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2015年4月26日 (日)

■サントリーニ島旅行記・7(完)■

6時間ほどで、目が覚めた。ホテルのカーテンを開ける。
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「へえっ! 天気いいんだなあ」と、無意味な感想が口をついて出る。あたりは、このように高級ホテル街なので、時間をつぶせるような場所はない。
9時半になると、「朝食の準備が出来ていますが」と電話がかかってきた。確かにゆうべ、朝食のメニューに印をしてドアの外にかけておいたが、部屋に運んでくれるとか、そういうサービスじゃないのか。
あわててシャツを着て、食堂へ行く。


食堂へ行くと、確かにオーダーしたとおり、目玉焼きが出来ている。「これがあなたの分です。飲み物は何になさいますか?」と聞かれ、コーヒーを頼んだ。
コーヒーと目玉焼きのほかは、普通のビュッフェ形式だ。12時がチェックアウトで、19時まで待たねばならない。なので、出来るだけ腹につめこむ。
向かいの席から、白人の青年が怪訝そうに見ているが、気にしない。

シャワーを浴び、荷物をまとめて、チェックアウトする……が、七時間後にエティハド航空の迎えを待たねばならないので、そのままホテルのロビーに腰かけて、本を開く。
二時間ほどしたころ、ホテルの女性が近づいてきて、「飛行機を待ってらっしゃるんですか?」「もうチェックアウトしてしまいました?」「ルームナンバーは?」と聞く。
ここに座られていては迷惑なのだろうか……と思ったら、「19時30分まで、お部屋にいられますよ」と言う。「ランチも15時までなら、食べられます。もちろん、ディナーもどうぞ」。
僕は女性にお礼を言って、部屋に荷物を戻すと、ランチを食べに食堂へ行った。


ルームキーを見せて、「ランチ、食べられますか?」と聞くと、ハンサムな青年が「もちろんです」と答えて、好きなテーブルを選ばせてくれる。「飲み物はどうなさいますか?」「何があるの?」「水ですとか、あとは……」、聞きとれなかったので、水にした。
ランチには、米やエスニックな料理が並んでいたのだが、これが、とても美味い。

食べることしか楽しみがないので、ディナーの時間が待ち遠しくなってしまった。
18時30分からがディナーで、19時にエティハド空港が迎えに来る。僕は食堂へ急ぐ。さっきのハンサムな青年が、「先ほどと同じ席になさいますか?」と聞く。飲み物を選ぶのが面倒なので、「水」と注文すると、笑いをこらえた感じで「水? 水だけですか?」
とにかく時間がないから、どんどん皿にもって、「美味いなあ」と声に出しながら、米一粒まで食べつくした。
あまりにもすごい勢いできれいに食べたせいだろうか、ハンサムな青年は皿を片づけるとき、クスッと笑っていた。


部屋に戻ると、すぐに「エティハド航空から、迎えが来ていますよ」と電話があった。
廊下で、さっきの青年とすれ違った。最初は気取っていた彼は、今度は笑顔で「Have a nice trip !」と言ってくれた。僕は振り返りながら、お礼を言った。

出迎えてくれた女性の運転手も、誰も彼もが笑顔だった。
もう、何も怒る気がしなくなってしまった。昨夜、ホテルを世話してくれたスーパーバイザーの女性が、「ハロー!」と笑いかけてくれる。

往路でアブダビ空港に寄ったとき、いくらかアブダビ・マネーを使いのこしていたことを思い出した。何十時間ぶりかで、ビールを買った。空港の椅子で、「長かった……」と、声が出た。
もう少しだけ、アブダビ・マネーが残っているので、別の売店でビールを買おうとした。すると、硬貨が一枚だけ足りない。「あーあ」と立ち去ろうとすると、売店の女の子が「……いいですよ、どうぞ」と、ビールを手渡してくれた。
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この一缶に、すべてが込められている。
僕を嫌った人。救ってくれた人。道を聞いた人、聞かれた人。「ハロー」と言い合った人。「サンキュー」と言い合った人。
僕を怒らせた人も、結果的には、僕を生かしてくれたのだという気がする。だから、相手を憎みかえさないことだ。

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