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アキバ総研:アニメ業界ウォッチング第8回:月収4万円の動画マン生活から、故郷でアニメを教えるまでの波乱の人生! 「うしおととら」にも参加の演出家・吉田大輔インタビュー!(■)
吉田さんとは数年前から知り合いでしたが、今回の記事は「ひとりの人間の力で、どこまで出来るか」という文脈になっていると思います。
アニメーターの月収の低さがニュースで伝えられ、「アニメーターは趣味なのだから、働いているとは言えない(社会が救う必要はない)」といった意見まで聞かれます。
一方で、結婚ばかりか家まで建て、子どもを大学に通わせているアニメ業界の人もいます。年収一千万の原画マンもいると聞きます。新入社員でも、ちゃんと暮らしていけるぐらいの額を支払う会社もあります。
ただ、つねに「最も弱い層」にフォーカスをあわせて考えていくべきでしょう。それは「業界の自己責任」ではないと思うのですよ。
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昨日5月4日は『スター・ウォーズ』の日なので、NHKで一時間の特番。
その夜、友だちと話したのだけど、『エピソード1/ファントム・メナス』の公開された1999年の熱気を、むしろ懐かしいと感じる。あの興奮は、映画の出来が悪かったからといって曇りのかかるようなものじゃない。CG満載の豪華絢爛なトレーラーを見たときのドキドキ感は、いまでも覚えている。
ナタリー・ポートマンやユアン・マレクガーら、ヨーロッパで頭角をあらわしてきた生きのいい若手俳優らをキャスティングし、「これから」を感じさせてくれた。
五年前に『ジュラシック・パーク』が公開され、僕らの親しんだアナログ特撮の時代は、ひとつの時代を終えようとしていた。同時に『スポーン』を着火点とするオモチャ・ブームが巻き起こり、マーチャン・ダイジングが盛んだった時代でもある。
ジョージ・ルーカスは、「われわれが成功すれば、同業者は、この映画の作り方を踏襲していく」と、業界全体の活性化を視野に入れていた(実際、『エピソード1』の後、あらゆる映画に前日譚がつくられた)。その反面、映画がヒットせず、一本で終わってしまう可能性を、彼は覚悟していた。その「いちかばちか」の緊張感もいい。
だが、話題性は十分すぎるほどだったため、『エピソード2』の公開時にマーチャン・ダイジングの取材をしたら、『エピソード1』の頃は商品点数があまりに多すぎ、少し怖いぐらいだった……という話を聞いた。
そのような過熱気味のキャラクター市場が、「1999年の空気」を印象づけたのは、間違いない。過去のコンテンツを最新技術で蘇らせる流行は、ピークに達していた。
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それに対して、J.J.エイブラムスによる今年の新作は、あまりにも旧三部作を意識しすぎている気がする。同窓会のような、オールド・ファンにだけ向けられた保守的な作品になりはしないか……と危惧している。
こと、新たにキャスティングされた若手俳優より、再結集した旧作キャストに注目が集まってしまっているのが気になる。もちろん、「まずは手堅く、コアな旧作ファンをつかんでおこう」という戦略は理解できる。これから夏をへて、少しずつ新世代にアピールしていくのだろう。
僕はそういった、実際に映画が公開されるまでの期待感を高めていくことも、映画の役割、楽しみのひとつだと思っている。映画の出来がどうあれ、「楽しみに待つ」ことの価値が失われるわけではない。■
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