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2016年9月 9日 (金)

■0909■

Febri Vol.37 明日発売
51ah45h91xl_sx350_bo1204203200_●Febri Art Style
特集にあわせたつもりはなかったのですが、試写前から要望していた『君の名は。』を、取材しました。
美術監督・丹治匠さんインタビューと、美術素材の構成です。美術素材は、撮影前のものは無数のレイヤーに分かれており、一枚ずつ数時間かけて吟味しました。同じ絵が他誌にも出ていますが、僕は不要なレイヤーは省くかたちで掲載させていただきました。
●渋キャラオヤジ列伝 第十四回
今回は『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のおやっさん、雪之丞にスポットを当てました。


朝9時から、『この世界の片隅に』の完成披露試写。ロビーですれちがった片渕須直監督に声をかけると、「今日はゼロ号だからね!」と、疲れも見せぬ満面の笑み。

7年前になるけど、『マイマイ新子と千年の魔法』は、試写会に足を運ぶたび、いつも数人……という有り様だった。
あれは得がたい出会いだった。気まぐれに見にいって、「あと10回見よう」と、即座に決めた。だけど、観客サイドが金銭的リスクを払ってまで映画を盛り上げるのは、これっきりにしようじゃないか……と、一年間、全国のファンたちの力で上映が継続されたあと、思った。

『この世界の片隅に』の場合、丸山正雄さんの発言()にある「最初の3~4年は、地獄」だったからには、それなりの理由があったはずで、その分析は欠かせないと思う。
当初、お金が集まらなかった背景には、『マイマイ新子』の興行不振もあるでしょう。「企画がいい」「作品内容がいい」だけでは突破できない壁を示してくれたと思うのです。


そういうバイアス込みで『この世界の片隅に』ゼロ号を見たわけだけど、「出会い」を求める映画。相性の悪い人は、徹底的に合わないと思う。それだけ、ハイブローな作品。原作漫画の、漫画ならではの表現を「まさか、こうする?」という、旺盛な実験精神で換骨奪胎している。
そういう難解なシーンが増えてきて、僕の胸にようやく、『マイマイ新子』を見たときの「これは、うまいこと“出会えたぞ”」という感覚が芽生えてきた。だけど、他の人は「うわ、分かりづらい」と引くかも知れない。そこも、『マイマイ新子』と同じ。

なので、「より多くの人に見てほしい」と言うよりは、「出会うべき人に出会ってほしい」作品。そういう意味では、公開規模はこれでいいし、主演声優がのんさん、音楽がコトリンゴさん……という手堅い布陣は、ことごとくプラスに作用している。


たとえば、アニメで物語を進めるには、キャラクターに芝居をさせるか、説明ゼリフで「こんなことがありました」と聞かせるしかない。
だけど、この映画は絵と音声が同時進行しているとは限らないし、一枚の絵の中でふたつの物語が発生したりもします。背景を飛んでいるトンボに、ふっとセリフ内容がリンクしたりする。
「あれ? いま何かすごいことが起きたぞ?」と気づかされる瞬間、それが「出会い」です。気づかない人でも、もちろん物語を理解できるとは思う。ただ、僕は7年ぶりに、とんでもない怪作に出会ってしまって、映画が万人向けの予定調和に終わらなかったことに満足しています。

僕とっては、心地よく、とがった作品でした。

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