■サントリーニ島旅行記・3■
気をとりなおして、港まで降りてみることにした。港へのケーブルカーは時間帯によっては大行列だが、いきなり空く時間がある。
このウネウネとした港への坂道を降りてみたのだが、降りるだけで死にそうになったので引き返し、ケーブルカーに乗ることにした。5ユーロ。
港へ降りると、すぐ遊覧船の客引きに声をかけられた。3日後に行くイアでは、前日に予約しないと遊覧船に乗れないので、ここで乗っておけば良かった。しかし、18ユーロは高いのではないか。
その代わり、港にあるカフェでビールを飲むことにした。丸々とかわいいオヤジが、「何か食わないか? ちょっと見においで」と、チキンやラム肉を焼いている様子を見せてくれた。「ビールに合うよ。どれがいい?」と聞くので、ラム肉にした。
すぐに調理されて出てきた。ラム肉が10ユーロ、ビールが3ユーロ。オヤジは話好きらしく、「ジャパン? トーキョー? アリガト!」「日本語でハローは何て言うの?」と聞いてきた。「こんにちは」と教えると、「コンニチハ、アリガト!」と楽しそう。
そして、黙ってケチャップの大ビンをテーブルの上に置いた。「これ何?」と聞くと、「かければ分かるよ」という顔。確かに、ケチャップをかけないと、味が辛すぎる。なるほど。こういう、親しげなオヤジもいるのだ。というか、大多数の人は親切だ。
しかし、こういう店でアジア人が目につくところに座っていいのかどうか、つい気にしてしまう。
■
坂道を登るのは体力的に不可能なので(だから、ロバが重宝されている)、ケーブルカーで町に戻る。ホテルで少し休んでから、夕方、外出する。
民家の近くで、白人の女性が黒人の小さな女の子と何か話しており、僕が通りかかると、「ヤパン?」と聞いてきた。あるいは、みやげ物屋の店頭で「アニョハセヨ、ニーハオ!」と笑いかけられる。こういうのは、ぜんぜん腹が立たない。実際、元気なのは韓国人。若い男女のグループやカップルが、貪欲に遊んでいた。
フィラの町に立ち、暮れていく夕陽を撮る。
夜のフィラは、また昼間の浮遊感覚とは違った趣きがある。しかし、坂を下れば下るほど、喧騒は激しさを増していき、道路に出るころには、荒っぽく車を乗り回す青年たちに出くわす。正直いって、夜のフィラは、ちょっと品位が落ちる。
フィラ泊、二晩目。夕食はピザを2ピース買い、ホテルですませる。計、7ユーロ。
■
翌朝、ホテルの朝食はパンとシリアルのみ。……まあ、予算のない中、がんばってるんだと思うけれど、勝手に部屋に入って荷物を動かすのは、やめて欲しかった。
午前中、なんとなくホテル周辺を歩いていたら、町とは別の迷宮感があって面白かった。
そして、遠くからヒゲの青年が「ハロー!」と、手をふっている。初日に、僕に宿を貸してくれたチーフ・チロルだ。彼の笑顔には、いや、人の笑顔には、誠実さがストレートにあらわれるような気がする。
■
にぎやかなフィラの町には、新先史文明博物館という知的なスポットがあり、入場料3ユーロで、かなり見ごたえがあった。
博物館を出るとき、どこの国の人か分からないが、チケットを買ったくせに「中身はナイスか? ビューティフルか?」と聞いてきて、ちょっと笑ってしまった。「おお、ナイス、ナイス」と答えると、「シェシェ!」と返された。お礼の言葉なんて、どこの国の言葉でもいいのかも知れない。
午後、カルテラドスという小さな村まで歩いてみたら、すっかり日に焼けてしまった。サンオイルが必要だと思い、ティラに戻ってからオイルを売っている店で聞いてみた。すると、20ユーロをこえるものを薦められた。「ついでにワインも買わないか?」などと言われ、「いやいや、それはぜんぜん目的が違う……」と店を出たら、店員の青年が「ここを降りて、ちょっと左へ行くとオイルの専門店があるよ」と教えてくれた。何も買ってないのに親切だと思い、「サンキュー」とお礼を言うと、「ドウイタシマシテ!」と日本語が返ってきた。
■
カルテラドスまで歩いたらさすがに疲れたので、ちょっとホテルで休む。
それから、ティラの町とは逆方向に歩いてみたら、なんと『Winx Club』の映画ポスターが!
