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2014年9月15日 (月)

■0915■

友だちが薦めてくれた『幸せへのキセキ』を、レンタルで。
1339159563_photo有名なコラムニストだった男が、長年の仕事を辞めて、二人の子供たちのために郊外に家を買う。ところが、その家は、廃業した動物園の一部だったため、主人公は心機一転、動物園の経営に乗り出す……という壮大なホラ話だと思っていたら、なんと実話。

そして、監督は『バニラ・スカイ』『あの頃ペニー・レインと』のキャメロン・クロウじゃないか。道理で、女優を撮るのが上手いわけだ。
そうは言っても、登場人物たちはカリカチュアライズされて、おそらくリアリティはないだろうと思うよ。だけど、僕は途中から涙腺がゆるみっぱなしだった。
それは、友だちが、今の僕の精神状態を想像して、「お前、がんばれよ」って意味で薦めてくれた映画だから。それに気がついたあたりから、ひさびさに映画を見ながら泣きました。

映画が優れているから、泣くんじゃないんですよ。その映画と僕との「関係」に泣くんですよ。


僕がライターをやってこられたのは、取材対象に対して感動するからです。

例えば、ちょっと前に、岡本太郎記念館で、海洋堂の宮脇専務と平野暁臣館長の対談があったんです。
宮脇専務は万博世代で、岡本太郎の作品も大好き。だけど、平野館長はフィギュアとかガシャポンには懐疑的だったんだそうです。では、どうやって二人の間に信頼関係が生まれていったのか……というお話が、身を乗り出すほど面白い、興奮しました。
平野さんという人は今まで知らなかった方だけど、50代半ばで、こんなにエネルギッシュで正直で、全身を使って感情をあらわすことが出来るなんて、本当に素晴らしい。
そして、平野さんのむき出しの情熱に胸打たれている自分を、誇らしいとさえ思えた。

そこでね、「いやあ、面白かったな!」「熱い魂をもった人に出会えたな!」と思えるから、記事を書けるわけです。「編集部のオーダーがこうだから、こういう構成でサクッとまとめて……」とか、そんなのは後でいいんです。プロだから、そういう計算もするんだけど、まずは「面白い!」とハートに来なければダメですよ。どんなに若くても、ベテランであっても、心から「面白い!」と思えない人には、この仕事は向いてません。


また別の日、若い編集者に「僕は廣田さんのような生き方は決して出来ないけど、だからこそ、一緒に仕事がしたい」と言われた。だったら、もっと仕事をくれよって話だけど。
でも、本気の人が少ないのは事実。周囲のオーダーだけで動いて、思ってもないことを書き捨てて、「ハイ、できました」って人ばかりだから。「本当に、心から思ったことだけを書くんだ」って人は、ほとんどいない。勇気がないんですよ、みんな。

10年ぐらい仕事を見てきて、「なんか表面的なことばかり言ってるなあ」って人に、中身なんかないんです。最近、ようやく気がついたことだけど。
本人も「いつかは、本気で書くぞ」と思っているかも知れないけど、そうやって先のばしにしている時点で、すでに本気じゃないです。本気じゃないほうが仕事が回ってくるのは、日本全体が「まあまあ、ほどほどのところで上手くやってきましょうや」って臆病なシステムで動いているからです。そのシステムに適当に合わせていた方が、無難な人生を送れる。

僕は、40年生きてきた人間には責任があると思っている。その責任とは、自分より年下の人間に「大丈夫、勇気を示せば、絶対に報われるぞ」って希望を示すことです。

(C) 2012 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

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