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2016年7月28日 (木)

■0728■

明日から再び原稿、明後日は友人2人と『シン・ゴジラ』。
買い換えようかと思っていた革靴を、6千円かけてオーバーホールしてもらった。あと、何年ぶりかでスラックスを新調。


レンタルしてきた映画を、2本ほど見た。
大惨事までのタイムリミットが一時間を切って、周囲が「この状況で、そんなことやっても無駄では……」と指摘しているのに、主人公が「でも、やるんだよ!」と怒鳴る。邦画って、本当にこのパターンが多い。プランも知識もないのに力づくで押し通して、「思い」でやり遂げてしまう。
『シン・ゴジラ』の感想()は、実に多くの方に読んでいただいたけど、「その道のプロフェッショナル」が必要なシーンで、必要な仕事だけやって、さっさと退場していく。そのソリッドさが、本当に気持ちいい。カッコいい。

「でも、やるんだよ!」が受け入れられてしまう、汗だくで絶叫し、ノープランだけど必死にやったから認めてくれ!式の邦画がヒットする現状も、理解できなくもない。なぜなら、「苦労した人が、いちばん偉い」という歪んだ美意識を、義務教育で叩き込まれるから。
「得意なことを好きようにやって、いい結果を出す」。それが、誰にとっても幸福なはずですよね? なのに、「無理して、徹夜したり病気を押してやり抜いた仕事のほうが尊い」ってことになっている。そのくせ、ストレスのあまり個人がつぶれると、「なぜ周囲に相談しなかったんだ!」と、自己責任にされてしまう。

ネットの経験談で、「睡眠時間を削らざるを得なくなったとき、どう仕事を乗りきる?」という.テーマが設定されていたんだけど、そういう設問が出てくること自体、異常です。
みんなが好きなだけ寝られて、たくさんお金をもらえる社会にする。誰もが苦労せず、ストレスなく悠々自適に暮らせる社会がベストなのに、それを口にしてはいけないような不健全さが、日本社会に根づいている。


僕は大学時代から、ガレージキットの原型や見本制作で何万円かずつ稼いでいたけど、「そんなの仕事じゃない」って、周囲からさんざん言われたものだった。
「大学生のアルバイトってのは、皿洗いとか清掃とかだろ」って脅迫的に迫られて、何度かやってみた。時間より早く終わって、さっさと着替えて帰ろうとすると、先輩から「何か出来ること探せ! 楽すんな!」と怒鳴られた。

だったら、好きな模型を作って、その何倍ものお金をもらったほうが絶対いいじゃない? 大学を出てからも、しばらくは模型を作ってお金を得ていたけど、「廣田の仕事は、社会人のやることではない」と責めるように言われた。何だったんだろう、あれは。

今の僕の仕事は、本当に市役所に説明するのが難しくて、「ようするに、出版社に勤めているんでしょ?」「そんな仕事、本当にあるの?」と、何度も聞かれる。
市役所で、「税金を納められなくなったら、他の仕事についてもらいます」と言われたことがあって。「一応、職業選択の自由ってあるんだけど、でもね……」と言葉をにごらせてから、「あなたの歳だったら警備員、清掃員、介護の仕事ぐらいですかね。警備員は体力を使うし、介護ってのも特殊な仕事だから……あなたは、清掃員かな」と、リコメンドされた。
ようは「家畜になれ」ってことですよ。これ、本当に市役所で言われたことだからね。地獄に落ちないよう気をつけて歩いていても、地獄に道案内する係がいるわけです。

税金は払っているけどさ、自分の能力で得たお金は、旅行とかの娯楽に最優先で回したい。それが人間の幸福だって、僕は知っている。


『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』()を読んでくださった方たちのツイートに出てきた、上野千鶴子さん『スカートの下の劇場』、森岡正博さん『感じない男』。
Kindleで買って、読んでいる。

上野さんの「セクシュアリティは社会によって変動するもの」という見識はその通りだと思ったし、『感じない男』もすごい。男は性感が女性よりも劣っているが、それは男社会にとって都合が悪い。だから、女性の性感を男が支配しているかのようなポルノが多い。タブーに近い指摘だけど、よく書いた。
たとえば、痴漢でつかまった男が「自分が男であることを確かめたかった」と言い訳するのも「性感で劣る男性が、女性を支配しているかのように偽装したい」社会の重圧だと説明できる。性犯罪ってのは、やっぱり征服欲、支配欲なんだよ。

小学校時代、教師からも駄菓子屋のオヤジからも、「男らしくしろ」と、どれだけ言われたか。僕は無口な子どもだったから、ご飯を食べるときも黙々と食べていたんだけど、親戚のおばちゃんが「本当はおいしいんでしょ? 男の子って、おいしいとき黙ってるものだよね」と、勝手に断定されたりもした。
肩まで髪をのばしていた12歳の僕は、『11人いる!』の男女どちらにでもなれるフロルに憧れていた。今年のクラス会で、「ヒッサン(僕のあだな)は、本当に肌がきれいで、女の子みたいだったよ」と女子から言われて、なんだか報われたような気持ちになった。

僕は屈折しているけど、この屈折は武器になる。『我々は如何にして美少女の~』を書いて、よく分かったよ。たっぷりとは言わないけど、印税も入ったし。

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