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2016年1月19日 (火)

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火曜日は、準新作が200円レンタルなので、TSUTAYAで『キングスマン』。スパイが主人公ではあるけど、『キック・アス』同様、ヒーロー物のパロディといった趣き。
Sub6_large_2冒頭にマーク・ハミルが登場する。愛嬌のある丸々とした老教授の役で、とても可愛らしかった。隠遁した元ジェダイ騎士を無理やり演じるより、こっちの方が断然、ハマリ役。
配役も含めて、思いどおりに撮れないところから、映画の個性が滲み出してくるような気がする。そういう意味では、『キングスマン』はフレーム単位まで監督がコントロールしすぎる。良くも悪くも、コントロールの行き届いた映画ほど、監督の限界が露呈しやすい。

だからこそ、黒澤明の映画演出を徹底研究した動画“Akira Kurosawa - Composing Movement”を見ると、その計算力に舌を巻く。必見。

「視覚的刺激こそが観客の心を動かす。そのために映画はある」……われわれの情動は、映画を駆動させるメカニズムによって生じる。この動画を見れば、分かるはずだ。


スキーバス転落事故で起きたソーシャルメディアの顔写真「引用」報道への批判
「公表された著作物は報道、批評、研究などの目的であれば出所を明らかにするなどのルールを守っていれば問題になりません。」
「誰もが見えるところに何らかのコンテンツを公開するということは、報道、批評、研究に引用されても仕方がないということです。なお引用は許可を得る必要がありません。」
……これらは常識の範囲なのだが、自覚している人は、そう多くないような気がする。

上記記事の本質は、次の一文につきる。
「今回のスキーバス事故でも、容姿についてタイトルに出したまとめサイトもあり、拡散されています。顔を見てみたいという読者の欲望から、目をそらしては議論は進みません。」
「事故死した被害者の顔ぐらい、見る権利あるよね」とか思ってません? では、あなたが死んだあと、あなたの容姿について、あれこれ言ってもOKですか? それはイヤだとか言うんだろうね? そんな自分を卑怯とも姑息とも思わないんでしょ? それぐらい、日本人の権利意識は低いと思う。権利・尊厳について、議論してより良いものに高めていこうって意志も、まるで感じない。この社会には、向上心が欠落している。 

僕の提出した【実在児童への性暴力写真に関する請願書】()が、要所要所で無視されているのも、無理からぬ話に思えてくる。 「犯罪にあった児童の権利擁護」という観点から“児童ポルノ”法をとらえる人が、絶望的に少ないからだ。


上記記事と並んで、「お受験ポルノにご用心」というコラムがあった()。
著者はフードポルノを「広告、インフォマーシャル、調理実演、その他の視覚メディアでの、調理や食事における魅惑的で豪勢な視覚表現」と、解釈している。

さらに著者は、コラムをこう結んでいる。
「性的なポルノやフードポルノ、キャリアポルノが現実とちがうことを自覚するのと同じ程度には、お受験ポルノが現実とはちがうことも自覚しておくべきかと思う。」……著者は無自覚なようだが、 「ポルノ」という言葉は、容易に「現実とちがうこと」に結びついてしまう。「児童ポルノ」と呼んでいるかぎり、犯罪過程で撮られた画像は「現実とはちがう」「視覚表現」へと、曲解される。曲解されるたび、性犯罪にあって無理やり写真をとられた児童の尊厳は、何度も何度も忘却される。
他でもない、性犯罪撲滅をうたう人たちが、真っ先に忘れる。無視をする。調べない、考えない。この社会は、いくらでも無知に、無慈悲になれるのだ。

(C)2015 Twentieth Century Fox Film Corporation

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