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2015年2月11日 (水)

■0211■

マスコミ試写で、『カイト/KITE』。
上映前、宣伝会社の女性が「18禁アニメなんですが、物語がすごく良いのでハリウッドで実写映画化されたんです。原作アニメの出来も、すごく良いんですよ」と、熱心に説明していた。
読売新聞は昨年、児童ポルノ法改正にかこつけて、「日本製アニメなどの性表現の過激さが海外で強く批判されているのは確かだ。たとえアニメでも、子どもを性表現の対象とした作品が大手を振ってまかり通っては、日本が世界から信用を失う。業界は本気で自主規制に取り組むべきだ」()と根拠薄弱な持論を展開し、「どの作品を指して言っているのか?」という僕の質問にも黙ったままだが、批判されるどころか、たっぷり愛されている証拠が、13年もの紆余曲折を経て完成した『カイト/KITE』である。

映画は、原作アニメの『A KITE』とそっくりなシーンがあり、オープニングから驚かされます。ハリウッド映画人が、原作アニメのどこに惚れていたのか、よく分かる。キャラクター名も、そのままです。ちゃんと、体内で爆発する弾丸も出てきます。
1116047_1200舞台は、『第9地区』でもお馴染みのヨハネスブルグ。殺伐としたロケ地と、銀のこし風のザラッとした映像の相性がいい。近未来という設定なので、遠景はマット・ペインティングで地味な未来都市が描かれている(これ見よがしでないところがいい)。

で、アクションというよりは、バイオレンス映画。ありとあらゆる道具を凶器にして、「いや、その方法で人間の頭を貫通させるのは無理では?」といった殺しのシーンが続出するので、タランティーノ以降の「これはちょっとあり得ないのではないか?」という物理法則無視の無茶なバイオレンス描写と復讐譚が好きな人には、たまらない映画になっている。


ただ、ストーリーは難解。サミュエル・L・ジャクソンがアカイを演じているのだが、アカイの正体を、もっと早くサワに分からせる必要があったと思う。オブリの立ち位置も、いまひとつ分かりづらい。
だけど、小道具などで原作アニメの良いところを少しずつ拾っているので、「なぜ原作どおりにしなかった?」という批判は、あまりに酷な気がする。
それと、アダルトシーンを外したバージョンを原作にしているけど、サワとアカイは肉体関係にあった方が、2人の残酷な隷属関係がはっきりしたと思うんだよな……。サミュエル・L・ジャクソンが嫌がったのかも知れないけどね。

ラストシーンは開放感があって、とても綺麗。原作ファンはもちろん、コンプレックスにまみれた大手メディアの日本アニメ叩きにうんざりしている人は、応援のためにも見にいって欲しい。4/11から。


話題はガラリと変わるけど、【痴漢被害根絶のため、「車内防犯カメラの設置」と「学校での性暴力対策教育」を求めます。】という署名キャンペーンを始めました()。
これは、痴漢対策に関するアンケートをベースに立ち上げたもので、文部科学省とJRグループに要請文を送ります。

まだ署名開始から24時間も経ってませんが、集まりは悪いです。痴漢問題に限らず、ネットで匿名でゴネていたいだけであって、現実的解決策へ繋げようなんて考えてない人が多いから。児童ポルノを「性虐待記録物」と呼びかえる件でも、「法律に合わない」と理屈をこねる人ばかりで、「では法律を変えよう」なんて人は出てこない。しょせん、本気じゃない。

でも、だから世の中は変わらない。僕らは侮辱されつづけている。明日の朝の通勤電車で、また誰かが痴漢にあうでしょう。そして、吐き気のする思いで我慢して、沈黙を強いられる。
痴漢をする男には会社員が多いという統計があるけど、そんな方法でしか他者を屈服させられない、そうまでして他者を貶めないと自我を保てない男たちも情けない。
沈黙しているほうが何かと都合のいい世の中だから、僕はひとりでもいいから動こうと決めたんです。

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