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2014年10月19日 (日)

■1019■

ひさびさに、ムック本にがっちりと関わっている。膨大なテキストを書き終えたが、そのうち校正が来るだろう。その間にも、ショートスパンの仕事を、まんべんなく差しはさんでいく。

なんと、今ごろになって「このネタなら、単行本で出しましょう!」と熱烈なアピールがあり、資料協力を友人に打診した。すると、「ついにメジャーデビューしたバンドのインディーズ時代からの追っかけのような気分」という返信が来て、ちょっと笑ってしまった。


『Gのレコンギスタ』は、技術と努力と経験と慈愛に裏づけされた安心・安定の面白さ。その分、『∀ガンダム』のように「あれ? けっこう面白いぞコレ?」という発見はないかも知れない。それは贅沢な話で、三回ぐらい続けて見返してしまうほど、充実感がある。

驚いたのは『四月は君の嘘』第2話。楽器の演奏シーンは、『耳をすませば』あたりから、Photo4 「チャンスがあればモノにしたい」テーマになっているんじゃないかな。アニメーターさんにとっては。
『マクロスF』第12話の歌唱シーンを描いた高橋祐一さんに取材したところ(放送当時)、スポッティングとリズムライン。これがないと、歌モノのシーンは描けないんだそうです。

『四月は~』のバイオリン演奏シーンもプレスコだから、アニメーターは、演奏時間の制約の中で描いたはず。だけど、その場に居合わせたかのような臨場感が出た。
それはやっぱり、作画で誇張が加わっているからだろう。実写で撮ると、「演奏の記録」にならざるを得ない。映像というのは、基本的に残像なんだ。だけど、アニメは残像をつくるんだよね、時間を遡行して。だから、記憶と結びつくいうか既視感のある作画に出会ったとき、「おお!」と驚くんじゃない?

それは「実写に、実物に近い絵になっている」という意味ではないんですよ。まったく別次元のルートを辿って、「実物を見たときの印象」を獲得しているから、すごいんです。
(そういう意味でいうと、たとえば「写実的な絵だからワイセツ」とかいう理由で18禁漫画を訴える人って、つくづく絵の見方が分かってない、勉強してないし鍛えられてないなーと思います。)


バブルの頃、小学校からの友人が就職したとき、「これでもう一生(この会社に勤める)かな」と苦笑していたものだけど、彼は結局、結婚後に他の会社に転職した。
夏に会ったときは、「何か新しいこと、今まで知らなかった分野で事業を始めてみたい」と言っていた。この社会には流動性がない。会社員になったら、会社員として死ぬしかない。そういう前提で、生活をとりまく仕組みが作られている。

「これしか選択肢がない」というのは、追い詰められた人間が、よく陥る心理状態だ。
フリーライターは「忙しい」を連発して徹夜して、好きなことを好きなように書いて、業界に知り合いがいっぱいいて、がばかば儲けてる職業……そんなイメージを粉飾したって、ダメなんだと気づいた。「ダメ」というのは、それでは外部との回路が遮断されていく一方だなって。
アイデンティティを硬直化させては、ダメなんです。平日はサラリーマンだけど、土日はボランティアをやっている……のは贅沢かも知れないけど、レイヤーを重ねた人生でないと、絶対に閉塞する。40代後半なら分かるはず。趣味を増やすとか、そういう意味ではない。

武器をいっぱい持つとしても、身軽でないと持ちきれないでしょ。脱ぎすてる勇気がないと、多層的な生き方はできないですよ。

(C)新川直司・講談社/「四月は君の嘘」製作委員会

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