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EX大衆 10月号 明日発売●大河原邦男インタビュー! メカデザインの真髄 取材・執筆
カラー3ページで、『機動戦士ガンダム』『太陽の牙ダグラム』『機動戦士ガンダムF91』『勇者王ガオガイガー』、四作品の準備稿と大河原氏による解説、さらにラスト1ページに大河原流の仕事術インタビューを掲載しました。
シルバーウィーク前の「大河原邦男展」への集客の意味も大きいのですが、30~40代の読者の仕事に役立つことを念頭において、インタビューしました。
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仏・独・墺合作映画『ルルドの泉で』をレンタル。全身麻痺で、手足を動かすことのできない女性が、聖地ルルドを訪れる。彼女は信仰心が薄く、「他の人はどうでもいいから、自分の体だけ治らないか」と考えている。
そんな彼女が、奇蹟に恵まれ、立って歩けるようになる。同じように病を治したいと思って聖地に集まってきた人、彼らの面倒を見る人、周囲は羨望や、やっかみの目で、彼女を見はじめる。
牧師までもが、「たとえ体が治っても、信仰心が大事だ」「みんなのお手本となるような生き方をしなさい」などと説教する。
映画は、果たして彼女の身におきたことが、奇蹟なのか偶然なのか曖昧なシーンを見せて、ポンと終わる。キリスト教圏の映画であっても、「信仰心とは何か?」「そんなに信仰が重要か?」と疑問を投げかけるような映画をつくる。その自問自答の姿勢こそが、文化的成熟なのだろう。
……にしても、映画のことをちょっと調べようとすると、「評価してください」と☆が並んでいるのは、どうにかならないだろうか。自分の好み、あるいは泣けたか感動したかだけで、評価を迫ろうとする。
そんな動物的感覚で計れないところに、作品の価値があるように思うのだが、衝動的に点数をつけてしまう(決して満点をつけない、作品の価値に限界を設ける)のは、義務教育の弊害だよなあ……と、ため息が出る。
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インターネットによって、僕らは結論を急がされている。
『ガッチャマン クラウズ インサイト』では、何度か「息をゆっくり、深く吐く」シーンが繰り返される。
人々に同調圧力を迫る“くうさま”は、「ひとつにならないと、困ったことになっちゃう」と言うが、どう困るのか聞くと、ピタリと口を閉ざす。
彼らは、何か隠しているのではない。彼ら自身にも、何がどう困るのか、よく分からないから黙るしかないのだ。それが怖ろしい。よく考えないから、彼らは常に焦っている。
ネットにあふれている苛立ちのほとんどは、「アイツだけずるいぞ」という妬みではないだろうか。生活保護もそう、女性の権利主張もそう、「俺より得しやがって」「お前らだけ好き勝手いいやがって」「俺らのレベルまで落ちてこい、そうすれば許してやる」。
結果、「苦しくても黙って耐える」ことをベースにした社会が望まれてしまう。「寝てない自慢」「忙しい自慢」、「私だけ得してるなんて、決してそんなことはありませんよ」アピールは、自堕落な同調圧力から生まれてくる。
強い意志をもったり、自己主張すると、「なんでアイツだけ……」とやっかまれる。
実社会で「なんで、あなただけ」と目を見て言えないから、ネットがゴミ捨て場になっている。
……だけど、ここに書いたことも、ザッと雑に想像しただけなので。
ゆっくり、深く息を吐くことを、まずは始めてみたい。
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