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Febri Vol.28 17日発売予定
●『ガンダム Gのレコンギスタ』 勢力相関図、各艦隊の航路図、キャラクター図鑑、名場面集 構成・執筆
勢力図と航路図は、番組を見ながらセリフをメモして、がんばって図表にしました。やっぱり複雑なので、3パターンぐらい書き直しました。
だけど、あの世界を親切に、分かりやすく見せようとすると、たちまち薄っぺらになってしまう。最初にエレベーターがあって、終着地点がどうなっているのか見せないまま地上で話を始めるから、月や金星を遠くに感じられるのであって。
劇場パンフ用に吉田健一さんにインタビューしたとき、「金星の人たち」という言葉を聞いてしまったので、僕はちょっとバイアスがかかっていると思う。……が、月も金星も少しずつしか見せず、まだまだ広大な世界がフレームの外に広がっていると想像させるスケール感は、他の作家には真似できないと思う。
ガンダム作品的には、「地球とコロニーしかない中で、どうやって生きのびるか」という閉塞的な世界を脱却できた。それは金星という新しい場所を出したからではなく、ラストに富士山(!)を出して「富士山を登る」という身近なスタート地点で終われたからです。
あのラストに希望を感じられないとしたら、それはもう、見ている側の負けだと思います。
●Febri Art Style
今回は『ユリ熊嵐』、中村千恵子美術監督にインタビューしました。
幾原邦彦さんも、やはりすごい作家です。優れた作家は、どんなに自分の好き勝手をやっているつもりでも、時代性を取り込んでしまうのだと思います。
●『カイト/KITE』原作者 梅津泰臣インタビュー
『ウィザード・バリスターズ』以来、なんとかもう一度インタビューしたいと思っていた梅津さんに、原作の『A KITE』について聞けました。
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いまのアニメ作品は、ひとりの作家にかかる負担が大きすぎるのではないかと感じている。
作家性に頼らず、民主的にソフトの売れる企画をつくろうとすると、どうしてもハダカやパンチラに頼らざるを得ない。30年かけて、そういう市場をつくってしまったのだろうし、現場のクリエーターやユーザーを信用できなければ、記号的なエロしか残らなくなるのも道理かも知れない。
企画というのは、何も作家ありきで成立するものではなく、エロの代わりに「売れた原作」とか「続編」「リメイク」とか、何かしら安心材料を持ってきて、初めて成り立つもの。
その安心材料をダシに好き勝手をやるから、そこに道が出来ていくわけだよね。『A KITE』だって、エロで売るんだけどハードボイルドなアクションをやったから、海外の映画人に注目されたわけで。
その「好き勝手」の部分が、どんどん萎縮している気がする。テレビという、時代遅れの媒体に対する萎縮も大きいし、お金を出す人たちがネットの反応を気にしすぎとも思う。たがいに気兼ねしすぎる社会のありようを反映してもいる。
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来週月曜からギリシャのサントリーニ(ティラ)島に旅行なので、どんどん仕事を終わらせていく。
「どうしても廣田さんに書いてほしい」と頼まれるのは嬉しいけど、編集者に負担をかけてしまっている。編集者が「ここまで来てほしい」という地点まで、僕ひとりで登れない。上から、手を伸ばしてもらっている。助けてもらっているのが、自分でも分かる。
20代前半の編集者たちは悪戦苦闘しているけど、彼らには体力という資本がある。ミスするには、ミスしても取り返せるだけの体力が必要なんだ。オッサンになると、かすり傷でも治るのに時間がかかるから。
サントリーニ島には丸一週間も滞在するんだけど、そういう緩いスケジュールにしておいて良かったと思う。ビーチがあるので、革靴だけでなく、スニーカーを持っていくつもり。■
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