嬉しくない。「廣田恵介」であることを、やめるために行くので。

旅行の計画は、5ヶ月かけて練るとして、早くもプエルト・イグアスの街が恋しくなってきた。
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この、せっかく世界遺産の巨大な滝があるのに、町全体が観光にもたれかかってなくて、あまり器用でない感じ。夕方になると、物売りの子供、ジャグリングで小銭をかせぐ若者たちが路上にポツポツと現れる、うらぶれた雰囲気。ウド編かと思ったよ(イグアスの滝を遊覧ボートで遡行すると、クメン編)。
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中央広場でやっていた、この謎ダンスとかさ……撮った当時は、汗だくでバス・ターミナルを探していたので、たいして気にもとめなかった。一応、いくつか学校もあって、生活用品を売る地味な小売店もあって。だけど、退屈そうに路上に座りこんでいる親子が何組もいたりして、一体どういう暮らしをしてるんだろう?と、想像が向かう。
あの倦怠感が、じわりと味わいに転化していく。こうして、旅行で見たなんでもない風景が内在化されるというか、自分の血肉、いや贅肉として、僕の体重に加算されていくんだろうな。

(C)2013 Bridgit Folman Film Gang, Pandora Film, Entre Chien et Loup, Paul Thiltges Distributions, Opus Film, ARP

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2016年11月19日 (土)

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旅行から帰って見た映画は、ジャン=ピエール・ジュネ監督『ロング・エンゲージメント』、ロバート・ゼメキス監督『ザ・ウォーク』。
Thewalk1024x585後者は、ワールド・トレード・センターの間を綱渡りした大道芸人、フィリップ・プティのプロジェクトの、仲間集めから計画遂行までを淡々と記録した異色作。どれぐらい異色かというと、『ウィークエンダー』の再現ドラマかと思うほど。プロジェクトの準備をして、成功したところでバスンと終わる。ちょっとキスシーンがあるだけで、余計な人間ドラマは皆無といっていい。
まずは、そのソリッドな構成にしびれる。フィリップ・プティ役のジョゼフ・ゴードン=レヴィットが、画面に向かって終始、「俺はこのとき、こんな気持ちだったよ」と解説を入れる、ミもフタもない演出もいい。膨大なナレーションは、映画から物語を駆逐し、「綱渡り」の表現そのものだけを残そうと積極的になる。

事実、ついに地上417メートルで第一歩を踏み出すシーンでは、周囲の風景が消えてしまう。CGで作っているのだから当たり前のようだけど、1910~20年代のサイレント映画に逆行していくような面白さがある。映画が、大道芸と深く結びついていた時代へ。まるで、ハロルド・ロイドの映画みたいだよ。
『ザ・ウォーク』は、映画を見世物小屋の中へ、おごそかに返還しようとする。すべからく、映画を包囲していた物語性や文芸性は、霧のように消え失せていく。ただ、「高層ビルの間を綱渡りするハラハラドキドキ」だけが残される……とても爽快だ。


機内上映で見た映画は、『ファインディング・ドリー』『ゴーストバスターズ』(2016年版)『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』など。日本語吹き替えや英語のみ、あるいは音声なしで……10本近く見たはずなのに、忘れてしまった。

来年日本で公開予定の『Monkey King: Hero is Back』(西遊記 ヒーロー・イズ・バック)を、字幕ナシながら、すべて見られた。機内の小さな画面で見ても、「おーっ」とため息が出てしまう。
期待以上にすごいクオリティだったので、帰国してから海外版ブルーレイを買おうと思ったら、なんとDVDしか発売されていない。


時差ボケでもないのだろうが、夜中に目が覚めたり、午前中にフラリと眠ってしまったりしながら、次の旅行のことを考えている。「この辺りへ飛んでみようか?」と思いはじめた矢先、航空券が数万円で売られていて、焦る。値上がりしないうちに、入手してしまうべきなのか……。

僕は、旅行しているときの自分なら肯定できる。いつも、「何時までにここへ向かわねばならない」と、ミッションが決まっているから。遅れそうなら焦るし、余裕があるなら、ジュースかビールを飲んで、ぼんやりしている(それでも、次の行動はつねに決まっている)。
ミッションに追われているから、対人緊張しているヒマなどない。全身運動である水泳をしている間、うつ状態から脱せられるという話に、ちょっと似ている。

「我にかえる」という瞬間が、ほとんどない。なので、船に乗りたいと思ったら、「乗りたい!」「なんとかして乗る手段はないのか!」と、貪欲になる。「恥ずかしい」「みっともない」などと、自分を振り返ることがない。
確かに、「このお店は入りづらい」とか「こんな物を買ったらバカと思われるのでは」と躊躇するし、「うまく話が通じなかったら、どうしようか」と思案はする。でもね、日本の暮らしの中にいると、そうした戸惑いが何十倍ものダメージとして心に残る。ストレスも対人緊張も、環境が生み出しているんだ。

20代のころ、友だちが噛みしめるように呟いた。「人生が点ではなく、線になってしまうのが怖いのよ……」。「怖い」ではなく「つまらない」だったかも知れないが、あの言葉は真理をついていた。
(C)2016 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.

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2016年11月16日 (水)

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EX大衆 12月号 発売中
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●機動戦士ガンダム THE ORIGIN モビルスーツ・ヒストリー
記事の構成・執筆と、主題歌の森口博子さんにインタビューしました。
森口さんは同い年ですが、おおらかでキラキラしていて、本当に素敵だった。『ゼーガペインADP』の仕事でも、新居昭乃さんにインタビューできたのが嬉しかった。試写会で再会できて、なおさら嬉しかった。
やっぱり、同世代以上でステージに立っているような女性に、ドキドキします。

あと、今度の『THE ORIGIN』は月面でのモビルスーツ戦が傑出した出来ばえなので、いままで敬遠していた人も見てほしいですね。宇宙を飛ばず、月面の6分の1重力下で重々しい戦闘をしているので。


昨夜は、横浜STスポットにて、劇団ロロの『すれちがう、渡り廊下の距離って』。こんな小さな小屋での演劇は、本当に久々だ。
Web登場人物は、わずか4人。そのうちひとりが、映画『転校生』の話をする。男女がいれかわる、アレである。『転校生』のアイデアが、大きな伏線になっている。登場人物のひとりは映画の撮影をするために待ち合わせしているが、友だちは現れない。代わりに、通りかかった女生徒が「私が映画に出てあげる」と、代役を申しでる。
もうひとつは、男同士のストーリーだ。片方が、ケンカした彼女にメッセージを託す。その彼女は、舞台には登場しない。メッセージをあずかった男が戻ってきて、彼女の言葉をそのまま反復する。
つまり、舞台の外側に不在の男と女がいて、それぞれ実在の女と男が、性別を逆転しながら代役を演じる。演劇の中に、さらに劇を懐胎させる多層構造になっている。劇中劇より、もっとプリミティブな試みだ。

明らかにその場にいない人物を、その場にいる役者が演じる。「演じられている」とは、すなわち「存在しない」ことの証。存在しないからこそ、演じることによって「仮に存在させる」しかないのだ――その演劇の原理を強調すると、演劇それ自体が空疎化される。というより、演劇が内側から瓦解し、意味を失ってしまうのである。とてもエキサイティングな作品のはずなのだが、大量の笑えないギャグが、せっかくの試みを台無しにしている。
こういう小スケールの演劇は、観客と一緒に笑えればOKという雰囲気があり、僕はそれが苦手だ。だけど、もっと演劇に行く頻度を高めようは思っている。


