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2014年2月24日 (月)

■0224■

月刊モデルグラフィックス2014年4月号 明日発売
Mg
●廣田恵介の「組まず語り症候群」 第16夜
80年代をプレイバックするのは、もう古い。いま懐かしいのは90年代だ! 今回は、模型をネタに90年代を振り返ります。
そして同時に、90年代版の「パンツ・フィギュア」も、ばっちり掲載。

このページは、編集部が「廣田さんの好きなように書いてください」と、がっちりガードしてくれている。「何が起きても自己責任で」という世の中、ともに悩んでくれる編集者は、本当に貴重。


結局、20周年以降の『ガンダム』文化史は、演出家も企画コンセプトも異なるバラバラの作品を「公式」宇宙世紀年表に、機械的に組み込む作業でしかなかった。雑誌や記事をつくる側は、「公式」から逸脱することが許されなくなってしまった。

いま、ウクライナが大変なことになっている。ウクライナの領土内には、ロシアからの石油パイプが多数あるという。大国が関与しているため、国自体が左右に分裂するのではないかという事態に及んでいる。
スペースコロニー単位の国家主義が生まれたとき、連邦政府の手放したくないコロニーは、飴とムチで翻弄されたと思うんだよね。逆に、ジオンは真っ先に(敵にとって)資源的価値のあるコロニーを狙ったと思う。そこを考えると、世界が広がっていく気がする。

『Zガンダム』なんて、いまリメイクしたら、かなり面白いものになると思う。戦後のジオン共和国がどんな扱いを受けたかも、ちゃんと描きこんでやるといい。


カミーユは、潜在的ネトウヨではないか?と考えると、僕には得心がいく。両親に愛されなかった子供には、世間に復讐する権利がある。
潜在的ネトウヨであるカミーユに対して、クワトロ大尉が説得力を持たないのは道理であって、シャアはハイソな脱原発文化人、坂本龍一みたいな存在だから。目の前の目的に対して、過去の権威で戦えると自惚れた年寄りなど、殴られても文句は言えない。
シャアはダカールの連邦議会で演説したけど、まるでリアリティがなかった。坂本龍一が金曜官邸前抗議に行ったところで、あんなもん、代理店の采配で成り立っているわけで、少しも実効力はない。カミーユにとっては、「リベラルな左派」であるエゥーゴは、さぞかし居心地が悪かったろうな。

彼はティターンズの戦力であるガンダムMk-Ⅱを「抑圧されるのが、どんなに怖いか」知らしめるために奪ったわけだよね。そのむき出しの衝動には、今日的なリアリティがある。
少なくとも、誰かを守るためではなく、自分のために暴力を選択したわけだよ。「自分には、暴力をふるう自由も権利もある」と、彼は認識した。「圧政を倒すには、暴力もやむを得ない」のではなく、身を守るため、自我を維持するための、自分の内からみなぎる暴力。
やはり、シャアよりもカミーユに分があった……といわざるを得ない。


東京都美術館が反安倍政権のメッセージを貼りつけた作品を、撤去させようとした。あるいは、『アンネの日記』が都内の図書館で、破られた。
それらを「許されないこと」とネットで言っているだけでは、何のストッパーにもならない。芸術作品は「文化」だから、「非暴力」と考えるのは愚かなことで、作品というのは犯罪的だし、個人にとっても組織にとっても脅威になりえる。作品の犯罪性や脅威の部分で対抗していくのが、少なくとも作家や作家を支援する人にとっては正攻法だという気がする。

ヘイトスピーチは、許されねばならない。ヘイトスピーチに対するカウンター活動も、やはり許されねばならない。「そのようなことを言うな」「考えるな」という権力のみを、許さなければいいだけの話だ。
右も左もない。自由の敵だけが、いつだって本当の敵なのだ。

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