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月刊モデルグラフィックス 8月号 発売中
●「組まず語り症候群」第20夜
今回のサブタイトルは『家ーイ! めっちゃホリディ』。
最近、この連載は何を取り上げても評判がよくて、「この路線で突っ走って、本当に大丈夫なのだろうか?」と、担当編集とよく話しています。最初は、僕と編集だけが「何だ、この頭のいかれたパーツ分割は」と笑いながら撮影していたのですが、最近はベテランのカメラマン氏が「僕らが何を喜んでいるのか」分かってきたフシがあって……。
ひとりぐらい、「これの何が面白いの?」という人にいて欲しいんですけどね。
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どこから、何を書いたらいいんだろう。児童ポルノ法が改正され、国内外のメディアがこぞって「漫画とアニメを規制しなくていいのか!?」と大合唱しています。
僕も、次号の『創』誌で取材記事を書きますが、もうぜんぜん追いつかないです。
一方、僕が展開した『児童ポルノではなく【児童性虐待記録物】と呼んでください』署名に対しては、ほとんどリアクションがありません。
ただ、僕自身は、実際に性虐待を受けている子たちを救うための手助けができないかと考え、いくつかの団体に連絡をとっています。現場で児童保護の活動をしている人たちに接してみると、彼らはお金も時間もなく、したがって漫画やアニメを叩いているヒマなどないのです。最前線は創作物規制どころではない。
(単純所持規制も、被害者を助けることにならないと彼らは知っている。)
そういう活動をしている団体があったら、「どうせコイツラも、漫画やアニメの敵だろう」と思い込まないで欲しい。
僕は、かなり偏見を払拭できました。そういうのは、ネットの情報だけでは分かりません。
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ただ、オタクは生きづらい人生を歩んできた人たちだと思うので、「敵」の存在に敏感で、被害妄想的に考えてしまうのも分かります。だからこそ、漫画やアニメを楽しみに生きている人たちを追いつめるようなマスコミの暴力的な姿勢には……「頼むから、もうやめてくれ!」と、もう声に出して叫びたいぐらいなんです。
でも、実際に僕が表現規制派の議員に会おうと動いたりすると、匿名の人から「また余計なことを」とか言われちゃうのね。「匿名で文句は言うけど、社会に対しては何もしない」ことも生きのびる方法だと思うので、僕は反論はしません。
僕はたまたま、顔も名前も出して行動したいってだけであって。叩かれるのも承知の上だし。
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先週、新宿コマ劇場前で、薬をもられた女子大生たちが昏倒しましたね。
マスコミもほとんど報じず、警察は捜査すら行わないので、ネットの不確かな情報しかないけれど、明治大学の公認サークルがレイプ未遂したらしいですね。「へーえ、こっちは逮捕しないんだなー」って感じです。リアルに犯罪を行っているのは、社会的強者なんですよ。警察官だって、女子高生を買春してますよ。だけど、刑事罰は受けてない。
その代わり、アニメ・漫画好きを「児童を誘拐して殺すかも知れない」ように印象操作している。【児童ポルノ】は、オタク弾圧用語になってしまった。大手新聞の社説が【児童ポルノ】を盾に、表現の自由を軽んじるような発言をしているようでは、もう末期的ですよ。
リアルに暴力をふるっている強い者同士がおおらかに許しあい、暴力をふるう体力などないオタクを嘲り疑りながら、リアルな犠牲者を路上に投げ捨てている。正義もへったくれもない。こんなはずじゃなかった。こうまで酷いはずじゃなかった……。
もう、漫画がどうとかいう話ではないですよ。
新宿コマ劇場前で倒れていた女子大生の中には、未成年者もいたそうです。19歳以下ですね。そっちは取材せず、助けようともせず、「漫画を罰しろ」「オタクは気持ち悪い」とわめきたてる社会。責任をとらない大人。勇気のない大人。
ひとりでもいい、「僕は違う」と言ってほしいんです。この理不尽な世の中に対して、最後まで戦うと。勇気のある人は、本当に少ない。
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