『この世界の片隅に』、立川シネマシティにて。関係者試写では細部が未完成だったそうなので、これでようやく本物を目にしたことになる。
640六割ぐらいの入りの客席では、大きないびきが聞こえ、それでも最後には拍手が起きた。
そして、この映画の真骨頂は、やはり悲劇が起きてからの後半なのだと確信した。僕は、原作に出てくる原爆の被災者は出さないですませるのではないか? 出すとしても表現を控えめにする(シルエットにするとか)のではないか?と、勝手に思っていた。そうではなかった。

この映画で、すずは原爆には遭わない。僕たちは原爆どころか、戦争を体験していない。そこに罪悪感が生じる。すずの生活を「普通の暮らし」と言えば言うほど、僕は後ろめたい気持ちになる。
すずは絵を描く自由を、世界にアクセスする資格を、一時的に失った。だが、同じように右手を失った母親から、晴美そっくりの子を引き継ぐことで、彼女は罪悪感から逃れたのだと思う。そして、僕らには罪悪感を背負わせたまま、映画は幕を閉じる。「まだ、あなたはツケを払っていない」と言われたような宙吊りの気持ちのまま、席を立たねばならない。僕も拍手したけど、拍手ですら、なんだか安っぽい免罪符のように感じてしまう。
「よかった」ですまそうとしている自分を、いやしいと思う。「よかった」でなければ「よくなかった」「悪かった」ではないことは、この映画を見た人なら分かると思う。

(C)こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会

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2016年11月14日 (月)

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ホビー業界インサイド第17回:羊毛フェルトで作る“異素材”美少女フィギュアの魅力 土方クロネ・インタビュー
T640_715209_3土方クロネさんの作品を初めて拝見したのは、Twitterだったと思います。羊毛フェルトという素材から「人形」にカテゴリー分けされがちなところを、あえて「フィギュア」の文脈からとらえると、かえって「フィギュア」の概念が拡大するような面白さがあります。

【懐かしアニメ回顧録第24回】「アリーテ姫」の提示する、「線と色」で構成された魔法の価値
例によって、「画面に何が映っているか」を整理するところから始めています。
「自分が何を見たのか」を検証することなく、いきなりテーマやストーリーといった抽象概念から話を始めることは、僕には怖くてできません。


『この世界の片隅に』を見にいった方たちの感想が、たくさんTwitterにアップされていて、ようやく「なるほど」と思える、実感のこもった声が聞こえてきた。

やっぱり、「泣けて泣けて」「ひとりでも多くの人に」という綺麗ごとでは、何も伝わらない。「普通の暮らし」を描いているから感動する……も、小市民ぶりを武器にした言い回しに引いてしまう人がいるのではないか、と危惧していた。
「泣けはしなかった」「金かえせ」「苦手なシーンがあった」という人がいて、ようやく映画がひとりひとり別々の価値観をもった人間の手に渡ったんだな……と、実感できた。
実際、凄惨なシーンあれば、グロテスクな表現もある。それを「ほのぼのした日常」でくるんでしまうところに、この作品の胆力、ちょっとした意地の悪さも潜んでいる。シュールな表現もあって、その難解さも含めて「面白い」「興味深い」と感じているので、おいそれと「感動した」とは言えない。

ともあれ、プロデューサーさん、宣伝担当の方に語った「興行収入のベスト10には入ってほしい」という、僕の勝手な希望は叶えられた。


「ネタバレ」って言葉が意地汚いのって、「ポリティカル・コレクトネスに配慮しました」に通じる、「本音を隠して良識を貫きました」風のウソくさい品行方正さを感じるからだな。「ネタバレになるから書かない」ではなく、(映画の価値を減じると判断したのであれば)最初から黙って、何も書かなければいいんじゃないの? 

逆に、どうしても書きたいと思ったら、素直に書けばいいのであって、映画の価値をスポイルするような「ネタ」を自分はにぎっていて、それを「バラ」さないでおいてやるよ、あるいは「バラ」してしまったから気をつけろよ(ようするに、俺様は他人の楽しみを台無しにし、映画から見る価値を奪い去るだけの力を有しているんだよ)……なんてゲスなこと、よく言えたものだ。

『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のラストシーンなんて、主人公とヒロインが眠っている横でラジオが鳴っているだけだから、何がどうなったと明確に言えない。だけど、「ラストは、2人がラジオを聴きながら眠っている」と書いたら、ネタバレになるの?
よくよく調べると、ラジオから流れるサッカーの試合には、歴史的意味があるんだそうです。それを知っても、特に何がどう変わるわけではない。あるいは、その意味を映画にからめて、ラストの見え方がガラリと変わる日が来るのかも知れない。
それよりも、僕は少年のふりをしていたヒロインが、最後にスカートを履いてしまったのが勿体ないというか惜しくてね。だからといって、それを言葉で聞かされても、「ふーん」としか思えない。最後にスカートを履くんだよな……と分かっていても、ヒロインの魅力は損なわれないし。
映画に「ネタ」があるとしても、それは人によって違うんですよ、という話です。


友人と飲んでいて、「次の『スター・ウォーズ』には、ゲイのキャラクターが登場するのかな?」という話になった。確か、オーランドの銃乱射事件にからめて、署名活動も行われていたよね。『スター・ウォーズ』は、いまやポリ・コレのゴミ箱だよ。

どうしてもゲイを出したければ出せばいいし、ゲイを出して面白くなるなら出せばいいだけの話で、「ゲイを出させねば中立とは言えない」と考えた瞬間、作品は灰色になる。

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2016年11月10日 (木)

■イグアスの滝-9■

■11/5-1 「Safari」社のツアー
プエルト・イグアス滞在、4日目。一日をフルに使えるのは、今日だけだ。朝食や掃除をしてくれるおばちゃんが、「今日、チェックアウトよね?」と、スペイン語で話しかけてくる。「いや、明日の朝」。チェックアウトだけは英語なので、ちゃんと分かった。
あと、日本人客だと思うが、じっと下を向いたままスマホ見てて楽しいかよ。俺が1時間後に出発しても、まだホテルの食堂にいたよな? ホント、陰気なやつ。俺は「Safari」社のツアーに参加するからな。

で、朝10時30分に公園の入り口前って言ったよな、「Safari」社のダミアン君。ぜんぜん、誰も来ないよ!
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11時ごろになってから、「あなたがヒロタ?」と、ごついオヤジが話しかけてきた。よほど僕が不安な顔をしていたのだろうか、「心配すんな」「いまジープが来るよ」「準備はいいかい?」と聞かれる。「……あれ? 俺の英語、なんか変かな?」と気にしはじめるオヤジ、なんて可愛いんだ。
それで、カメラの設定を間違えて、へんなボカシ・フィルターがONになってしまったけど、これが「Safari」ツアーのジープだ! これに乗って、ガイドと二人きりで、笑ってしまうほど凸凹の道を進む。
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タイガー・アントだったかな。こういう珍しい虫だとか、トカゲだとかをガイドが発見して、豆知識を教えてくれる。「ここに足跡があるな。今朝ついた足跡だ」とか、けっこう面白い。英語も聞きやすいし。「いろいろな異なる種類の植物や動物がいるだろ? すべて異なっているから、森はパーフェクトなんだ」と、なかなか名調子だ。

ただ、やっぱりこのツアーは損している。ガイド氏が「これからどうする? 何、サン・マルティン島へ行きたい? 島が閉まっている場合もあるぞ。閉まっていたら、オススメの道を教える。まだ通ってないはずだよ」とレコメンドしてくれるのだが、まるで「追加のオプション・ツアーに参加しないか?」と、誘っているように聞こえてしまう。
2時間のジャングル・ツアー後、ガイド氏は公園の敷地内の事務所で降ろしてくれて、「ここでツアーは終わりだ。じゃあな」と去っていった。その「終わり」って言葉を聞くまで、追加ツアーに参加しないといけないのか、ドキドキだったぞ。

■11/5-2 3キロの小道
サン・マルティン島への渡し舟は通っていなかったので、ガイド氏がオススメしてくれた滝を見にいく。数組のグループとすれ違ったけど、ほとんど人気のない3キロの小道。
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でね、歩いてみるとガイド氏のオススメした理由がわかった。動植物的な意味でオススメなんだよね?
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なるほど、なるほど。立ちどまると、いっせいに虫が体にたかってくるので、虫よけスプレーが必要だったかも。
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そして、滝は下から見られなくなっていたので、上からちょびっと見られるだけ。下から見られたら、感動したかも知れないな。往復6キロ、2時間もかかったよ!