イタリアのアニメなのに、まさか、サントリーニ島でも上映してるのか? この映画のポスターには、翌日、カマリの町でも出会い、僕はおおいに悩まされることになる……。(サントリーニ島旅行記・4につづく)
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その代わり、港にあるカフェでビールを飲むことにした。丸々とかわいいオヤジが、「何か食わないか? ちょっと見においで」と、チキンやラム肉を焼いている様子を見せてくれた。「ビールに合うよ。どれがいい?」と聞くので、ラム肉にした。
すぐに調理されて出てきた。ラム肉が10ユーロ、ビールが3ユーロ。オヤジは話好きらしく、「ジャパン? トーキョー? アリガト!」「日本語でハローは何て言うの?」と聞いてきた。「こんにちは」と教えると、「コンニチハ、アリガト!」と楽しそう。
そして、黙ってケチャップの大ビンをテーブルの上に置いた。「これ何?」と聞くと、「かければ分かるよ」という顔。確かに、ケチャップをかけないと、味が辛すぎる。なるほど。こういう、親しげなオヤジもいるのだ。というか、大多数の人は親切だ。
しかし、こういう店でアジア人が目につくところに座っていいのかどうか、つい気にしてしまう。
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坂道を登るのは体力的に不可能なので(だから、ロバが重宝されている)、ケーブルカーで町に戻る。ホテルで少し休んでから、夕方、外出する。
民家の近くで、白人の女性が黒人の小さな女の子と何か話しており、僕が通りかかると、「ヤパン?」と聞いてきた。あるいは、みやげ物屋の店頭で「アニョハセヨ、ニーハオ!」と笑いかけられる。こういうのは、ぜんぜん腹が立たない。実際、元気なのは韓国人。若い男女のグループやカップルが、貪欲に遊んでいた。
フィラの町に立ち、暮れていく夕陽を撮る。
夜のフィラは、また昼間の浮遊感覚とは違った趣きがある。しかし、坂を下れば下るほど、喧騒は激しさを増していき、道路に出るころには、荒っぽく車を乗り回す青年たちに出くわす。正直いって、夜のフィラは、ちょっと品位が落ちる。
フィラ泊、二晩目。夕食はピザを2ピース買い、ホテルですませる。計、7ユーロ。
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翌朝、ホテルの朝食はパンとシリアルのみ。……まあ、予算のない中、がんばってるんだと思うけれど、勝手に部屋に入って荷物を動かすのは、やめて欲しかった。
午前中、なんとなくホテル周辺を歩いていたら、町とは別の迷宮感があって面白かった。
そして、遠くからヒゲの青年が「ハロー!」と、手をふっている。初日に、僕に宿を貸してくれたチーフ・チロルだ。彼の笑顔には、いや、人の笑顔には、誠実さがストレートにあらわれるような気がする。
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にぎやかなフィラの町には、新先史文明博物館という知的なスポットがあり、入場料3ユーロで、かなり見ごたえがあった。
博物館を出るとき、どこの国の人か分からないが、チケットを買ったくせに「中身はナイスか? ビューティフルか?」と聞いてきて、ちょっと笑ってしまった。「おお、ナイス、ナイス」と答えると、「シェシェ!」と返された。お礼の言葉なんて、どこの国の言葉でもいいのかも知れない。
午後、カルテラドスという小さな村まで歩いてみたら、すっかり日に焼けてしまった。サンオイルが必要だと思い、ティラに戻ってからオイルを売っている店で聞いてみた。すると、20ユーロをこえるものを薦められた。「ついでにワインも買わないか?」などと言われ、「いやいや、それはぜんぜん目的が違う……」と店を出たら、店員の青年が「ここを降りて、ちょっと左へ行くとオイルの専門店があるよ」と教えてくれた。何も買ってないのに親切だと思い、「サンキュー」とお礼を言うと、「ドウイタシマシテ!」と日本語が返ってきた。
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カルテラドスまで歩いたらさすがに疲れたので、ちょっとホテルで休む。
それから、ティラの町とは逆方向に歩いてみたら、なんと『Winx Club』の映画ポスターが!
イタリアのアニメなのに、まさか、サントリーニ島でも上映してるのか? この映画のポスターには、翌日、カマリの町でも出会い、僕はおおいに悩まされることになる……。(サントリーニ島旅行記・4につづく)
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