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月刊モデルグラフィックス 11月号 発売中
●組まず語り症候群 第23夜
今回のサブタイトルは「みなさまご昭和おねがいいたします」で、アリイの「昭和の歳時記」シリーズを取り上げています。
本文では、武蔵野市役所の近くにあった模型店「ワダチヤ」について、幼稚園~高校ぐらいまでの思い出を語っています。日本全国の地元模型店が熱かったのは、やっぱりガンプラ・ブームの起きた昭和55年ごろでしょうね。新店舗がオープンしたりしましたから。
地元模型店の思い出は、それこそ民間伝承のように、日本各地に残っているのでしょう。いつか、そういう話をまとめてみたいです。
(結婚する前の準備期間、一年だけ住んでいた大森には、まだ新しい個人経営の模型店があった。同人誌に書いた小説『ハネダ模型店』は、そのお店がモデルになっている。)
フィギュア王 No.200 発売中
こちらは、巻頭の超合金特集のインタビューを、少しお手伝いしました。
今回で200号とのことですが、100号のとき、僕は編集者とノリノリで、アニメ関係者やレゴ・モデルビルダーの直江和由さん、イラストレーターの内藤ルネさんのところへ取材に行ったものです。
あの混沌とした、ごった煮の誌面に比べると、フィギュア王もサッパリしてしまった。
今回、何年ぶりかで誌面を手伝わせてもらったけど、100号の前後三年間、フィギュア王には毎月、レギュラーで書いていた。
離婚するとき、編集者とカメラマンにアドバイスをもらったことを思い出した。編集者には、しばしば、吉祥寺で奥深いお酒を堪能させてもらった。
ただ、編集者やカメラマンは完成された大人だったので、“大人くずれ”の僕は、よく怒られた。それをうるさく感じて、ある日、すべての連載を下りてしまったのだ。
彼らは一流の服や時計、カバンや靴の良さを知りぬいており、オモチャもそれらと同列に並べられる、「大人の余裕」として十分に楽しめるのだと教えてくれた。それは言葉の上ではなく、写真の撮り方や誌面の構成、取材のしかたなど、本づくりの実践として。
どういう本づくりがダメで、どういう取材がいい取材か、みっちり叩き込まれた。もちろん、その分、厳しくもあった。その厳しさが、僕には重たくなってしまった。
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ベストな生き方を知るということは、「恥を知る」ことでもある。自分の最高の部分と、最低の部分を知ることになる。それは辛いといえば辛いことなんだ。なぜなら、ほどほどのところで妥協すると、「いま自分はダメなことをしているな」と、身に染みて分かるからだ。
よくない仕事、よくない人への接し方をすると、「いま、自分は理想から遠ざかっている」と体で分かってしまう。「もっと優れたやり方を、僕は知っているはずなのに」って。
たいていの場合、「ダメなことをしている自分」に鈍感でいることによって、日々をいい加減に過ごしている。
だけど、フィギュア王に書いていた三年間は「常に一流を目指し、そこに届かなかったものは妥協の産物である」と意識しながら暮らしていた。しんどいけれど、その分、充実していたはずなんだ。
一生に一度でいい、一流の酒を味わっておいたほうがいい。無理してでも。その味を知った後、スーパーの安酒を飲むとしたら、安酒しか知らずに安酒を飲んでいる人たちとは、世界観が変わっているはずなんだ。■
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