最後に、また“悪魔の喉笛”を見にいく。園内列車には、またしても同じTシャツを来た若者の団体客と鉢合わせたので、ヤツラが来る前に、早足で先回りする。
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変なフィルターが入ってしまっているけど、虹が出てるでしょ? 合計で三つも虹が出ていた。そして、Tシャツの団体客が到着するころに、展望台を立ち去る。

■11/5-3 夕闇
とても迷ったけど、二番目の駅で途中下車した。もう午後4時だけど、このまま帰るのは物足りない。最後の最後にグルッと……そう、滝を上から見下ろすコースを回っていこう。そう、一日ごとに日が長くなっていくけど、夕闇に沈む気配を感じながら、ここの滝を見ていたいとずっと思っていた。本当さ。
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そうか、街のほうは日が高かったんだな。ともあれ、プエルト・イグアスでの最後の晩メシは、やはりアルゼンチン・ステーキにした。400グラム。
噛みしめるたびに悲しくなるほど、痛烈な旨み。ごくりと飲みくだしてから、「うまい」とため息が出る。

だけど、このお店はカード払いのとき、パスポート番号を書かせるんだ。「パスポートはホテルに置いてあるから、やっぱり現金で払います」と言うと、じっとりと俺を睨みながら「NO」。何だよ、その態度。ひでえ。人として最悪だよ。
店の名前を書いてもいいんだぞ。単にイジワルしてるだけだよな、ホント最低の店だ。そうまで人を絶望させたいのかよ。味がいいだけに、引き裂かれるような気持ちだったよ。

ほんと、切ないというか情けない。こうして今後も、人間たちのくだらなさと戦いつづけねばならないのかよ?

■11/6 チェックアウト
朝食後、きっかり9時、ベッドメイクや掃除、朝食の支度をしてくれたおばちゃんに多めのチップを渡して、最初に声をかけてきたタクシーに飛び乗った。
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■イグアスの滝-8■

■11/4-1 ブラジル行き
旅行記を検索していくと、ブラジル側のフォス・ド・イグアスの街から、バスやタクシーでアルゼンチン側のプエルト・イグアスに移動した体験が多い。ようするに、その逆をやれば、フォス・ドに行けるはずだよね。日本から持参した旅行記のプリントをバッグにつめて、今日はポロシャツとスニーカーで出かける。

バス・ターミナルで、メモを見せる。そこには「フォス・ド・イグアスまで 往復切符」と、スペイン語で書いてある。「旅の指さし会話帳」を使えば、これぐらいのメモは誰にでも作成可能なのだ。
ところが、往復切符は売っていない。片道しかないという。まあ、片道でいいだろう。20ペソ。安いし。
飲み物を買って、ぼんやりとバスを待っていると、フォス・ドとプエルトの公園同士をつなぐレアなバスが停まった。資料によると、こいつは一日に4往復しかしていないレア・バスなのだ。しまった、これに乗れば一発で、まったく知恵を使わずにブラジル側の公園に行けるのに……でも、別のバスのチケット買っちゃったからな。

ともあれ、フォス・ド・イグアス行きのバスが来たので、それに乗る。旅行客と地元の人、両方が混じっている。
そして、どこの誰であれ、アルゼンチンを出国するイミグレーションでは、必ず全員が下車する。慣れた人たちは車内に荷物を置いたままだが、持って出たほうが安心だ。
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並んでいると、ほどなく順番が来るので、スタンプを押してもらう。何も面倒なことは聞かれない。ただ、僕の乗ってきたバスは、本当にこれでいいのかしら? 別のバスに間違えて乗って、知らない場所に連れて行かれたりしない? そっちが心配になるタイプだ、私は。乗客や運転手の顔を、しっかり覚えておこう。バスはブラジル側に移動して待っているので、ちょっと不安になるんだ。

■11/4-2 日本人
そして、数分後にブラジル側の入国イミグレーションに到着。ここは無視していい。ここでスタンプを押してもらうのは、ブラジルに泊まる人や、ブラジルから他国へ移動する人のみ。
実はさっき、僕と同じ赤いパスポートを持った青年に「どうも」と笑いかけられた。彼はブラジル側で、巨大なリュックを背負うと、下車していった。ワイルドだな、あちこち旅して回ってるんだろうな。僕は臆病者なので、東京へ帰れるチケットを用意しておかないと不安なタイプだ。

フォス・ド・イグアスの町並みが見えてきた。プエルトと違って、実にいろいろな店がある。活気があって、ワクワクしてくる。このまま滝に行かずに、街を散策しても楽しそう。
ところが、もう1時間ほどバスに揺られている。途中、旅行客が大量に降りていったが、あそこが終点だったのか? 以前、早とちりしてバスを降りて、えらい目にあったことがある。あんな経験は二度とごめんなので、「降りろ」と言われるまで乗っていることにする。

しかし、またイミグレーションに着く。また同じオジサンに、ハンコを押してもらう。ちょっと待てよ。さっきと同じ道だろ、これは。ひょっとしてアルゼンチン側に戻ってきてない? 「片道」って言ったじゃないか。なすすべもなく、プエルト・イグアスのバス・ターミナルまで戻されてしまう。3時間の旅。これじゃ、脱出しようとしても経路が循環している舞浜サーバーみたいじゃん。
もう一度、ブラジルに入国し、今度こそ下車しようか迷う……。もう12時なので、決断を急がないと。なんかアホらしいけど、イグアスの滝へ行くバス・チケットを買った。

■11/4-3 サファリ
今日の公園は、やけに空いている。すると、ほーら。入園してすぐのエンパナード売りのお姉さんが、アメをひとつオマケしてくれたよ。客が少なければ、誰でも心に余裕が生まれるのさ。飲み物は、安定のミリンダ。オレンジ・フレーバーで。
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心に余裕があるものだから、昨日、トラックとスピードボートのツアーを申し込んだ「Jungle」社のちょっと手前に、「Safari」という別のツアー会社のあることに気がつく。果たして、「Safari」とは何か?
聞いてみると、公園の外にあるジャングルを、ガイドと一緒にジープで回るんだという。一日に二度、10時と16時のみ実施。そのせいか、あまり熱心に客を集めていない。ダミアンという係の青年は、「滝の上と下のコースを回って歩いて、それから戻ってくると16時ぐらい。ちょうどツアーの出発時間だよ」 ……えっ、4時間も歩けってこと? それは苦しいだろう、ダミアン。俺、昨日もここを歩いてまわったもの。
むしろ、明日の朝10時出発のツアーに参加できないか聞いてみた。OKだが、「公園の入り口、外で待っててくれ」という。本来は、公園の中ほどにある事務所から出発するらしい。くれぐれも言っておくけど、「公園内で客を募って、公園外を回るツアー」だからね? うーん、ややこしいツアーだな。だから、客が寄りつかないんだよ。
しかし、ダミアンの「あなたの国でアニマル・プラネットは放送してる? そう、ああいう感じのツアーだよ!」という、幼稚な口説き文句が気にいった。550ペソ。「じゃあ、明日の朝10時30分、公園の入り口でね」と、ダミアンと握手した。

