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ホビー業界インサイド第7回:説明図どおりに作るだけで、プラモは楽しい! プロモデラー、松本州平インタビュー!(■)中学時代に「ホビージャパン」誌で愛読させていただいた、伝説のモデラーさんに取材できました。
僕は、一生分のボキャブラリーは、中学~高校に読んでいたテキストによって、その素地ができあがると思っています。なので、当時のホビージャパン~モデルグラフィックスの記事で使われていた言い回しは、死ぬまで抜けないでしょう。
この記事で、「~でしたねえ」という語尾を多くしたのは、当時のホビージャパンを意識しました。
でも「懐かしいから」ではなく、現在のプラモデル・ブームに加速をかけたいから、キャラクター性の強い松本先生に、ご登場願ったんです。
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黒澤明作品をきちんと見直そうと思い、レンタルで『わが青春に悔なし』。1946年、GHQの占領下で公開された映画だ。主演は、原節子。時代背景もストーリー展開も、不勉強ゆえ、よく分からなかった。だが、前回紹介した動画“Akira Kurosawa - Composing Movement”のおかげで、十分に演出を楽しむことができた。
複数の人物が、椅子に座って話し合っているようなシーンでは、背景にコーヒーを淹れてまわる人物を入れて、動きをもたせる(その人物のリアクションによって、会話内容の深刻さが分かる。効率的だ)。
あるいは、原節子が座って思いつめている。そこへラジオ放送が流れると、原の周囲に座っていた者たちが一斉に立ち上がり、ラジオに聞き入る……が、原は座ったままだ。原のかたくなな気持ちが、“動かさない”演出で伝わってくる。
冒頭近く、川沿いの道を原節子と藤田進が、画面奥へ、楽しげに走っていく――手前には、川が流れている、カットの終わりちかく、他の学生たちの足が大きくフレーム・インして、上手から下手へ、川を渡っていく。原と藤田は下手から上手に走っているので、ちょうど逆方向の動きだ。フレームサイズも、ロングとアップ。対照的だ。それだけで、画面にリズムが生まれる。
さらに言うなら、原と藤田だけが特別な二人で、あとの学生たちは「その他大勢」である……と、この冒頭ちかくのワンカットで説明できている。機能的だ。セリフに頼ることなく、映画の全体像を示している。
果たして、役者の動く方向やサイズは、瑣末なことなのだろうか? 「細かいことはいい、ストーリーが大事だ」「映画に魂がこもっているか、愛情があるか」といった抽象的な話に、僕たちは話をそらしたがる。魂も愛情も、技術を使わねば伝えることができないというのに。
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今月は、あと一件、取材がある。春には、単行本が出るという。その本の取材も、どんどん入れていかないと、執筆時間がとれない。
なので、毎年3~4月に行っている海外旅行は、秋になりそう。秋なら、単行本の印税も入っているし、ちょうどいいだろう……もし、本当に出版されるなら、の話だが。
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