■スウェーデン旅行記・10■
■4/20-1
明日は日本へ帰るので、今日は無計画に過ごそうと決める。
ホテルの朝食は、オープンが遅かったうえ、用意がグダグダであった。空のヨーグルトの容器が置いてあって、団体客が「入ってねーじゃん」と笑っている。
僕の前に、スリッパをはいた初老の男性が座った。「あ、すみません」と日本語で言い、コップなどをどける。どういうわけか、彼はひどく憂鬱そうだった。食事に手をつけようとしない。僕のせいだろうか?
ホテルでソーダのような飲み物を買い、バッグに地図を放り込むと、トレカンテン湖を目指して歩きはじめた。天気は上々。
湖は、駅からすぐの場所にあった。感覚でいうと、吉祥寺駅から井の頭公園へ行くより、もっと近い感じ。30分ぐらいで一周してしまった。
しかし、ひとつ発見があった。地下鉄駅のすぐ近くに、空港行きバスの停留所があるじゃないか! チケットは、すぐ横の自動券売機で買える。
明日は中央駅まで行く必要もなく、いきなり空港へ行けてしまう。歩いてみるもんだ。
11時、駅前のマグドナルドで、ダブルチーズバーガーとコーラ。30SEK。
セーデルマルム島を経由して、ロングホルメン島まで歩くことにする。
■4/20-2
たった30分で、ロングホルメン島へ着いてしまう。静かな住宅街を歩く。
小さなロングホルメン島を縦断し、長い橋を渡って、クングスホルメン島へ。橋からは、ストックホルム市街やガムラ・スタンの町並みが見渡せる。下手すれば、歩けてしまう距離だ。まだ、12時40分。
クングスホルメン島にある、サンクト・ヨランス教会に立ち寄る。
内部に入ってみると、ステンドグラスはない。普通のすりガラス……と思いきや、表面に波のような模様が刻まれており、床に落ちる陽光が柔らかいパターンとなる。
すっかり見とれてしまい、二階席に上がろうとしたら、職員の女性に「ここから先はスタッフだけなの」と止められる。「オーケー」と引きかえしたら、にっこり笑ってくれた。
さらに橋を渡ると、ストックホルム中心街のある陸地へ着く。その岸にカールべリ城というのがあるらしいので、そこをゴールに決めた。
古い城を想像していたのだが、どの建物もピカピカで、テニスコートなんかがある。
「RECEPTION」と書かれた標識があるので、ホテルに改装されているのかも知れない。やや白けて、橋を引きかえす。14時になっている。
■4/20-3
すると、キヨスクの前で若者に呼び止められた。スウェーデン語だったので、「Excuse me?」と聞き返すと、「SUBWAY.」という。地下鉄駅なら、ちょっと歩かねばならないので説明しようとすると、彼の携帯が鳴った。「Wait.」と言うと、彼は携帯で話し込み、しばらくするとキヨスクの中から彼の仲間が現われ、「オーイ、こっちだぞ」と呼びかけあって、彼は挨拶もなく走っていった。
僕も地下鉄駅へ向かい、そこからガムラ・スタンへ向かった。スウェーデン旅行のシメは、やはり旧市街ってことで。
「貴族の館」をのぞむレストランで、ビールを頼む。最後の日なので、高くても気にしない。
だが、500SEK紙幣を出すと、「もっと小さい紙幣はありませんか?」と嫌がられた。コインは、どんどん減らすように使っていたからな。悪いことをしてしまった。
午後4時の鐘が鳴る。前と同じ街角で、女の子たちが歌っている。暮れていく陽を惜しむように、ガムラ・スタンをさまよう。
ホテルの最寄り駅で下車、COOPで弁当を買う。
こういうのは高いんだけど、最後の晩餐なので、良しとする。残金、1,368SEK。もっと贅沢しても良かったな。でも、カード払いで、けっこういろいろ使ったし……。
夜中、泊まり客なのか近所の若者なのか、窓の外で10人ぐらいが一斉に赤い花火を手にもって「ヘーイ!」「イェーイ!」と騒ぎ出したので、目がさめてしまった。
ここまで爽快にバカだと、怒る気も失せる。明日は、いよいよ帰国。(つづく)
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