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2014年11月 2日 (日)

■1102■

ここのところ、「原稿料が支払われない」という、作家の方のツイートを目にします。
僕はフリーライターとして、16年間、ほぼ切れ目なく雑誌や定期刊行物に記事を書いてきましたが、「原稿料が支払われない」ことはありませんでした。支払われない場合は、徹底的に追求し、半年かかろうが一年後かかろうが、払っていただきました。

その点、作家さんとフリーライターでは、仕事の質やフットワークが違うのかも知れません。
たまたま現在、ライター開業以来、初の大ピンチに陥っていることもあり、自分のライター生活を省みてみようと思います。


まず、僕が有利なのは、独身であること。
結婚していた三年間は、「就職すること」が結婚の条件だったので、「ライター業も平行してつづけられること」を大前提に、ゲーム会社に就職しました。
その間、月給は13万円。それより低い月もありました。会社をリストラされた月、ライター業で稼いだギャラが70万円だったので、元嫁も、思わず黙ってしまったものです。
(元嫁は専業主婦で、家計はすべて僕が持っていました。)

そのときの貯金が200万ちょっと。離婚時に、元嫁から「引っ越し代」として60万円を請求され、自分の引っ越し費用が40万円ほど、かかりました。
貯金は半分になったけど、100万円の貯金があって、毎月何本か仕事があれば、フリーライターのみで十分やっていけます。――ただ、結婚して共働きだとか、親元で暮らしている人は、条件が変わってくるでしょう。子どもがいる人は、すごく大変だと思います。

僕は三年前に、父親が母親を殺傷するという事件に遭いました。
このとき、母の火葬と父親の飼っていた犬の世話代などで、一度に40万円ほど消えました。遺産とか、そういうものは一円ももらっていません。
それでも、離婚したとき手元に残った貯金をベースに、減ったり増えたりはしたけれど、何とかやりくりして来られたのです。


ここ数年の確定申告の記録を見ると、年収は300~400万で、下降気味です。
一時期は700万円ほど稼いでましたから、半分になってしまった。だけど、支払いのタイミングを工夫して分散させれば、海外旅行も出来ます。

ただ、40代半ばにして初めて海外へ行ったのは、「これから2~3年後には行けなくなるかも」という経済的な危機感があったからで、残された人生で何を優先すべきか考えはじめた……という動機のほうが強いです。余裕があったから、ではありません。

署名活動についても、同じです。30万円、決して戻ってこないお金を注ぎこみましたが、社会に必要だと思ったから、貯金を切り崩したのです。
もちろん、高い買い物は控えるようにしました。墜落しないよう、低空飛行を維持できるだけのお金は、必ず残しておく。離婚しようが、親を殺されようが。

そうしておけば、ろうそくの炎が消える前に、別のところへ火を移せるはずなんです。
ところが今回、別の方面からから火を吹き消されてしまったから、ピンチだと言うのです。具体的に何が起きたかは、それこそ本が書けるぐらいのことだと思うので、タダで教える気にはなれません。


いま、「本が書ける」と言いましたが、単行本だけで食べていくのは難しいと思います。
『失職女子。』が話題の大和彩さんが仰るように、印税って、思ったより入ってこない。僕の過去に出した『スーパーロボットコンプレックス』は、出版元が計画倒産したので、80万円入るはずの印税が、ゼロ円になりました(そのときも、他の原稿料で何とか食いつないだ)。

『俺の艦長』は、その半分ぐらいです。ムック本を、ほぼ自分ひとりに任せてもらえた場合も、同じぐらいの原稿料……いや、もうちょっと貰える場合もありますね。
時間と労力を考えると、単行本を書き下ろすより、ムック本を手伝ったほうが良いと思います。

「来春、三冊目の本を出さないか」という話が来ましたが、過大な期待はかけず、下請け・孫請けでもいいから、細かい仕事を進んで手伝うようにしています。「ネットの記事用にライター登録しませんか」という誘いも来たので、登録させていただきました。
フリーライターって、仕事のバリエーションが広いというか、何でも仕事にしてしまえる。映像企画の手伝いもやるし(名前は出ないけどギャラは出る)、一行のキャッチコピーでも書く。CDドラマの脚本なんて仕事も、一度だけやりました。

もし「単行本だけで勝負しろ」と言われていたら、最初の一年で潰れていたと思います。
……と言いながら、16年間、使っては足し、使っては足していた焼き鳥屋の秘伝のタレを、壺ごと持っていかれてしまったので、いま、人生観を問い直しているところなんです。

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