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『レジスタンス』という、見知らぬ映画をレンタルしてきた。第二次世界大戦末期、徴兵されたドイツ人の少年が、戦後はソ連のスパイとして働いている。映画は、大戦中の悲痛な思い出と1960年代、イギリスで進行するスパイ合戦とがカットバックすることで進行する。
いまひとつ緊迫感がなく、チープ感のただよう映画なのだが、主人公が無意味にモテまくるところが面白い。ガールフレンドと生きかれた後、戦場で遺体から身の回りのものを剥奪して生活する、生命力旺盛な少女に助けられる。
彼女と別れ、ドイツは敗戦したし、さすがにもうダメかと思われたとき、ソ連戦車から可愛らしい女性兵士が降りてくる。真新しい軍帽をかぶった彼女は、にこにこと笑いながら、しょぼくれた主人公の手をとる。それでソ連に渡って生きのびてしまったんだから、ご都合主義も見せ方によってはエンターテイメントである。
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スパイとしてイギリスに派遣された後も、主人公は下宿先の黒人女性と恋におちる。ここまでモテつづけると、もう何の映画だか分からない。
終盤になって、主人公が情報交換する相手として、ショートヘアの女スパイが登場する。彼女は西ドイツからの観光客に擬装しており、乗っている車はメッサーシュミットだ。観光客だが、自分の車を母国から持ってきたという設定だろうか。
半そでのタートルネックに、ボックスボブというのかな。60年代らしいスタイルが素晴らしい。
ラスト近く、ほんの10分ほど登場する彼女の美しい目鼻立ちを見ながら、「クロアチアに、こういう冷たい感じの美人がいっぱい、いたよなあ……」と思い出していた。レア・モルナルというこの女優を検索してみると、果たして、クロアチアのスプリット出身であることが分かった。スプリットなら、昨年訪れたばりかだ。もっとも、彼女が生まれた1972年当時はクロアチアではなく、ユーゴスラビアの都市だった。
この映画については、日本語では情報が少ないが、原題は“Joy Division”で、2006年に公開されたイギリス・ドイツ・ハンガリー合作映画だと分かった。レッグ・トラビス監督の長編デビュー作である。
レア・モルナルは撮影時、33~34歳だったわけだ。
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レア・モルナルは、『ワイルド・アサシン ~非情のミッション~』というアクション映画に主演しているらしいので、探してみよう。
彼女の公式サイトを見ると、毎年映画に出演しているんだけど、チェコやウクライナの映画で日本未公開だったりする。よく知らない映画を借りてくると、いろいろ分かって面白いね。
徒歩10分のレンタル屋と自宅のパソコンと翻訳ソフトだけで、ここまで分かるんだから。
(C)IMS 5 LLP, HUNGARIAN FILM CONNECTION & DREAMTOOL ENTERTAINMENT.
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