■0423■
稲城長沼駅にオープンした「いなぎ発信基地ペアテラス」の開幕イベントに、行ってきました。
朝10時すぎからなので、「ちょっとキツいかな」と思ってました。しかし前日、池田秀一さんにインタビューする機会があり、「明日、行かれるんですか?」といったやりとりがあったので、行かないと池田さんを裏切るような気持ちになり、早起きしてみました。
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トークショーまで時間があったので、とにかくザクに近づいて、写真を撮りまくる。ガンダムは、いろんな思惑のからんだデザインなので、僕はあまり好きではない。かといって、ザクなら何でもOKというわけでもない。が、このザクは、「アニメのキャラクター」の立体物として純化されていたから、格別な魅力を放っていた。この37年間、ザクはケシゴムだったり、プラモデルだったり、可動フィギュアだったりしたけれど、商品ではない、プレーンな「立体像」としてのザクは、これが初めてだと思う。
美少女キャラクターなら、ワンオフの等身大フィギュアがたくさんあったのに、ロボット、ことガンダムの立体物は「ガンプラ」「ガンプラを手本にした商品」の文脈に包含されすぎていた。それを当たり前だと、僕らは思いすぎていた。
このザクを見て「何分の一スケールなのか」「17.5メートルにしては、ディテールがおかしくないか」と考えてしまうようでは、未来は暗い。いま、もう一度、僕たちの文化の何がすばらしくて、どうアウトプットすれば魅力を伝えられるのか、しっかり考えなくてはいけないと思う。
駅の周囲では、美少女フィギュアを露天で安く売っていたり、トークショーも含めて、とにかく気持ちのいい朝だった。サンライズのSさんにも、笑顔で挨拶できたし。
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岡本喜八版を見てから、コメントしようと思っていたのだが、ずーっとレンタルされっぱなしで、見られず。
とにかく、原田眞人版の『日本のいちばん長い日』を、先に見た。原田監督の編集マンは、息子の原田遊人さんだけど、あいかわらずカットの終わりきる寸前でバスバスと切ってテンポをつける。かと思うと、大事なシーンでは尺をたっぷり使う。たとえば、総理大臣が天皇陛下に向かって、ご聖断をあおぐシーン。丁寧に回れ右をする、その足元の動作を何カットにも割って、じっくりと見せる。
とはいえ、これは「顔の映画」であった。
ファーストカットは、中嶋しゅう演じる東条英機のバスト・ショットだ。やがて、天皇陛下にやりこめられる東条は、すでに焦りの色を見せている。東条のアップに、まずはハッとさせられる。
山崎努の総理大臣。その深いしわの刻まれた顔。困ったような、とぼけたような、腹の底のよめない表情。彼がウィンクをするカットには、色気すら漂っている。
本木雅弘の演じる昭和天皇の、おだやかだが、うっすらと、あきらめさえたたえた繊細なまなざし――俳優の、顔で語る映画なのだ。
それゆえ、若い陸軍将校たちが主役となる後半は、かなり迫力にかける。顔に力がないせいだ。平成の若者にしか見えない。昭和の物語に見えないんだよなあ……。
最後に、ひとつ良かったシーン。玉音放送の原稿を修正するかどうかで、陸軍大臣と海軍大臣がぶつかる。海軍大臣が部屋を出るとき、「修正の必要なし!」と怒鳴って、黒板を叩く。その反対側から、ゆれる黒板を手で押さえる人がいる――それが、リアリティだよね。かっこ悪いんだけど、黒板を叩けば、そりゃあ揺れるよね。その物理現象を見逃さずに描くことで、映画の世界に、説得力が生まれる。叩いたら叩きっぱなし、かっこいいところだけで切り抜ける映画が多い中、やはり原田眞人の演出ってのは、信用できると思った。
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明日日曜は、スーパーフェスティバル(■)に出店。
いつものように、D-20“Hard Pop Cafe”で、中古プラモなどを売ります。
(C)2015「日本のいちばん長い日」製作委員会
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