さて、そういうことなら、今日は素直に園内列車で、終点まで行こうじゃないか。今日は空いてるし、お行儀の悪いチビッコ団体客も乗っていないし。
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■11/4-4 遊覧ボート
そして、今日も“悪魔の喉笛”へ! 僕の地獄のお友だち!Dscn0349 Dscn0363  

駅まで戻ってくると、「Jungle」社の遊覧ボート・ツアーの出発場所があることに気づいた。あと30分で出発だ。いいね。乗ろう。「ちゃんと“悪魔の喉笛”は見た?」と、係のお兄さんが確認してくれる。200ペソ。
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今日は、滝にはアタックしないけどね。みんながスペイン語で和やかに談笑している中、ぽつんと取り残されるのも、おつなものだよ。船をこいでるオジサンが、「ほら、アンタも見てごらん」と、気を使ってくれたりしてね。のんびりした、いいムードだった。

■11/4-5 使用ずみバス切符
そして、今日は日が傾かないうちに、プエルト・イグアスの街へ戻る。猛暑の中、缶ビール片手に歩いて、メシにありつける場所を探す。もちろん、カード使える店ね。
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だけど、小さな店ではカード使えないんだよ。それでまた、バス・ターミナル近くの高級っぽいレストラン。なんとなく薄暗いムードの。
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「旅の指さし会話帳」を、カバンから出したり入れたりしながら食事していたら、後ろから「落ちましたよ」と、流暢な日本語で話しかけられた。グレーの髪の穏やかな日本人男性が、僕の使用ずみバス切符を拾ってくれた。
耳をすますと、その男性はスペイン語で女性と会話しているようだった。いいけどね。俺は日本語で書かれた絵入りの「旅の指さし会話帳」がないと、晩メシひとつ注文できないんだよ、悪いかよ!(つづく)

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■イグアスの滝-7■

■11/3-8 悪魔の喉笛
さて、イグアスの滝公園内は、もちろん園内列車を使えば、楽に移動できる。なんといってもタダだし。しかし、座席にゴミが捨ててあったり、他人の座る席に靴をのっけてる大人も多いし、マナー違反が目に余るんだ。
そんなときは、ひとりになりたくなる。構わずに、線路脇の道を歩けばいい。ただし、列車の運行が終わる午後4時から4時半ぐらいに、徒歩で移動できる道にはロープが張られてしまう。公園からプエルト・イグアスへの帰りのバスは、夜の8時15分まであるのに。
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蝶々がいっぱい飛んでいるけど、この脇道は、歩くには向いてない。滝も川も見えないし、正直にいうと退屈だ。ご覧のように、水たまりも多い。カップルが、道の真ん中でイチャイチャしている場合もあり、ちょっと立ち止まって、彼らにペースを合わせてやらないと気まずい。

めけずに歩いて最後の駅に着くと、左側に遊歩道が伸びている。トイレも売店もある。遊歩道を1キロちょっと歩くと、“悪魔の喉笛”と呼ばれる、イグアス最大の滝が待っている。
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だけど、こんな写真を見ても、何がそんなに怖いのか、さっぱり分からないとは思う。スケール感がくるって、逆に、ミニチュアを見ているような気分になってくる。
足のすぐ下、数十センチのところを通った水が、足の裏をすべるようにして80メートル直下の滝つぼに落ちていく。その足がすくむようなエリアには、さすがに立ち止まる人は少ない。

どうかしている、こんな場所に展望台を建築するなんて、どれだけ工学的知識が必要だったんだ? どれだけの工期と人員がかかったんだろう? この公園をよく見ると、あちこちの川や滝に、打ち捨てられたような過去の橋梁が残っている。
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この場所が、最初にヨーロッパ人に発見されたのは、16世紀のことらしい。「誰でも訪れられる公園にしよう」と狂ったことを言いはじめたのは、この橋や展望台を設計したのはどこの誰なのか、それを知りたい。どこから、こんな情熱が生まれてきたんだろう?

そこは、世界の終わる場所だった。際限なく、轟音とともに滝つぼに流れ落ちる大量の水は「とりかえしのつかなさ」そのものだった。お前の人生は巻き戻せない――そう言われたような気持ちだった。
この大いなる終焉は、美しい虹によって祝福されてもいた。鳥や蝶たちは、この悪夢のような光景を、単なるインフラとして利用しているかに見えた。
それでも、絶望をかかえた人たちは、この滝を前にして打ちのめされるかも知れない。その巨大なデッドエンドと、自分の肉体とが、同じ物質で出来ていることに気がついて、少しだけ胸をなでおろすのかも知れない。

■11/3-8 ハナグマ
こんな宗教的な体験のあとに、小言はいいたくないんだけどさ。
園内列車が不愉快なので、またしても線路のわき道を通って帰ったわけ。すると、またハナグマにかまっているおバカなファミリーがいるんだよ。写真とったり、「ハロー」!とか猫なで声でチヤホヤしていて、いいから、道をふさぐなよ。ハナグマは害獣だ。あんたらも、ファストフード店で買ったエンパナーダをハナグマどもに盗まれてみろ、殺意がわくから。

ハナグマにかまっている連中への抗議の意志として、僕はわき道のどぶ水の中を歩いた。
「オウ!」と驚かれたよ、サンダルごと、どぶの中をジャブジャブ歩いてるんだから。だけど、こうでもしないと気がつかないよな。超ラブリーなハナグマちゃんに構って、堂々と道をふさいでいるモラルのとろけた君たちはさ。
「ハナグマに構うな」、これがイグアスを訪れるときの鉄則だ。あいつらは、人間の愚かしさを増大する生きものだ。まして、ハナグマに構っている人間など、相手にしてはいけない。

■11/3-9 魚料理
崇高さと腹ただしさのいりまじった気持ちで、プエルト市街に戻ってきた。
さすがに疲れたので、適当なレストランに入る。だけど、本当はバス・ターミナルの先に、安いお店が並んでいるんだよね。ともあれ、店員おすすめの魚料理を頼んだ。Dscn0320
大量のフレンチ・フライも、ジャンクでいい感じ。ビールはもちろん、1リットル・サイズで。
ただ、このお店は蝿が多いんだ。あと、カードが使えない。こんな大きいレストランなのに。プエルト・イグアスのお店は、VISAカードのマークが貼ってあるのに「実は使えません」というパターンがあるので、要注意。店先でカードを見せて「OK?」と聞いてみたほうがいい。

ともあれ、ジャングル・ツアーとスピードボートで始まったプエルト2日目が終わりつつある。
明日はブラジル側のフォス・ド・イグアスへ行くべく、ベッドの上に資料を広げて、必要なことをメモしていく。ところが、ダメだった。ブラジルに入国はできたのだが……(つづく)

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■イグアスの滝-6■

■11/3-5 スピードボート
まだ初日の11時すぎだというのに、ほぼハイライトがやってきた。
ボート乗り場で、係の人から救命胴衣を着けてもらう。あと、荷物を入れるための分厚い袋を渡される。この袋は、かなり強力な防水効果がある。ただし、多くの人が使ってきたので、ちょっと匂うんだ。そこのみ、我慢だ。
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ボートは、思ったほど揺れない。端っこに乗ったが、それほど怖くないので大丈夫。写真を撮ってもいいポイントでは、エンジンを止めてくれて、ふわふわ漂う。
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この写真の同志たちは、ちゃんと日焼け止めクリームを塗ったのかな? 今ごろ、頭が『第5惑星』のエイリアンみたいになっていなければいいけど。
このスピードボートは、滝につっこむというより、間近にちかづいて、真下から滝を鑑賞する乗り物だ。もし、目をあけていられたら。水圧と水流で、ほとんど目をあけてられない。たまに、怪獣の口みたいな滝がチラリと視界に入るが、またしてもバケツ50杯ぐらいの水を、座席に全力でたっぷり注ぎ込まれて、「おおう」と声が出てしまう。もうダメだ、笑うしかない。ひとりで旅行に来た、友だちも恋人もいない高齢独身者の僕でさえ、大声で笑った。滝と格闘してるみたいだよ、怪獣映画かよ!

