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ずっと探していた『第九軍団のワシ』、ようやくレンタルで。
ローマ帝国第九軍団が、北方で消息を絶って20年。第九軍団の隊長は「軍団の象徴であるワシの像を蛮族に盗まれた」と、汚名を着せられていた。その息子、マーカスは見事な指揮で砦を守り、部下を命がけで救出したことから、栄誉を受ける。
軍を名誉除隊したマーカスは、父の汚名をそそぐため、北の彼方にあるという蛮族の地におもむき、ワシの像を取り戻そうと考える。しかし、当地に詳しいのは、ローマ人に憎しみを抱く奴隷の青年ただひとり。もしかすると、旅の途中で裏切るかも知れない……果たしてマーカスは、ワシの像を見つけ出して、父の名誉を回復できるのだろうか?
原作小説を、宮崎駿が絶賛したんだよね。映画は、ディテールの手堅い冒険娯楽モノに仕上がっている。下手に美女だとかラブロマンスだとか、出さないところが潔い。徹頭徹尾、友情と忠誠の物語。
僕らも、「命をかけて」とまでは言わないまでも、日々、友だちと信頼をやりとりして生きているはず。50歳も近くなれば、そういう手ごたえを人生に感じていないと、空しいでしょう。だから、身のまわりの人間関係を想起ざるを得なかった。
途中、あまりにも広大で尊大なローマ帝国が、現代のアメリカと重なって見えるんだけど、それは意図的にやった(アメリカ人俳優にローマ人を演じさせた)んだそうです。
「どの方向から、何とでも批判していいよ」という、キリッと勇ましい映画です。充実した二時間を過ごせた。
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『「マンガ・アニメ」をもっともエンターテインメントだと感じているのは20代(約3割)! 一方、「コンサート(ライブ) 」は全世代で6割から7割にも』(■)
バンダイナムコゲームスによる「エンターテインメントに関する意識調査」の結果。エンタメの第一位は、ライブやコンサートで、アニメやゲームは20~30代の一部が楽しんでいるにすぎない。
アニメのディスクを売るとき、初回特典として「イベントチケットの優先購入応募券」ってあるでしょ。それを目当てで買わせようって言うんなら、もはやアニメ本編よりもイベントの方がお金を出す価値がある……と、メーカーが認めてしまっているわけだよね。
僕の周囲でも、アニメのディスクは全く買わないけど、声優のコンサートは必ず行くって人はいるからね。アニメ業界も、その娯楽的価値の変遷には、とっくに気がついているんだろう。知人に言わせると「アニメ自体はまったく面白くないが、主題歌アーティストの売り方が抜群に上手い」メーカーもあるという。
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メーカーがアニメを製作するようになって、映像そのもので回収しようと考えるようになって、2006年にアニメの制作本数がピークを迎えたけど、その頃ですよ。ネットカフェ難民という言葉が生まれ、日本の貧困率が注目されはじめたのは。みんな、お金がなくなった。
いちどテレビで無料で見られたアニメが二話分のみ、正味一時間しか入っていないディスクに、毎月6,000~7,000円出してくれというビジネスは、もうさすがに成り立たない(まだやってるけど)。今度は、ディスクを買うと、本編を端末にダウンロードできるサービスが開始される。場所をとるディスクは、どんどんオマケ化していく。
なのに、いまだにディスクが何枚売れたか……でしか、アニメの商品価値は計られない。僕らが本の企画を考えるときも、「あの作品は売れなかったからね」って話になる。
すると保守的な本ばかりになって、お客さんもオフィッシャルなもの以外、あまり読みたくないんじゃないか?とも感じている。
あるアニメ会社の偉い人の、「みんなで、こういう状況にしたんだ!」という苦渋に満ちた一言が、耳から離れない。
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