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2014年8月28日 (木)

■0828■

『Gのレコンギスタ』 先行上映版パンフレット

Product_theatre02●吉田健一さんインタビュー
キャラクターデザインと総作画監督の、吉田健一さんにインタビューしました。
ジブリ時代の話、バイクで事故った『もののけ姫』の話、ボンズの話も出ました。何年分もの膨大なラフスケッチ、作監修正も見せていただきました。ユーモアと風格があって、これから何十年も絵を描いていきそうだ、と予感させてくれるタフさも感じました。
こういう人に会えるから、ライター、インタビュアーという仕事はやめられないのです。そして、『Gレコ』のようなみずみずしい作品に、ほんの端っこだけど公式に関われて、光栄に思います。


レンタルで、『少年と自転車』。ベルギー、フランス、イタリア合作で、カンヌ国際映画祭でグランプリをとったから、知っている人もいるだろう。

Sub2_large脚本が高く評価されているけど、ラストは、いかにもヨーロッパ映画らしく、どうとも受けとられるような多義的な味わい。ヒョイと曲がり角をまがって、その先がどうなっているのかは分からない。

親に捨てられた少年が主人公だけど、聖母のような女性に救われもする。だけど、幸せじゃない。思ったようにならないけど、死にたいとか殺したいとか、そこまではいかない。
その、人生がいやおうなく続いていってしまう倦怠を、自転車という小道具を随所で生かしながら、ありありと見せてくれる。
「自殺したいほどでもない不幸」は、何かの拍子に、生きていく力になってくれる。


この映画の少年は、父親に騙されて捨てられるんだけど、軽視されない人間なんていない。どんなに誇りをもって生きていても、どこかの誰かから見たら、虫ケラなんだよね。それを受け入れないと、生きていくのはつらい。
それに耐えられない人は、負けそうになると弱みを口にする。持病だとかさ。「僕は病気で、あなたより不幸であるにもかかわらず、こうして負けてあげてるんだよ。そんな僕を責めるあなたって、実にひどい人だよね」って。
病気や家庭の不幸には同情するけれど、武器に使うのは卑怯なんだよ。

僕は昨日、市役所の職員から、それこそ「取るに足らない、生きてるだけで迷惑な役立たず」に扱われたから、それこそ「家庭の不幸」を印籠のように取り出そうかと考えた。
でも、それをやったら、さらにバカにされるからね。自分も傷つくだろうし、相手の望むような阿呆に徹した。すると相手は、「あ、こいつ、思ったとおりの虫ケラだったな」って顔をしてくれる。
その顔を見た瞬間、最低限の要求は通せると確信したし、実際、そこそこ通せた。すると、帰り道は湖のように心が静まっている。

変な例えだけど、『レイズナー』の後期で、乞食のフリをして敵の目をあざむくエイジ。あれが一番つよい。本当は服の下の肉体は鍛えてあるし、手のこんだ作戦も立ててある。だからこそ、いちばん目につきやすい外見を、相手にバカにされやすいよう、汚くしておく。
そういう捨て身の知恵と工夫さえあれば、きっと誇りは最後まで守られる。

(C)Christine PLENUS

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