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2015年12月28日 (月)

■1228■

レンタルで、『アメリカン・ハッスル』。
Sub3_large1970年代後半に起きた汚職事件をベースにした、見事な映画だった。詐欺師を主人公にした映画は数多いが、先に結果だけを見せておいて、ほんの少しだけ時間を遡って後説したり、ストレスなく進む。映像で見せるか、人物に語らせるか、説明の配分・判断もうまい。

語り口も冴えているが、人物に魅力がある。ハゲをカツラで隠し、すっかり中年ぶとりしてしまった主人公を、クリチャン・ベールが暑苦しく、それでいて愛嬌たっぷりに演じている。焦ったり、怒鳴ったり、悔いたり、どうにも憎めない。
彼を利用するFBI捜査官、騙される市長、彼らの妻たち、誰もが弱みをむき出しにしているところが良いんだろうな。「弱みを見せる」とき、その人が何を大事に生きているか赤裸々になるので……よく出来た脚本や俳優の演技だけでなく、粘りつくように人物に密着したカメラワークも、効果的だった。

70年代のファッションが、また良いんだよね。「よし、もっと映画を見よう!」という気持ちにさせられた。


そういえばTSUTAYAでは、何十本と並べられた『スター・ウォーズ』シリーズが、数本を残して、すべて借りられていた。ほんのちょっと前まで、『スター・ウォーズ』は忘れられた映画だったのに。地上波放送された『ファントム・メナス』を録画で見たが、いい具合にカットされ、テンポがよくなっていた。

僕は、『ファントム・メナス』にあふれる多幸感が好きだ。奴隷のアナキン少年には、クワイ=ガンという保護者が現れるし、辺境のナブーには文化と緑があふれている。銀河の中心には、ジェダイ騎士たちの本拠地でもある大都会コルサントがあって、どこへ行っても、何の不安もない。クワイ=ガンが倒れても、オビ=ワンが守ってくれる。
Cxm7bzuqaatszgあれはやっぱり、孤独でなくなったルーカスの心象風景なんじゃないだろうか。……と、想像でものを言い過ぎるのはこわいので、970ページの大著「スター・ウォーズはいかにして宇宙を征服したのか」を買ってきて、昨日から読んでいる。

するとやはり、ルーカスの故郷モデストは辺境ではなく、ルーカスと父親の仲が悪かったわけではないこと等が、はっきり分かってくる。評論家たちの勝手な思いこみを、地道な取材によって、慎重に打ちくだいていく。いい本だ。


『フォースの覚醒』については、ネット上の賛否両論をいろいろと読んでみた。
作中人物の加齢を茶化すのは問題ないんだけど、俳優や監督の名前を出して、病名まで書いて笑うのは悪趣味。品性下劣だね。

ちょっと話はそれるけど、僕の父親は殺人犯として服役中だ。
公判のとき、父親側の証人は、こう言ったんだ。「彼は、うつ病に苦しんでいた。坑うつ薬の副作用で、気が動転して殺してしまっただけではないのか」。
僕はとっさに、「証人は、うつ病について調べたのかどうか、聞いてください」と検察官に耳打ちした。案の定、証人は何も調べていなかった。ここでハッキリさせねば、「うつ病の人は、他人を殺しかねない」という、とんでもない誤認が広がってしまう。

○○監督は、もう歳だから、□□病で……なんて書いたら、冗談とは受け取らない人も、中にはいるわけ。ツイッターの罵りあいで、「心療内科にでも行かれてはいかがですか?」を連発している人がいたけど、20年以上も心療内科に通院している僕は、いい気分じゃなかったな。

口の悪さで優越感に立ちたがる人は、「私はコンプレックスにまみれています」と告白しているようなもの。

(C)2013CTMG

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