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2015年12月25日 (金)

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モデルグラフィックス 2月号 25日発売
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●ジオンの人々はグフを使って何をしたかったのか?
グフ特集なので、「グフのバリエーションを総括してほしい」との依頼を受け、構成・執筆しました。劇中での活躍と、主なバリエーションを集めただけなので、何も新しい情報はないのですが、「どうしても新しい敵ロボを出さざるをえなかった」「Gファイターへのエクスキューズとしてド・ダイに乗らざるを得なかった」グフの苦悩と悲哀、転じて生じたチャームポイントを感じていただければ……。
(ガチな兵器としての解釈や、デザイン考は他の方が書かれています。)

●組まず語り症候群第38夜
今回は、ニチモの1/20ファミリー人形セットです。この連載も4年目に入り、次々号から新企画が連動する予定です。


レンタルで、『ウォンテッド』。
17_largeグラフィックノベルが原作とはいえ、「ここまで無茶苦茶がゆるされるのか?」と、呆気にとられる荒唐無稽なアクション映画。やはり、新たにつくるためには、破壊せねばならない。

物語は、例によって、ありきたりだ。退屈なサラリーマン生活をおくる主人公が、実は1千年の歴史をもつ暗殺集団の血筋をひいていることが分かる。美女の暗殺者に連れられた彼は、『侍ジャイアンツ』もかくや、というギャグすれすれの特訓を受ける。特に、走行中の列車の上での特訓シーンでは、声を出して笑ってしまった。

CGを多用し、空中で弾丸と弾丸がぶつかる(敵と味方の射撃の腕が互角という演出)が繰り返され、その態度は大胆不敵というよりルーズなだけなんだけど……でも、『侍ジャイアンツ』の魔球に「出来るわけないだろ」とツッコミを入れるのも、野暮でしょ?
後半は裏切りにつぐ裏切りで、主人公は組織相手に、ひとりで立ち向かうのだが、その切り札となるのは、ピーナッツバターで釣った無数のネズミを使う生体爆弾なのだ。シリアスなムードの中で、「これってギャグじゃないの?」と疑わしいアイデアを割り込ませてくる。その無作法さが、美学に転じていく。


ちょっと関心せられたのは、紡績工場を隠れみのにした暗殺集団に指令を出すのが、機織り機である……というアイデア。糸が上にズレているパターンを「1」、下にズレているパターンを「0」と法則化し、暗号を解いていく。これ、『ディファレンス・エンジン』じゃん! ようするに、ジャカード織り機やバベッジの階差機関に通じる、スチーム・パンクの発想でしょう?

……といって、この映画のコミック的無作法さの格が上がるとか、そういう話ではない。
映画って、僕らが思っているより、ずっと奇妙で難解な表現形式で、その割には、あまりに荒っぽく扱われてきたよなあ……と、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の賛否両論を見ていても、思うのですよ。


さて、昨夜のクリスマス・イヴ、ちょっとした宴会があった。
僕と同年齢で、海外で仕事してこられたデザイナーさんが『フォースの覚醒』を見たという。その彼は、このように語る。
Georgelucasstarwars2「キャラクターものの続編や焼き直しが半世紀も続いてきた日本文化に、やっとアメリカも追いついてきたのかも知れないよ? だって、僕らは『ガンダムUC』で富野ガンダムの続編を他人がつくるところを見ているし、まったく時空的なつながりのない『Gガンダム』や『SEED』も、宇宙世紀を知らない層が、ちゃんと受け入れてきたじゃん? 『スター・ウォーズ』も、ようやくそういう次元に突入したんだよ」。

「ほう」と、僕は身を乗り出す。
「今度、『ゴジラ』の新作やるでしょ? アメリカから見に来るって知り合いがいるぐらいだよ。だけど、『ゴジラ』なんてガキ向けの低予算映画って思われていた時期だってあったじゃん? 平成『仮面ライダー』や『ウルトラマン』だって、“こんなのライダーじゃない!”って叩かれながら、新規にファンを獲得してきたでしょ。それは日本独特のキャラクター文化だったけど、アメリカにも伝播したんじゃないかな。ライトセーバーを持った主人公と黒い敵さえいれば、まったく別世界の話でも『スター・ウォーズ』と呼ばれる時代が、そのうち来るだろうね」。


そのように語る彼は、アニメの『クローン・ウォーズ』が大好きで、ソフトをすべて揃えているほどだという。
そう、僕らは、「ライトセーバーを持った主人公」と「黒い敵」さえいれば『スター・ウォーズ』と呼ばれる別作品を、とっくに目にしている。『ファントム・メナス』は、たまたまアナキンとかオビ=ワンとかヨーダとかいうキャラクターが出てくるだけで、『新たなる希望』シリーズとは別の映画なのだ(と、気づかされた)。制作された条件も背景も違う、手法も違う。なのに、同じ評価軸が通用するわけがない。

『フォースの覚醒』は、原作者不在でつくられた、個人作品ではない初の『スター・ウォーズ』だ。この平行世界では、帝国軍と反乱軍が、名前を変えながら戦っている。XウィングもTIEファイターも、まだ最新鋭機だ。来年公開の『ローグ・ワン』は、まあOVAのようなものだろう。すでに、歴史は舵を切っている。『スター・ウォーズ』は、僕が死んだあとも、形を変えてつくられつづけるだろう……その変化を最初に受け入れたのは、他ならぬジョージ・ルーカスなのだ。

(c) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.
Getty Images

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