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2015年7月27日 (月)

■0727■

「ガンダムではなく、ガンダムに乗るパイロットの食事をデザインする」アニメ現場の縁の下の力持ち、ベテラン・メカデザイナーの大河広行に学べ!
T640_682880最近、更新のはげしい『アキバ総研』さんに書いた記事です。
以前にインタビューさせていただいた演出家さんからの紹介で、膨大な数の作品に参加されているデザイナー、大河広行さんに取材できました。
ここまで雑食性で、しかも謙虚な仕事観の方は、アニメ業界では初めてお会いしました。

「自分の実力はこれぐらいだから、こういう仕事はできる」「ただ、ここから先は望まない」と、冷静に客観視できれば、順調に仕事は回っていくんでしょうね。学ぶところが、多いです。


レンタルで、『それでも夜は明ける』。アカデミー作品賞受賞、ブラッド・ピット製作・出演と聞くと、「メジャーな映画なんだな」と安心できるでしょ? しかし、見たあとにグッタリするぐらい、精神的にダメージを受けます。
1386627197_631113_1386627385_sumari19世紀のアメリカ北部、自由黒人で、妻も子もいたソロモン・ノーサップは白人に拉致され、奴隷として12年間ものあいだ、残忍酷薄な人生をすごす。その描写が理不尽すぎて、絶句してしまう。
奴隷たちは毎日毎日、死ぬまで綿花畑で働かされるけど、それは白人の豊かな生活を支えるため。僕の生活も、どこかの誰かに犠牲を強いているのじゃないか、と考えてしまう。19世紀のアメリカの話だから関係ない、私は黒人じゃないし、これはただの映画だし……というのは、逃げだと思う。

現代のアメリカが、自らの恥ずかしい過去を映画化し、賞まで与えてしまう理由を、考えてしまう。そして、製作のブラッド・ピットが、主人公のソロモンを奴隷から解放する“ズルいほど善い白人”として、かなり唐突に登場することの意味とかね。
(監督のスティーブ・マックイーンは黒人なので、「お前なんかしがないドアマンか清掃作業員だ。ファック・ユー、俺のケツにキスでもしてろ」と、公の場で罵声を浴びせられている。⇒

差別意識だけではなく、差別に乗じた偽善、被差別者同士の中での優越意識やぬけがけ、裏切り……そういうイヤな構造が、今の日本社会に皆無といえるのか? やはり、考えてしまう。


主人公ソロモンの“持ち主”となる最初の白人は、信仰心に篤く、奴隷にも優しい。ソロモンが有能であることも、見抜いていた。ところが、彼は言う。「君は自己主張するし、そのうえ、仕事がよく出来る。それが災いを招くような気がする」――日本でも、有能で独立心の強い人ほど、職場で虐げられているんじゃないの?

ソロモンは借金のカタとして、残虐な農園主に転売されてしまう。
その白人は、気に入った女性の奴隷を、毎夜犯している。そのくせ、昼間は畑でこき使う。優遇しているわけではない。彼の奥さんは、旦那のお気に入りの女性の奴隷に嫉妬し、さんざん意地悪をする。もう、支配・被支配、性欲と保身の絡み合った人間関係と憎悪、あらゆるネガティブな感情が、ドロドロの塊となって出てくる。
これを果たして「過去の出来事だから、今の日本人には関係ない」と言い切れるのだろうか?


「何もかもが怖い人々は、とりあえず最も強そうなものに縋りつく」――斎藤貴男『安心のファシズム―支配されたがる人々』の一文が、いまさらながらに思い出された。

人は感動するために生きているけど、「泣ける」だけが感動ではないと思う。……まあ、疲れるんだけど、ダークな感情も「知らない」よりはマシなような気がする。

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