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ホビー業界インサイド第13回:フィギュア原型師を悩ませる「好み」と「偏り」原型師 稲垣洋インタビュー!(■)一年前に、「アルターの原型師」としてデコマス作成担当さん、企画担当さんと一緒にインタビューさせていただいた原型師、稲垣洋さん。前回のワンフェスでお会いしたとき、「もうちょっと深いインタビュー、やりましょうか」という話なり、単独インタビューが実現しました。
ある意味、『我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか』の内容をバトンタッチしていただいた気もしています。
「自分が、そうなりたい女性キャラを作る男性モデラー」という分類にもハッとさせられますし、「ロリータ趣味からショタ趣味に移行した男性を、“変態”だと笑えないはず」という指摘にも、感銘をうけました。
オタクのセクシュアリティって、茶化されるばかりで真面目に言語化されてこなかったし、まして当事者が顔と名前を出して語る機会は珍しいのではないかと思います。当事者不在のまま、「二次元キャラが好き」というだけで、一方的にボコられたりするのは、真摯な自己言及が不足しているせいでは……という気もします。
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告知を忘れていましたが、都築響一さんから、取材を受けました。記事のタイトルは『短期集中連載:マニア本の著者に聞く vol.1 「我々は如何にして美少女のパンツをプラモの金型に彫りこんできたか」――廣田恵介とセンチメンタル・プラモ・ロマンス』。
都築さんの有料メルマガ【ROADSIDERS' weekly】2016/07/20号 Vol.220(■)で、読むことができます。本では省略した恋愛遍歴、対人恐怖症のことなど、いろいろとぶちまけてしまいました。
『我々は如何にして~』自体は、発売から一ヶ月が経過。アマゾンの「模型・プラモデル」カテゴリで、売り上げ1位と2位のあいだを行ったり来たりしています。
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ちょっとずつ時間ができてきたので、レンタルで『JUNO/ジュノ』。
15歳の女の子が、ボーイフレンドとのセックスで妊娠してしまうが、中絶せずに里親さがしを始める。シリアスになりがちなモチーフだが、ジョークのきいた小道具やセリフの散りばめられた、あっけらかんと楽観的な映画。アカデミー主演女優賞にノミネートされた、エレン・ペイジがいい。
主人公のジュノは、父親であるボーイフレンドを頼らない。また、我が子の里親になってくれる夫婦のうち、夫に言い寄られるが、彼の誘いを断固拒否する。
この映画では、男はトラブルの種になるだけで、まったくの役立たず。にも関わらず、それぞれ魅力的に描かれている……ジュノ自身の父親も、そうだ。
男たちは、メイン・プロットから次々と脱落していくのだが、それでも、彼らは魅力的に描かれている。そこが心憎いというか、頭がいいなあと、感心させられる。バカな男をバカとして描くのは簡単だからだ。
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一方、ジュノは母親になってくれる予定の女性が、知り合いの子どもと楽しそうに遊んでいる姿を、目撃する。ジュノの友人は「あの人、他人の子どもを誘拐しそうな勢いだね」と白けている。しかし、いつもはおしゃべりなジュノは、無言で里親が子どもと遊ぶ様子を見つめている。
その間、かまびすしい映画のトーンは抑制され、ジュノの表情を丁寧に撮る。僕が映画という表現に心酔するのは、こういう瞬間だ。
そして、頭の悪いティーン向けコメディ映画のフリをして、ちゃっかり社会的テーマをまぎれこませるテクニックにも唸らされるのです。
(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX
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