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2014年11月 4日 (火)

■1104■

数日ほどかけて、ガンプラなどのパーツを組み合わせ、ロボットを作りました()。
3280256image1かつて模型誌で盛んだった、模型+脳内設定が暴走した体裁の「フォト・ストーリー」形式の小説……は、現在では廃れてしまい、どれこれも版権問題をクリアにした「公式外伝」ばかりになってしまいました。

前回のスーパーフェスティバルで、「フォト・ストーリー」文化を復興させられないだろうか?と雑談したことがキッカケで、まずは模型だけ作成。来年一月のスーパーフェスティバルで、模型の写真+小説を掲載したペーパーを販売するつもりです。


前回、自分のライター人生を振り返ってみましたが、その続きです。

僕は生活費のすべてをライター業で稼いできたので、「ライターであることだけが、俺の存在証明」と化してしまいました。自分の仕事にプライドを持つのは間違っていないでしょうけど、「ライターで食えてないヤツは、一人前とは言えない」と減点法で同業者を見てしまうのが、僕の悪いところです。
過去のイベントでも、「今の若いライターは、一度雑誌に名前が載れば満足してしまう」「ライターを続けていく戦略も根性もない」と、批判していたはずです。

ただ、ここ最近は「ちょっと書いただけで、すぐ満足する」ことを批判的には考えなくなりました。
なぜなら、「ひとつの仕事だけを長くつづける」スタイル自体、僕らの世代の勝手な押しつけだと気がついたからです。バブル期に大学を卒業した僕らは、かろうじて「大企業に就職できたら、一生安泰」と信じられた世代です。
あれから20年の間に、終身雇用の絶対性が崩れ、ワーキング・プアやネットカフェ難民という言葉が生まれました。
その状況を鑑みると、「一度雑誌に書いたから、ずっと書きつづける」ことには、何のメリットもない。むしろ、さっさと満足して、新しい経験を積んだほうがいい。柔軟性のある働き方をしないと、生きていくことさえ難しい。

「いまの若いヤツらは、冒険しない」「言われたことはキチッとやるが、自分の枠から出ようとしない」と、僕らは好き勝手な不満を並べてきました。
バイトで手軽に稼げて、朝まで遊び歩いても何とか暮らしていけて、「ギョーカイに入れればオシャレ、モテる」「有名人とお近づきになれれば、おいしい話にありつける」と刷り込まれてきた僕らは、いまの若い人たちが抱えるリスクに想像がおよばない。少なくとも、僕は無神経でした。


話がライターからずれてしまいましたが、つまりはそういうことです。
僕はアニメのことを中心に執筆してきましたが、「趣味のことなら、なおさら仕事、食いぶちにしたくない」……そういうスタンスも、今なら理解できます。「商業誌に書いて一人前、職業にして一人前」という考え方は、終身雇用を神聖視するのと同じぐらい古いし、狭い。

そんなことより、肩書きを剥ぎ取られたあとに残る、素の人間力みたいなものの方が大事なんです。
『東のエデン』の滝沢くんの職業は、新聞配達でした。だけど、彼はアメリカに行っても、英語を使わずにトラブルを解決できる。プロフェッショナルでないことが、彼の武器なんですね。

プロが独占していた職域に、プロでない人が流れ込んできたほうが、少なくともメディアは活性化すると思う。「アマチュアの柔軟な発想をプロが採用する」とか、そんな上から目線の搾取ではなく。
流動性を社会全体が獲得しないと、おそらく未来はない。


「仕事をする」意味は、社会に還元することだと、今でも信じている。
クライアントを喜ばせるためじゃない、本屋で立ち読みしている見知らぬ誰かに、ちょっとでも楽しくなってほしいから記事を書く。原稿料というのは、その見返りなのだと思う。

だけど、僕のその頑なな信念が、クソの役にも立たないシチュエーションがある。
それを認めて受け入れないと、世の中の人たちと本当には話せない、交われないのだと感じています。

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