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2016年9月19日 (月)

■0919■

レンタルで、大島渚の『悦楽』と、米映画『クラッシュ』。
322654view001クローネンバーグの愛すべき変態映画『クラッシュ』じゃなくて、アカデミー作品賞を受賞した2005年作品。タイトルは車の衝突事故と、人種間の軋轢のダブル・ミーニングになっている。
幾重にもかさなる黒人差別や、ペルシャ人がアラブ人と間違われて、経営している店を襲撃されたり、テーマに即した事件を効率よく、別の言い方をすれば「都合よく」描いているにすぎないのだが、グイと引き込まれた。

かぎられた時間と場所で、多くの人々がすれ違う、グランドホテル方式の映画だ。俳優の顔が印象的かどうかが、大事になる。
黒人女性というだけで屈辱的な目にあわされるタンディ・ニュートン、すさまじい人種差別主義者の警官であるマット・ディロン、地方検事を演じたブレンダン・フレイザー、悩める黒人警官のドン・チードル、心優しきチンピラ、リュダクリスの顔も忘れられない。
数えきれないほどの顔、顔、顔……演出がどうあれ、脚本が何であれ、俳優は映画を救う。


そして、もうひとつ。キャラクターたちが「私はいま、こういう理由で怒ってるのよ」と、ストレートに説明してくれるのが、いいんだろうな。「このあたりは白人が多いからな。俺たちが黒人ってだけで警戒される」とか、遠慮なく、どんどん説明してくれるところが。
いつもの僕なら、「セリフだけで完結したセリフは退屈」と批難するところだ。だけど、この映画からは、多民族がごっちゃに暮らすアメリカの実相を知りたかったわけで、点数をつけることが目的じゃない。
まんまと、アメリカという国に興味がわいてきたので、それは十分な収穫。

11月の旅行で、ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ国際空港で乗り換えるんだけど……最初はアメリカ国内はイヤだったんだけど、そうでもなくなってきた。
ヨーロッパに観光に行けば、僕らは韓国人や中国人に間違われる。三番目に「ひょっとして日本人?」と言われる始末。向こうから見れば、「アジア人」と十把ひとからげだよ。
それを肌身で知れば、日本人の妄信する同質性・均質性に、ほとほと嫌気がさす。


昨夜、ツイッターで一方的なdisりを見ていて、思ったこと……。
威丈高に他人を叩ける者には、「このジャンルでは、俺がナンバーワン」「異論は認めない」優越感があるんだろうな。

でも、優越感と劣等感は、コインの表と裏だから、「てめえの意見は認めない」とムキになっている人は焦ってるんだよ。優越意識が脅かされていることを、本能で悟っている。
いつもは傲慢で偉そうなのに、落ち込むと雨に濡れた犬みたいに、心配になるほどションボリする人って分かりやすいじゃん? 本当に自信のある人は、誰に対しても謙虚で、落ち着いて丁寧に接するものです。

男でも女でも、右でも左でも、ネットでもリアルでも、汚い言葉で他人を罵る人は、強いコンプレックスを持っていると思って間違いないです。

Lions Gate/Photofest/MediaVast Japan

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