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2016年6月13日 (月)

■0613■

レンタルで、イギリス映画『オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分』。
Sub2_largeひとりの男が、高速道路を走りながら、車内で電話をかけている。登場人物は一人だけ、ワンシーンのみ、全編リアルタイムで進む。

男は、病院へ急いでいる。彼は翌朝、ビルの建設工事に立ち会わねばならない。その仕事は、専門知識のない部下にまかせるしかないので、電話から指示を出す。市役所職員の携帯番号を聞いて、必死に暗記して、車内から電話をかけて交渉したり、綱渡りのような仕事ぶりを発揮する。
一方で、彼が病院へ急いでいる理由が、少しずつはっきりしてくる。86分を走り終えるころには、彼は仕事も家庭も失っている。だが、たったひとつだけ、思わぬかたちで希望を得る。
平凡なようでいて、一筋縄ではいかないプロットだ。人生のいちばん端っこに置いたはずの厄介事が、いきなりど真ん中に位置して、彼を絶望から救う。

主演はトム・ハーディ。高層ビルを建てる仕事を「空気ごと、空を征服する」と詩的な言い方をしたり、息子と話しているうちに涙を流したり、存在感のある人間くさい役だった。
日本では『マッドマックス 怒りのデスロード』から一週間後に、『オン・ザ・ハイウェイ』が劇場公開されている。ハーディは、この2本でいくつかの賞を獲得した。

池田小事件15年で犠牲者を追悼 児童代表「安全願う心忘れない」) 
“6年生の児童代表は「つらく悲しい事件のこと、安全を願う心を忘れず、これからも過ごしていく」と述べ、安全な学校づくりへの決意を新たにした。”
……なんで、こういうことを子どもに言わせるんだろうか。児童に、「安全な学校づくり」の義務などない。「安全な社会づくり」への決意を、大人が述べるべき場、あるいは、具体的な対策を確認しあうべき場だろう。

「児童が献花し、合唱した」……ようするに「安全を願う」イベントにすりかえて、子どもにイメージを押しつけ、プログラムどおりに言うことを聞かせて、大人の力を行使したことで達成感を充足させている。

大人が、自分の気持ちをスッキリさせたいがため、子どもに言うことを聞かせる。それが諸悪の根源。子どもは、親や教師の持ち物ではない。その意識を徹底させることで、かなりの数の悲劇はふせげる気がする。


上記の事件と関係あると思い、「独身男性はネコの里親になれない」ツイートを検索していたら、どんよりした気持ちにさせられた。
別に、独身男性が信頼されないことは、男性差別とは思わない。男は、切羽つまって破滅的な行動に走りやすい。だから、自殺者は男のほうが多い。

宮城県だったかな。震災で旦那さんが亡くなった後なのに、廃墟と化した家で元気に生きているお婆ちゃんがテレビに出ていた。「女の人は、何かとやることがあるから……」と、濡れた布団を外に干したり、お茶碗を洗ったりしていた。
日々の雑事に追われているあいだは、落ち込んだり不安になったりしているヒマはないってことだろう。これは勉強になる、と思った。

だけど、「フェミばばあ」とか口癖のように言っている男性は、「勉強になる」とさえ思えないんだろうな。「男だから」「男なのに」と、空虚な権威にとらわれていては、自分が生きづらいだけだろうに。

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