■スウェーデン旅行記・5■
■4/16-4
さて、カクネス塔、科学博物館、民族博物館、国立海洋博物館を回ってから、入り江の向こう側に見える美しい建物を目指して歩きはじめた。 近くまで来て、ようやく気がついた。この建物が、今日中に行こうと決めていた、北方民族博物館だったのだ。(もちろん、ストックホルム・カードで入れる。カードの有効期限は今日の20時なので、とにかく使いまくる。)
ただ、北方民族資料館の中身は、たいして面白いものではなかった。
近くのスタンドで、フレンチ・ホットドッグを買い食い。徒歩数分のところにあるヴァーサ号博物館を目指す。
ヴァーサ号博物館は、世界最古の木造戦艦をそのまま展示してあるという。どの旅行記を見ても「オススメ!」と書いてある。「でも、単なる古い帆船でしょ?」とタカをくくって、入場してみて仰天した。
これはもはや、異星から飛来した宇宙船である。写真一枚では、この奇怪さは伝わらない。そもそも、全体を見渡すためには首をふらないと、視界に入らないのだ。(スペック上では61メートルしかないはずなのに、途方もなくでかい!)。
まるで、捕らえられた怪獣が封印されているかのよう。船体の前面には両眼のように窓があり、鼻のように舳先が突き出している。
このヴァーサ号は、半分は確かに17世紀の造船技師たちが造ったのだろうが、もう半分は神様が創ったのだ。
船体には、護符のように人間の顔がギッシリと彫刻されている。砲門を開くと、その裏には鬼のような顔が刻印されている。それによって敵を威嚇するのだろう。こんな異様な物体には、生まれて初めてお目にかかった。
場内の誰もが、呆気にと られていた。
美術品でも歴史的遺構でもない、あの世から忽然と現われた怪物を間近に、誰もが言葉を失っていた。
■4/16-5
博物館めぐりは、まだ続く。中央駅まで戻って地下鉄やバスを使うつもりでいたが、意外と歩いて回れるではないか。
「地球の歩き方」のコピーと、現地で入手した大きな地図を頼りに、歴史博物館を目指す……標識に通りの名前が書いてあるので、それほど迷うことはない。
写真右手に見える、オスカル教会にも立ち寄った。何か礼拝が行われていたので、じっくりと内部を見ることは出来なかった。
歴史博物館は、オスカル教会のはす向かいにあった。
正式な名前はなんというんだろうか、このような物語性のある半立体の彫像が多数あって、どれも異様な雰囲気で楽しめた。
僕からすれば、ヘンリー・ダーガーの作品とあまり変わらない(笑)。
■4/16-6
そろそろ日が傾いてきたが、この近くに戦争博物館というのがあるはず。だけど、分からないんだわ、道順が。ストックホルム中心部に近いので、道はかなり錯綜している。だけど、このS戦車が絶好の目じるしとなった。もちろん、実物である。
午後4時を回っているせいか、客は少ない。日本人カップルが、館内にあるライフル銃のゲームで遊んでいた。
「えっ、銃のゲーム?」と驚くかも知れないが、この博物館は「戦争は悲惨ですね、やめましょうね」という博物館ではない。
何しろ、最初に出迎えるのが「殺しあう猿たちの等身大ジオラマ」 である(写真の解像度が低くて、すんません)。
あきらかに面白がって作ってるよね、これは。何かこう、『20001年 宇宙の旅』的な。いやがおうにも、期待は高まる。少しずつ近代化してくるんだけど、こうやって雪の中で倒れてしまった兵士のジオラマとか(すべて1/1スケール)。
あと、写真がブレてしまったので載せないけど、「三角木馬に乗せられて苦しむ兵士」とか……捕虜になって、拷問されてるってシチュエーションだろうか。どこかこう、「ね? 面白いでしょ?」的不謹慎さが漂う。
秘宝館というか、ディズニーランドの『カリブの海賊』的な、ああいうおぞましさなんだよな。
それと、写真がブレてて恐縮なんだけど。こういう戦闘車両とか無人機とか、実物大の兵器を天井ぎりぎりに突っ込んでるのね。もう無理やりに。
もちろん、おみやげコーナーにはプラモデルが大量に売っている。軍服や装備も売っていて、とにかく「ここに来るぐらいのお客さんなら、ミリタリー大好きでしょ?」と決めつけてるのがいいよね。
コンバット・レーションの展示コーナーの奥に、ちゃっかり食堂があったりしてね。閉まっていたけど、メニューが何だったのか気になる。
トイレに入ったら、『ゾンビ・コマンド』だったかな、兵士がゾンビになる映画のチラシが貼ってあって、英語で「当博物館にて上映予定!」とか書いてあんの。
いや、面白かったなあ……と戦争博物館を出たころには、夕方5時近く。そろそろ、帰途につく。
■4/16-7
地下鉄駅前のスーパーで、本日初のビール(税込11SEK)を買い、広場で飲む。
その駅から地下鉄に乗車、ホテルの最寄り駅へ向かう。駅名は最初の三文字と最後の三文字だけ記憶しておき、車内の電光掲示板をチェックしておけば、迷うことはない。
さすがに疲弊し、フラフラとホテルへ向かって歩いていると、両手にスーパーの袋をさげたオジサンが「ペラペラペラッ」と、スウェーデン語で話しかけてきた。
「Excuse me?」と聞き返すと、英語で「お前の背負ってるバッグ、ハンサムだな。ヤー! ヤー!」とのことであった。そっすか。「サンキュー」と苦笑して、別れた。
ホテルで残金を確認。2,800SEKと、小銭ちょっと。
明日は、いよいよゴットランド島へ向かう。(つづく)
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