耐水のポンチョみたいのを着てても、絶対にムダ。僕の前に並んでいた女の子たちみたいに、むしろ積極的に脱いで水着になるのが大正解。1時間たっても、まだTシャツが乾かない。
カメラをダメにしないよう、「Jungle」社のオジサンが、スペイン語で「ここでカメラしまう!」みたいなことをジェスチャーで示してくれる。なので、このツアーのハイライト・シーンは、絶対に写真に撮れない。体験するのみ。生きててよかったぞ、しみじみ! こんなツアー、よく考えたな! 殺す気か! めっちゃ元気でたぞ!

二度ほど滝にアタックして、大満足で終点につく。救命胴衣と袋を返して、あとは自由だ。やっと普通の観光に入れる。しかし、どんなアホらしいと思っても、体験しておく価値はある。信じてほしい。

■11/3-6 広場
滝の下側から、階段をのぼるコースで降ろされた。ちょっと階段がキツい気がするけど、景観に心を奪われる。
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どこをどう歩いてたのか、自然とツアーの出発点に戻っている。コースは、よく考えてある。さて、12時すぎでファストフード店は、どこもそこそこ混んでいるが、並んで買わざるをえないほどではない。サンドイッチと、でかいギョーザみたいなのをトレーに乗せて、お会計のところで「オレンジ、オレンジ」と、バカみたいに冷蔵庫を指さす。「ああ、ミリンダね」と、お姉さんにクールに訂正されるが、恥ずかしくはない。みんなで助けあって生きていこう。ケチャップの袋を、三つもつけてくれたし。ぜんぶで、180ペソ。Dscn0236
この巨大なギョーザは、エンパナーダという。園内でも、街中でも売っている。名物料理だと知った。食べやすいので、大好きになってしまう。詳しくは、「旅の指さし会話帳 アルゼンチン」の44ページを見て。

この広場は、気持ちいい。どこかで、ラジオが鳴っている。音楽を奏でている。木陰。芝生に、無言で座っている人々。年老いた夫婦。若い夫婦、親子。小さな家族。完璧な時間。

■11/3-7 二番目の駅
腹が満たされたので、とにかく遊歩道を全制覇してみよう。しかし、二番目の駅から園内列車に乗ろうとして、あきらめる。同じTシャツを着た数十人のチビッコ集団が、座席を占有してやがる。荷物を座席に置くのはもちろん、4人席を3人で使ったりしていて、もう最悪。そこの引率教師、ちゃんとガキどもに注意しろよ。
そして、列車に並ぶ行列の真ん中に入ってきたハナグマを「これは珍しい動物だ……こんな動物を間近に見られて、なんて俺はラッキーなんだ」と言わんばかりに、真剣にカメラを向けている白人のイケメン。アホか。ハナグマなんて、そこのファストフード店で食べ物を狙おうと、うじゃうじゃいるよ。「ハナグマは相手にするな」って、『地球の歩き方』にも、くどいほど書いてあるだろ! 公園内にも、注意のマークがいっぱい貼ってあるよ!

もう、ほとほと人類に絶望したので、二番目の駅から歩くことにする。さっきのガキたちが、列車で追い抜きながら「アリガト」「コニチハ」と声をかけるが、もちろん全身全霊、リミッター解除のフルパワーで無視。心の奥底から、シカト。俺、お前らのこと大嫌いだからさ。いまのお前らは、人類の敵だから。お前らが、どんな崇高な思想の団体であろうとも。

で、2キロか3キロぐらいかな。線路わきの道を歩きはじめた。その向こうで、僕の人生は、いったん終わるんだ。(つづく)

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2016年11月 9日 (水)

■イグアスの滝-5■

■11/3-1 日焼け止めクリーム
ホテルの朝食は、自分でパンをトーストして、ハムとチーズをはさむ形式。あとは、新鮮なフルーツいろいろ。飲みものはオレンジジュースにコーヒーという、理想的な朝食パターン、最高のブレックファスト・クラブ。世話係のおばちゃんに「グッド・モーニング」と声をかけると、「Buen dia」と、現地のあいさつが帰ってきた。

バスのチケットをバッグに入れて、滝でズブ濡れになってもOKなように、Tシャツと短パンとサンダルを装着。あと、私のようなハゲは、たっぷりと日焼け止めクリームを塗ろう。昨年、ギリシャのサントリーニ島で買ったクリームを持参して、大正解だった。
どうでもいい話。バス・ターミナルの近くで、新興宗教の勧誘のお兄さんに声をかけられた。「日本人? 私も日本にいたことあるよ!」と、昭和40年ぐらいの色あせた日本語の勧誘パンフを見せられる。「いや、急いでるんだよ」と振り切り、バスに乗る。時間のある人は、あの歴史的価値のありそうな、なさそうなパンフを読んでやってくれ。
お兄さんは「アリガト」と、ちょっと寂しそうだった。二日目以降は出現しなかったレア・キャラだ。

■11/3-2 グレート・アドベンチャー
バスは20分~30分ほどで、イグアス国立公園(Iguazú National Park)に到着。
実は、ヴィクトリア・アギーレ通りのあちこちにあるバス停で「CATRATAS」と表示されたバスを止めて、運転手に現金を払っても乗れるらしい。しかし、私は事前にすべてを用意しておきたい派だ。
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さて、いよいよ国立公園に着いた。チケット売り場は、十分に窓口がそろっているので、ほぼ並ばずに買える。330ペソの現金を払えば、誰でも入れる。初日だけ、窓口で「どこから来ましたか?」と聞かれた。「ジャパン」と答えると、なぜかチケットに「Japon」と印刷され、もぎりのオジサンが「オハヨー、アリガト」と挨拶してくれる。

さて、何はともあれ、滝につっこむスピード・ボートに乗りたい。勢いあまって、公園のチケット売り場で「ボートに乗りたい」と口走ってしまったが、「それは園内に入って、右手にある会社に言いなさい」と、丁寧に説明される。
黄色いロゴで「Jungle」と書かれた小屋があるので、「Greart Adventure」と書いたメモ帳を指さす。これぐらいは、日本で下調べして、メモってあるのだ。ジープで森の中を走り、ボートで川を移動、最後に滝につっこむフルコース。時間のない人は、ボートでつっこむだけの「Nautical Adventure」が、安くていいと思う。
とにかく、「Jungle」の小屋でチケットを買う。地図を一緒に見ながら「ここで待って、ここからここまで移動。最後はズブ濡れになるぞ、大丈夫か?」と、とても丁寧にゆっくり、聞きとりやすい英語で説明してくれるので、なにも心配はない。

