■0515■
「試写会があったこと、タイトルやレビューはネットに書かないこと」と誓約書をかわしたので、抽象的なことしか書けないけど……。
細かいこと考えずに、やりたいことだけを堂々と最後までやり通せばいいんだぞと、大きな腕で背中を押された気分。もうひとつ、歳とったからと言って、誰にも遠慮する必要なんかない。いいものが出来れば、年齢は関係ない。僕は40半ばで、もう隠居したような気分だった。
ここ何年も、後ろ向きな、絶対に怪我をしないような企画ばかり出してきた。しかし、以前やったことをトレースしても、かつかつ生活費が稼げる程度。気持ちが新しくならない。
そして、何かやるからには、シンプルなものがいい。シンプルでなければ、人に伝わらない。
で、その映画を見た直後、いつもメールをくれる知り合いが「どんな映画だったの?」と聞くので、「すごい映画だったよ。ところで、デートしよう」と誘ってみた。フラれたらフラれたで、死ぬわけではないので、やりたいことやってみよう! まあ、それぐらいの元気は出る映画。
――デートに誘う価値のある人間だと、僕は彼女を認められた。なぜ、今日までそのことに気がつかなかったんだろう? 閉塞してたんだ、心が。
緑のまぶしい5月。
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『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』に登場した初期型ガンタンクのプラモを組み立てたら、けっこう面白い商品だったんだけど……ガンプラの新企画は、「MSD」(■)だそうで。
なぜ、大河原邦男さんのオリジナル画稿を立体で再現とか、根源的トライを避けて、「ガンプラに都合よくデザインされたガンプラ」ばかり作りたがるんだろう?
こういうこと言うと、「てめえ、文句あるなら模型誌にMSDのこと書くなよ」レベルの、幼稚な村八分が待ってるんです。自分の身のまわり数人とか、数社とか、サークル内が気持ちよく回ってくれれば、外の世界で何万人が餓死しようと構わないって発想なんですよ。
そのみみっちい人間観が、あなた方を、そのくだらない場所に係留しつづけているわけだけど。その場にしがみつきつづけるために、「男に生まれたこと」「日本人に生まれたこと」なんかを、他者を犠牲にしてまで力づくで肯定し、ますます水を濁らせていく。汚水を好む人間は、目が死んでいる。めったに笑わない。口を開けば、そいつのくだらなさが分かってしまう。
そこそこ歳とって、うまい酒もまずい酒も飲んで、数少ない国を回ってみて良かったのは、人間のくだらなさを見分けられるようになったことです。
美しいのは、他人のことを思いやれる人。「身内さえよければいい」って人間は、話す内容も話し方も、綺麗じゃない。すぐ分かる。
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最近は天気がいいので、ジブリ美術館へいたる風の散歩道を、よく歩く。
ふいに、喫茶店の軒先に、こんな花を見つける。まるで、布のような質感。
ひさびさに山本有三記念館に入ってみたら、花がいっぱい咲いていた。
花もいいけど、絵の具で塗ったような新緑が、本当にきれい。
吉祥寺駅ちかくの喫茶店。台風一過の青空だった。
「どうせ、金でももらってるんだろ?」と、物事の薄っぺらさを勘ぐって、あきらめたがる人間が増えた。いい歳をして、「他人への親切」を、媚びへつらったり持ち上げることだと勘違いしていたり。その人の裏側にある、焦りが透けて見えてしまう。
だけど、心から感動した人間の力というのは、はかり知れないものなので。そう気落ちすることもないと思う。
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