« ■0214■ | トップページ | ■0218■ »

2016年2月17日 (水)

■0217■

児童ポルノ所持の疑い 会社員を書類送検
やっぱり、フィギュアってこういう扱いなのか……と肩を落としました(リンク先の映像を見てください)。
昨夜、押収品としてフィギュアを並べたのは、警視庁生活安全課サイバー犯罪対策課なのか、愛宕警察署なのか、NHKにメールで問い合わせました。今朝、「ご指摘のニュース映像は愛宕警察署で取材したものです。人形を並べた意図については、愛宕警察署にお尋ねください」と、答えが返ってきました。
Twitterで反応を検索してみたら、さすがにほとんどの人は「え? フィギュアは児童ポルノに含まれないだろ?」と、怪訝な様子です。しかし、中には「ついにフィギュアも児童ポルノに含まれたのか」と受けとめている人もいました。テレビの前の人たちは、ニュースで使われた“性欲を満たすために集めていた” “性的好奇心を満たす目的で所持” “漫画やアニメ、CGについては、「表現の自由が脅かされる」といった懸念を踏まえて、対象になっていない”といった言葉と、何の説明もなく映し出されたフィギュアの映像とを混同して記憶するでしょう。

僕も、知識がなかったら、「いやらしいフィギュアは、取り締まりの対象になるんだな」と理解したでしょう。


もし、押収品の中に漫画の単行本やアニメのDVDが含まれていたら、もっと大きな反発が起こり、あちこちでアクションが起きたと思います。
なぜ、押収品がフィギュアだと笑って見すごされるのか、よく考えてもらいたいのです。作っている側も買っている側も、「漫画やアニメから派生したグッズの一種」としか思ってないからではないでしょうか。
二次創作物、いや創作物でも作品でもなく「商品」としか認識されていないため、「表現の自由」で守ってもらえない……僕は、そのように感じています。

商業フィギュアの世界には、客観的な研究も評論もありません。せいぜい、メーカーの仕事をまとめた本が出ている程度で、あとは「新製品紹介」「新製品の舞台裏をインタビュー」、ほとんどが、写真何枚かを使った簡単なレビュー(パブリシティ)です。
その一方、小規模なフィギュア造形教室が都内にいくつかあります。僕も見学したり、取材したりしました。女性の講習者も多いです。ただ、文化としてのフィギュアは、あまりに守りが脆弱です。だから、先日のワンダーフェスティバルの看板フィギュアについても、外部からの視線を意識してほしかったのです。

「フィギュアを文化として認めさせたい」という言葉は、30年ぐらい前から、たびたび耳にしてきました。しかし、GMOメディアが、個人のフィギュア・ブログの削除を勧告したとき()、僕は「メーカーもフィギュア雑誌も、彼らを守らない」と直感しました。
だから、大急ぎで署名を集めて、国会議員の山田太郎さんと共闘しました。フィギュアは文化として育っていない、フィギュアをお金にしている当事者たちが、まっさきに無視する――その惨状を分かってもらいたかったのです。


僕の父親は殺人容疑で逮捕されましたから、警察が何でもかんでも押収することは知っています。パソコンの中身も見られます、どんな写真を撮っていたかも、法廷で暴かれます。
今回の場合、押収品の中に漫画本ぐらいは含まれていたのではないかと思います。ただ、「漫画を並べると世間から攻撃される」ぐらいの認識は、警察にもあったのではないでしょうか。だから、フィギュアで代用したのではないでしょうか。あるいは、「漫画やアニメを規制しようとすると業界団体がうるさいから、代替物としてフィギュアを規制しよう」という流れに変わってきたのかも知れません。
(繰り返しになりますが、フィギュアなら反発する人が少なく、業界も沈黙すると証明されているからです。)

児童ポルノ規制法の目的は、「児童の権利を擁護すること」です。
なのに、「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という基準、すなわち「性的に興奮したらNG」という男性目線の基準のせいで、しょっちゅう創作物と混同されてしまうのです。混同されるたび、「児童の権利」は遠のいていきます。
同法の第一条に明記された「児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性」は、今どこをさまよっているのでしょうか。

|

« ■0214■ | トップページ | ■0218■ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■0217■:

« ■0214■ | トップページ | ■0218■ »