■11/3-4 ツアー開始
ツアー「Greart Adventure」は、800ペソだ。チケット発行のとき、ツアーの開始時間を書いてもらえる。「え、どこに集まればいいの?」と聞くと、園内列車に乗って、二番目の駅から徒歩と説明される。
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ここだ。ファスト・フード店が集まった、広い休憩所のようなエリアに、「Jungle」のロゴ。
園内列車がイヤな人は、ぜんぜん歩いていける。最初の駅、二番目の駅、最後の駅と、三駅しかない。たまに、すごい行列になっているので、遊歩道を歩いてもいい。2時間ひたすら歩けば、ちゃんと最後の駅まで着く。この列車については、ちょっとイヤな思いをしたので、後で書こう。

10時15分、ツアーがスタートする。まだ1時間ほどあるので、園内の小さな売店で、オレンジジュースを買う。20ペソ。売店のお姉さんは、たまに愛想が悪かったりするけど、いろいろな人がいる。売ってくれないわけじゃないので、広い心で臨もう。
さて、10時をすぎたので、そろそろ乗り場に並ぼう。思いきり横入りされたけど、そんなことで怒っていては、日本では暮らしていけないだろ、思い出せ。泰然自若として、横入りは見のがそう。何度でも。
ちょっと見づらいけど、こんな黄色いトラックでジャングルの中を進む。
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座席は5人がけだ。最後部の右端に乗ったが、振り落とされるのではないかとビビるほど、めっちゃ揺れる。こわい人は、真ん中の席へ。
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しかし、このトラック・ツアーは、僕に向いていた。頭を真上に向けていると、曼荼羅のように、つぎつぎと木の葉の模様が変化していく。説明は英語とスペイン語のチャンポンなので、聞かなくてもいい(というか分からない)。1時間ぐらいだろうか、えんえんと緑の中を進む。永遠とも思える時間。
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ジャングル・ライドの終着点が、そのままスピード・ボート乗り場になっている。(つづく)

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■イグアスの滝-4■

■11/2-6 バス・ターミナル
プエルト・イグアス市内から、イグアスの滝へ行くバス・ターミナルを探して歩く。
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Av. Victoria Aguirre(ヴィクトリア・アギーレ通り)を歩いていると、YPFというガソリン・スタンドがある。そこを折れて、Av. Cordoba(コルドバ通り)に入る。そのまま、まっすぐ歩く。
コルドバ通りとAv. Misiones(ミシオネス通り) が出会う角に、バス・ターミナルがある。上が、私の作成した正確な地図。
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ミシオネス通りとコルドバ通り、このふたつが大事。ヴィクトリア・アギーレ通りは関係ない。間違った地図を印刷していったおかげで、さんざん歩くことになった。五叉路があったりして、いちど迷うと、とことん迷うんだ、バス・ターミナルの周辺は。

バス・ターミナルには、いくつかのバス会社の窓口が並んでいる。
RIO URUGUAY社が、イグアスの滝へ向かうバス便を多く発着させているので、「CATRATAS」(滝)と書かれたメモを見せると、すぐ売ってくれた。「明日の朝に乗りたい」と言うと、「こっちが往路、こっちが復路」と、二枚を渡してくれる。往復で130ペソ。もちろん、乗る直前でも売ってくれる。
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英語は、若い人なら通じる。オジイサンは「私はスペイン語しか分からん」と言いながらも、ちゃんと往復チケットを売ってくれた。RIO URUGUAY社は、バスが派手なところもいい。分かりやすい。

■11/2-7 両替
先に、バス・ターミナルのことだけ、まとめて書いてしまった。実際の僕は、バス・ターミナルを探すと同時に、両替してくれそうな場所も物色していた。
ツアーなどを紹介している旅行会社の前で、小声で「Cambio、Cambio」と語りかけてくる男がいる。いかにも闇両替っぽい怪しい雰囲気だが、空港では両替している時間がなかったのだから、しかたない。レートは、1ドル=15ペソだった。
両替してくれた、ちょっと怖い感じの背の高いオジサンは「落とさないよう、ポケットにしまっておけよ」と、声をかけてくれた。ちゃんとレシートも発行される。なにかあったときのために、120ドルだけ、ペソに替えないでおいた。

さて、ペソも手にはいったし、明日の滝行きのバス・チケットも買えた。バス・ターミナル付近にはカードの使えそうなレストランが櫛比しているので、晩メシとしよう。現金は国立公園の入場料や、園内のツアーの支払いのため、なるべく温存しておきたい。
本当は、スーパーで缶ビールと惣菜パンですませたかったのだが、カードが使える・使えないでモメたくなかったし、スーパーに入ったときのヨソモノを見る目が冷たかったので、4晩ともレストランで食べることにした。
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これが、プエルトに着いた初日の晩メシ。ポークソテーとクリームライスだったかな。ビールは、1リットル入りの大きなビンを、ワインみたいにクーラーで冷やしてもってきてくれる。
この街の人の使う英語は、聞きとりやすい。英語を使わない人はとにかく、まったく使わない。

いい雰囲気の店だったが、肉は堅くて、クリームライスは量が多すぎる。胃が重たくなったしまったので、さっさとホテルへ戻る。
晩メシ代は、他のレストランでも、たいてい300ペソ前後だった。2千円ちょっとだね。

■11/2-8 夕暮れ
ホテルへの道すがら、夕暮れがきれいだった。
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上から二枚目の写真に、ガソリン・スタンドのYPFが映っている。僕は、明日から何度もヴィクトリア・アギーレ通りを経由してバス・ターミナルへ通うことになるので、目印は大事だ。

まだ21時なのに、部屋でスウェットに着替えて横になると、沈み込むように眠ってしまった。
明日は、ようやく滝へ行く。(つづく) 

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■イグアスの滝-3■

■11/2-1 ふたつの空港
ようやくアルゼンチンに入国できたのに、空港のインフォメーションで「プエルト・イグアス行きの飛行機は、どこから出ますか?」と聞くと、「この空港からは出発しません。別の空港からです」と、予想をこえる回答を聞く。どういう意味だろう、成田の第一ターミナルと第二ターミナルみたいなもんだろう……と勝手に解釈して、案内お姉さんの「バス」「一時間ぐらい」という言葉を無視して、ターミナルCへと歩きはじめた(この場所はターミナルA。なぜか、Bは存在しない)。

300メートルぐらい離れたターミナルCで聞いても、「ここではなく、別の空港」との答え。しかも、ドアの外を指差して「タクシー」と、一言。ここまで簡潔な英語だと分かりやすい。「では、その別の空港の名前を教えて」とメモ用紙を差し出すと、「AEROPARQUE」とボールペンで書いてくれた。
もう先に答えを言おう。僕の下調べが甘かったのだが、海外からの国際便が発着するのは、エセイサ国際空港(Aeropuerto Internacional de Ezeiza)。僕が右往左往しているのが、エセイサ国際空港のターミナルAとC。
そして、プエルト・イグアスへ行くには、ホルヘ・ニューベリー空港(Aeroparque Metropolitano Jorge Newbery)に、移動しないとダメである。どちらの空港もブエノスアイレスにあり、ArBusという会社がふたつの空港間に、往復バスを走らせている。片道150ペソ。所要時間1時間。

■11/2-2 タクシー
もちろん、ブエノスアイレスにふたつの空港があるなんて重要な情報は、無事にホテルに着いて、夜中に「旅の指さし会話帳」を熟読していて把握したこと。今は大急ぎで、タクシーに乗りこむしか知恵がない。

