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レンタルで、『ハッシュパピー~バスタブ島の少女』。子供向けのような邦題だが、かなり奇怪なファンタジー映画。フェリーニやホドロフスキーに近い作家性。バスタブと呼ばれる地域に暮らす、アフリカ系アメリカ人の父親と娘。彼らの廃墟のような村落は、海面上昇によって水没してしまい、貧しい人々はボートに乗って、共同生活を始める。
同時に、南極の氷から獰猛な怪物があらわれる。この怪物たちは、CGでもミニチュアでもない。イノシシに、作り物のツノなどを付けて撮影しているようだ。怪物が町を蹴散らすシーンは、ミニチュア丸出しの町を使って、屋外で撮影している。
動物の死骸なども本物を使っており、フィルムの質感は、生々しい。
後半、政府の施設から逃げ出した少女たちが、海上にあるナイトクラブに迷い込む。ドレスを着た女たちが男性客を誘い、退廃的な装飾の店内には、古い音楽が流れている。
少女たちはひとりひとり、店の娼婦たちに優しく抱き上げられ、心の平穏を感じているかに見える。
ひさびさにジャンル分けの不可能な、インデペンデントな映画を見た。アメリカは、広い。
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『ガッチャマン クラウズ インサイト』は、第4話で、一気に怖さが増してきた。スマホ選挙や、群衆の心が読める宇宙人……などの雑多な要素は、このために散りばめてあったのか。
「インサイト」とは、マーケティング用語で「本音」という意味らしい。それを知ったとき、ちょっとゾッとした。前作は、ぜんぜん楽観的な結論だった……ということなんだろうな。
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調布市に小型飛行機が墜落した事件をネットで見ていたら、NHK ON LINEが平然と犠牲者の顔写真を掲載していたので、「必要ないのでは?」と問い合わせた。
数時間後、「NHKでは、正確で客観的な情報を多角的に伝えることを基本姿勢としています。国内外で起こる様々な出来事についてNHK独自の取材・判断に基づいて放送でお伝えしています」……などと書かれたメールが、返信されてきた。
おそらく、一日に何千と送られてくる問い合わせメールに対応するため、何種類かテンプレを用意してあるのだろう。
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産経新聞が、児童ポルノ単純所持禁止について、
「先進7カ国で単純所持を禁じていなかったのは日本だけだった。諸外国から、わが国が性犯罪に寛容な国だとみられているとすれば、これは許容しがたい。厳罰化を進めるべきである。」
と書いている(■)。犯罪被害にあった児童個人が気の毒だから、その児童の写真を見られないようにする……という視点が、抜けている。いまだに、「諸外国」の印象を優先している。マスコミの人権感覚など、この程度のものなのかと、気持ちが萎える。
だから、僕の提出した「性暴力にあっている児童の、顔写真だけでも流布禁止にしてほしい」という請願が理解されない。日本は「性犯罪に寛容」というより、人権意識が低いのだ。
「気の毒な目にあった人の顔写真は、見ないであげよう」という気づかいを、マスコミが殺して歩いている。
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