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2016年10月12日 (水)

■1012■

レンタルで、『アラビアのロレンス 完全版』。3時間半。
6a26676445512fb8687691262342e81f歴史には無知だが、オスマン帝国からアラブ人を解放したイギリス人将校の話だと分かっていれば、描写のひとつひとつはシンプルなので、難解ということはない。
カット割がどうとかいう映画ではない。広大な砂漠を、たった一頭のラクダが、あるいは数百頭ものラクダに乗った軍勢が横切るだけで、唖然として言葉を失う。会話シーンは「次は、いかなる壮大な光景を見せるのか」を示唆するガイドラインのように思えてくる。

あっと驚かされるのは、前半でアカバという湾岸都市を攻略するシーンだ。まず会話で、「アカバ湾は強力な砲台で守られているが、それらはすべて海からの攻撃に備えているため、陸上はガラ空きだ」と説明される。
果てることのない砂漠を必死で歩き、犠牲者を出しながらも、ロレンス率いるアラブ人のラクダ部隊はアカバ湾に到達する。カメラは、俯瞰で港町になだれこむ軍勢を追って、ゆっくりとカメラを右へ振る。やがて、画面右側に巨大な物体がフレームインしてくる。それは、軍勢とは逆側、つまり海のほうを向いた砲台なのだと分かる……。これはすごいカットだ。言葉で何が起こるのか前もって伝えてあるのだが、「つまりは、こういうことだ」と、絵で、力づくで説得される。
その役立たずの砲台に、洗濯物が干してある。それは、トルコ軍の軍服だ。その洗濯物が映るだけで、いかにトルコ軍が油断していたか分かるでしょ? ディテールが効いている。

しかも、海を向いた砲台を映したところでオーバーラップして、海に沈む夕陽へとシーンが移行する。
次のカットは、夕陽でオレンジ色に染まった海岸へ、たったひとりでラクダに乗って、悠々と歩き出すロレンス。そこへテーマ曲が静かに流れると、「ああ、彼は勝ったんだな」という安堵感があふれる。実に荘厳だよ。
ここまでで、すでに2時間近いから、あと一時間半ぐらい、最後まで見てやろうって気持ちになる。


アカバ湾を攻略したロレンスは、従者をつれて、3人だけでシナイ半島を横切り、スエズ運河に出ようとする。これがまた無謀な計画で、やはり犠牲者を出してしまう。
残った従者とロレンスは、砂漠の中の町にたどりつくが、そこは廃墟だった。砂まみれのロレンスは、もうクタクタだ。従者に手を引かれて歩き出すと、汽笛の音がする。次のカット、砂丘の向こうに、大きな船の煙突と船橋が見える。SF映画のような唐突感。
「こんな砂漠に、どうして船が?」と驚いていると、次のカットは青々とした運河を進む貨物船。ちゃんと、スエズ運河に着いていたのだ。

徹頭徹尾、「次はここへ向かいますよ」とセリフで説明した後、ミもフタもない雄大な「絵」の強さで見せる映画。これ、3時間半でレンタル代100円だからね。見ないのは損でしょう!


「虚像」と分断について思ったこと(

「一流大学に通うような“優秀”なお嬢様は被害にあわないのが普通、

という前提での話は、

“優秀”じゃない人なら被害にあっても不思議じゃない、という前提をも内包しています。」

一連のAV強要被害を声高に叫ぶ人たちに感じた違和感を、見事に言語化している。
被害の実態、被害者を救済する以前に、「AVは汚い」「出演する人は愚か」前提だよね、人権団体も弁護士さんも……。

だけど、この話題、関心をもつ男性は、ほとんど周囲にいません。
AVだって、アニメや映画と同じ表現物だと思うんですけどね。


11月1日~8日までの、旅行の計画。
1日17時、成田発。アトランタ、ブエノスアイレス経由で、2日15時にイグアス着。
6日12時、イグアス発。ブエノスアイレス、アトランタ経由で、8日15時30分に成田着。

いつもは、あまり人気のない観光地に立ち寄って「余白」を楽しむものだが、イグアスの滝を見たいだけなので、プエルト・イグアスへ直行直帰。ホテルも、同じ場所に4泊する。
そのうち一日は、どうしようもなくヒマになるのは、目に見えている。旅先で国境をこえた経験はないので、ブラジル側(フォス・ド・イグアス)へ行ってみるのもいいかも知れない。

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