「AEROPARQUE」と書いてもらったメモを渡すと、運転手の浅黒いお兄ちゃんは「まかせとけ!」って感じで走りはじめた。あと3時間で、僕の乗るべき飛行機が離陸してしまう。最悪のケースを考える。
タクシーは高速道路に乗る。高速を下りると、海が見えてきた。いや、海ではなくてラプラタ川なのだが、まったく土地勘がないので、こんな海と市街地の間に空港があるのか、不安になってくる。

運転手のお兄ちゃんは、「航空会社はどこ?」と聞いてくる。どうやら、もう近くまで来ているらしい。チケットに印刷された「LATAM」という文字を見せると、「ああ、LATAM社ね。オーケー」と即座に理解して、両手の親指を立てて「どう? 俺、けっこう使えるでしょ!」といった笑顔で、何か決めゼリフを言った。思わず笑い声が出てしまうほど、いい笑顔だった。
だが、カードを使えるかどうか聞くと、「えー、それは無理……」と、とたんにシュンとしてしまった。「じゃあ、米ドルは使える?」と聞くと、スマホで計算してくれた。52ドルだったけど、60ドル渡した。
お兄ちゃんは満面の笑みで荷物を運んでくれて、握手で別れた。出発まで2時間もある。LATAM社のカウンターに並んでいると、お兄ちゃんは、僕が車内に忘れていったボールペンとKindleを届けにきて、またしても握手して、僕らは別れた。Kindleを忘れるなんて、よっぽど慌てていたんだな。

■11/2-3 イグアスの滝国際空港
チェックインをすませて航空券を手にすると、僕は売店でシュエップスを買った。まだペソを持っていないので、カードで支払う。
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上の写真が、ホルヘ・ニューベリー空港。いい雰囲気のカフェが並んでいたので、本当はもっと、ゆっくり過ごしたかった。ここから、イグアスの滝国際空港(Aeropuerto Internacional Cataratas del Iguazu)へ飛ぶ。イグアス空港は国内の便しか離発着しないのに「Aeropuerto」、すなわち「国際空港」という名前なので、まぎらわしい。
ネットから座席指定できなかったので、窓際のシートで2時間をすごす。そろそろ暑いので、日本から着てきたジャケットを脱ぐ。昼間の気温は、11月でも30℃前後だ。

■11/2-4  プエルト・イグアス
もう迷うのはゴメンなので、イグアスの滝国際空港に着くなり、プエルト・イグアス市内へのバスを探す。ホテルには「16時ごろに着く」とメールしてあるので、ちょっと焦っている。バスは1時間後に出発とのことなので、タクシーにしよう。空港にあるタクシー会社のカウンターで、米ドルが使えるかどうか確認して、さっさと前払いしてしまう。そろそろドルをペソに替えたいのだが、ホテルのカウンターで両替すればいいや……ぐらいに考えていた。

先に書いておくと、イグアスの滝国際空港からプエルト・イグアス市内までは、タクシー代300ペソだ。市内と空港をバスで往復したい人は、ネットで調べておくといい。いきなり市内のバス・ターミナルに行っても、「別の場所でチケットを売っている」らしいので、事前確認したほうがいい。
ともあれ、僕は米ドルでタクシーを利用した。端正な顔立ちの運転手は、「ホテルの名前は?」と聞いてくれた。ホテルの地図を見せると、プエルト市内のはずれにある、小さなホテルまで車を走らせてくれた。いつも、ホテル探しで死ぬほど迷うので、とっても助かった。

■11/2-5 ホテル
ホテルは、小さくて頑丈な鉄扉をあけてもらわないと、中に入れない。出入りするにも、鉄扉用の解除キーを使う。それだけ物騒なエリアということなのだろうか、とにかく何もない住宅街にある建物だ。僕に割り当てられたのは、4人部屋で広い。周囲は静かだ。
ホテルのオーナーは、若い長髪のお兄さん。彼の飼い犬が、大喜びで僕に飛びついてくる。荷物を置いて、半そでのシャツに着替えると、僕はバス・ターミナルを探すために出かけた。日本で印刷した地図を、バッグに入れる。それと、米ドルをペソに換金しないと……このペンションのような、フロントすらない小さなホテルでは、両替は無理な気がした。
両替所は、現地語で「Cambio」だ。「旅の指さし会話帳」にそう書いてあるので、メモ帳に書き写しておく。

ホテルの周囲は閑散としているが、日本で印刷した地図を片手に、まず大通りに出てみた。中心街に向かうと、さすがに人が増えてくる。
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Av. Victoria Aguirre(ヴィクトリア・アギーレ通り)、街を斜めにつっきる、この大通りさえ覚えておけば、まず迷わない。……そう確信するまで、もちろん1時間ほど汗だくでさまよったわけだが。中央車線にヤシの木が植えてあって、それがヴィクトリア・アギーレ通り。

さて、日本のブログで見つけた地図によると、ヴィクトリア・アギーレ通りにバス・ターミナルが面していることになっている……が、それは間違い。面していない。地殻変動でバス・ターミナルが移動したのでもないかぎり、誤りである。
正しいバス・ターミナルの場所は、次のブログに掲載しておこう。(つづく)

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■イグアスの滝-2■

■11/1-1 成田
さて、成田までは吉祥寺駅から直通バスが出ているので、ネットで予約しておいた。航空券もホテルのバウチャーも、ネットで予約して印刷してあるので、何も問題はない。ネットがなかったら、僕はいまだに海外旅行など経験してなかっただろう。

ところが、デルタ航空のカウンターで印刷したEチケットを見せたとたん、「VISAはありますか?」と聞かれて愕然とした。アメリカ国内の空港に数時間滞在するだけで、VISAかESTAが必要だという。なんて不寛容な国なんだ、いままで避けてきて正解。空港に数時間いるだけで18ドルも徴収するなんて、ロシア以下だ。
ESTAという言葉は初めて聞いたが、いますぐスマホで申請できるという。ところが、僕のスマホが古すぎるため、申請不可能。空港内の有料パソコンからアメリカ大使館にアクセスしてくれという。
するとまず、アメリカ大使館にたどりつくまで、膨大な数の旅行会社のサイトに行き当たる。こっちは急いでいるから、早く何とかしたいと焦る。でも、旅行会社から申請しては絶対にダメ。リアクションが遅すぎるうえ、ちゃっかり金だけ取られるので、必ずアメリカ大使館のサイトから申請すること。

幸い、デルタ航空の中国人社員が献身的で、僕のかわりにPCを操作して、ものの数分でESTAの申請を終わらせてくれた。しかし、僕があれこれ迷っているうちにトータル、40分ぐらいの時間が消えた。
荷物をあずけて、出発まで、空港内の店で生ビールを飲む。

■11/1-2 アトランタ
さて、アトランタまでは12時間もかかる。エコノミークラスに座っていられるのは、12時間が限界という気がする。もちろん、いつでも好きなときに何十回でもトイレにたてる、座席側シートを選択済み。インターネットは最高に便利だ。

