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2015年9月23日 (水)

■0923■

“手描き感”を大事にした新TVシリーズ「ルパン三世」の魅力 友永和秀総監督インタビュー
T640_687904友永さんにインタビューするのは、『名作に学ぶアニメのつくり方』につづいて、二度目です。
日本の漫画・アニメ業界は、怪物レベルの“絵描き”の宝庫で、友永さんの仕事歴を見てもため息が出るのですが、いま「作画を中心にインタビューしよう」とすると、「作画マニア」と言われてしまいます。
テーマやストーリーについて書いてくれというオーダーはあるけど、作画や演出の魅力を語る機会は、どんどん少なくなっている。アニメにかぎらず、映画でも「泣ける」かどうかが評価軸になりすぎている。

創作物を支える「技術」の部分が忘れられていないか、たいへん気になる。
インタビューでも触れているように、今回の新作『ルパン』は、セル画時代を思い起こさせる動画のラインになっているわけだけど、そうすると、動画会社に技量が求められる。「味わい」とか「風味」といった要素すら、技術力に支えられているのだ。

たとえば、宮崎駿監督に関するネット記事で、「『崖の上のポニョ』の制作においてはCGを徹底的に排除した」という一文を見かけた。実際には、背景はマスクで動かしているし、モーフィングも使っている。「CGを徹底的に排除した」とは言い切れない。僕も作画監督の近藤勝也さんに取材して確かめたし、ロマンアルバムの撮影監督のインタビューにも載っている。なのに、「すべて手描き」という部分のみ、神話化してしまっている。
精神力、感情や根性のみで作品がつくられているかのような認識を、僕は怖ろしいと感じる。


アグネス・チャンさん殺害予告の報道につきまして
女子現代メディア文化研究会さんのブログ記事。“「児童性虐待記録物」としての「児童ポルノ」ならば、私どもは一切認めてはおりません。そしてくり返しますが、暴力により他者を服従させようとする行為は、私どもは断じて許すことはありません。”

アグネスさんの殺害予告のニュースについては、記者たちも「児童ポルノ」を、よく分からずに報道している気がする。
性虐待、性暴力によって撮影された画像を禁ずる法律だと思ったら、警察は市販のDVDや写真集を取り締まろうとしている。いまだに、漫画やゲームも規制対象だと思っている人すらいる。
「児童ポルノ認めないと……」と殺害予告した容疑者本人も、「児童ポルノ」の定義にかんして、なんらかの勘違いをしているようだ。

思いこみだけで話さず、まず資料にあたるべきだと思うのだが、関連するニュース。
児童ポルノ被害、過去最悪の383人 15年1~6月
「被害者のうち小学生以下は60人で、ほぼ半数が強制わいせつなどの被害を受けて裸の画像などを撮影されていた。自撮りによる被害は中高校生がほとんどで、交流サイトを通じて加害者と知り合うケースが目立った。」

なぜいつも、こうした実際に起きている性暴力へ目が向けられないのか、疑問に思う。
交流サイトが「児童ポルノ」の温床になっているのなら、なぜ交流サイトを取り締まろうという話にならないのだろうか?


日本人は感情にのみ頼りすぎで、資料や整合性を論拠にしない。
感情だけで、作品はつくれない。感情だけで、犯罪はなくせない。感情だけで、世の中は良くならない。
感情に流されるのは楽で、調べたり考えたりしなくてすむ。

何かを評価するときは、百点中何点とか、合格か不合格かとか、手っとり早くて分かりやすい数字に頼るのが日本人。自分の感情を優先する分、他人には冷たい。

もっと、ひとりで時間をかけて調べて、考えの違う人と話して、効力のある方法を探し、自分の中で物事を揉まなくてはいけない。

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