しかし、アトランタに着いてからが長い。入国審査に300人ぐらい並んでいるのに、職員が2人しかいないのだ。しかも、こちらが並ばされているのに、何もしてない数人の職員がゲラゲラと談笑しているので、よけいにイライラさせられる。
アルゼンチンの入国審査は、手続き自体はアメリカと同じシステムだが、すべての窓口に職員が配されていた。帰途の成田空港も、もちろん窓口はフル稼働。「日本人向けの窓口が空いている場合は、外国人のお客様にもご使用いただくようにしております」だから、もう完璧でしょう。
アメリカだけ、特に効率が悪いんではないか。列の整理のしかたも、ホントに下手。特筆すべきだよ、この絶望的な効率の悪さは……。
日本人は、列のさばき方は抜群にうまいと感じた。並んでいる側も、フォーク並びを徹底する。ところが、白人のオジサンたちは列の真ん中で輪をつくって、談笑してしまう。それで余計、列の進行が悪くなる。あと、平気で横入りする人がいるのも、海外旅行ではショックだった。
列の消化のしかたの上手い日本人、もっと誇りをもっていい。

■11/1-3 チキンサンドイッチ
入国手続きだけで、一時間が経過。ただ、アトランタ空港はゲート間を地下鉄で移動できるので、インフラとしては良く出来ている。
いちばん端のFゲートに移動したせいか、カフェが空いている。バドワイザーと、巨大なチキンサンドイッチなどを注文。 夜の22時ぐらい。
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カードで支払ったが、レシートに、チップを書く欄がある。いま渡したばかりのチップの金額を、しっかり書かねばならない。アルゼンチンでもカードを多用したが、チップを書かされるようなことはなかった。バドワイザー、もう一本追加。
アメリカから来たものは、映画も食べものも大好きだけどな。入国審査の手際の悪さだけは、いただけない。

■11/1-3 機内食
アトランタ空港を深夜に発って、10時間後にブエノスアイレスに着く予定。
機内では、窓側に細身の女性が座った。この女性、体がやわらかいのか、あの狭い座席のうえで猫のように丸くなって、ほとんど寝ていた。
不思議なもので、見知らぬ女性が隣にすわっても、不安も緊張もない。薬は、いつもより少ないぐらいなのに。ビールが効いているのかも知れない。

二度、機内食が出たが、CAさんが「チキン・オア・ラザーニア?」と聞いてまわっている。隣の女性が「ラザーニア」と言っているように聞こえたので、僕も「ラザーニア」と答えたのだが、「は?」と聞きかえされる。「チキン」と答えると、それも違うらしく、怪訝な顔をされる。
どうも「ラザーニア」ではなく、「パスタ」と言っていたようだ。機内食なんて、何が出てきても同じ味なんだから、わざわざ選ばされるのが、本当に面倒だ。文句ばかり書いているけど、肉も卵も、パーフェクトに同じ味だよね? そんなものは、自由や選択のうちに入らない。「どっちでもいいです」という意味の英語をおぼえないと。
あと、「ウォーター」の発音が難しい。ほとんど通じない。というより、僕は『エイリアン』のようなコールドスリープで移動し、いきなり現地で目覚めたい。あと、自動翻訳機も早く欲しい。「努力しないと自由になれない」考え方は、僕は嫌い。当たり前のように自由に生まれ、膨大な余白に何を描くか?が、人生の楽しみだと思う。

■11/1-4 アルゼンチン
24時間ちかい機内、とくに緊張するようなことはなかった。怖くなったら、胸ポケットに薬を入れてあるから、大丈夫だ。
さて、アルゼンチンの空港に降り立った。入国管理もスムースだ。あとは、国内線でプエルト・イグアスの街へ飛ぶのみ。2時間の我慢だ。

ところが、ここでトラブルが発生。この空港からは、プエルト・イグアス行きの飛行機は発着しない。(つづく) 

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2016年11月 8日 (火)

■イグアスの滝-1■

11/1(火)~8(火)まで、アルゼンチンのプエルト・イグアスという街へ旅行してきました。
世界三大瀑布のひとつ、「イグアスの滝」の周辺につくられた広大な国立公園へ、3日つづけて通って、三種類のツアーに参加。詳しくは、おいおい書いていきます。
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もちろん、こんな写真でイグアスの滝、わけても最も巨大な滝“悪魔の喉笛”の恐ろしさを伝えることは、到底できない。本当に恐ろしいのは、この右側。そこには勝手に鎖を張ってナワバリをつくり、観光客をダシにしている商売人たちもいる。
だが、そんなセコい連中のことなんて、どうでもよくなってくるほど、この旅は特殊だった。何しろ、3日目の朝、自分が日本で住んでいる町の名前、いつもの仕事の様子を忘れてしまった。あれは面白い体験だった。

今回も大量にメモをとったので、おいおいブログにまとめていこう。その前に、この旅の概略を。


おそらく、プエルト・イグアスに滞在して、3日もつづけて滝に通った人は少ない気がする。僕が事前に調べた旅行記は、ブラジル側(フォス・ド・イグアス)に泊まって、バスでアルゼンチンへの国境をこえて、プエルトの街のバス・ターミナルから滝へ向かう人ばかりだった。それなら、ブラジルから日帰りで出かけられる。
(ただし、フォス・ドからプエルト行きのバス停留所は、とても分かりづらい場所にあるらしい。ブラジルからアルゼンチンへ行きたい人は、別のブログで調べてほしい。)

僕も、当初はブラジル滞在を考えたが、今年は仕事が立てこんでおり、ビザを取得する時間がなかった。
そもそも、ブラジルからは、滝の遠景しか臨めないと聞いた。イグアスの滝の80パーセントがアルゼンチン側にあり、滝のギリギリまで近寄るボート・ツアーもある。だったらもう、プエルトまで飛行機で行って、ついでにプエルト市内のホテルも予約してしまおう。そんな、乱暴な計画だった。
もし滝に飽きたら、ビールでも飲みながら、プエルトの街を歩けばいいって考えていた(向こうは、これから夏だし)。英語がほとんど通じないそうなので、「旅の指さし会話帳」を古本で買っておいた。


まず、11/1に成田発。米国ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ空港を経由して、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスにあるホルヘ・ニューベリー空港へ。
そのまま、国内線でプエルト・イグアス国際空港へ、11/2の夕方に到着。プエルト市内のホテルにチェック・イン。
丸3日間、プエルトに滞在。11/6朝にプエルトの空港(滝からはそう遠くない。というか、公園とプエルトの街の中間あたりに、イグアス国際空港がある)を発つ。11/8には、成田に帰ってこられる。

しかし、あまり詳しく、事前情報を調べる時間がとれなかった。
絶対に立ち寄る都市や施設の名前、友だちが教えてくれたレストランの店名、現地で申し込むツアーの名前などを、小さなメモ帳に大きな文字で記しておく。地図も印刷しておく。「地球の歩き方」は図書館で借りて、必要なところだけコピーして、ファイルに入れて持っていく。

お金は米ドルを数万円、用意した。友だちは、米ドルを闇両替店でペソに換金しないほうがいいと言う。カード払いが、けっこう使えるらしい。ただし、滝のある公園に入るには、ペソの現金(おとな一人330ペソ)が、絶対に必要となる。
滝を見るには、ペソの現金必須。これは、どのブログでも、くどいほど書いてある。
また、滝に突っ込むボート・ツアーを考慮して、頑丈そうなサンダルとショートパンツ、Tシャツを買っておいた。


滝を間近に見るのともうひとつ、この旅にはサブ・テーマがあった。
昨年秋から対人恐怖が悪化し、映画館で隣に人が座るだけで、猛烈に発汗してしまうようになった。旅先ではやること、考えることが多いので、対人緊張が和らぐ。今回の旅も、飛行機やバスの中で汗をかいたりパニックにならないよう、訓練したい気持ちもあった。

よって、医者から処方してもらった精神安定剤も大量に必要だ。
今回は、まず成田で。次に、ブエノスアイレスで未知のトラブルが待っていた。(つづく)

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