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2014年2月12日 (水)

■0212■

アンジェイ・ワイダ監督、80歳のときの作品『カティンの森』。
Untitled_k 1939年、ドイツとソ連のポーランド侵攻により、夫を捕虜にとられた女性。夫は、カティンという場所で他の大勢のポーランド兵とともに殺されてしまうのだが、その事実はドイツ・ソ連両軍の間で、曖昧にされていく。
まず、ドイツ側がカティンから大量の死骸を発見する。実在するニュース・フィルムでは、「ソ連軍の残虐な犯罪」と喧伝される。ところがドイツが敗北すると、ソ連軍が「カティンの虐殺はドイツによるもの」と主張し、真実を知る者を弾圧しはじめる。

「藪の中」のような話だが、映画のラスト10分ほどは「これが真実だ」と言わんばかりに、ソ連軍がポーランド兵たちを撃ち殺して、ブルドーザーで掘った穴に捨てていく作業を、えんえんと映しつづける。
『いのちの食べかた』というドキュメンタリー映画があるが、あの映画で牛を殺すシーンにそっくり。順番に兵士を処刑部屋に通し、係の者が後頭部からズドンと一発。死骸は専用の穴から地上に引っぱり上げて、用意された穴の中に捨てる。床に流れた血は、ザッと水を流して清掃する。
その作業の中で、殺されるポーランド兵たちは、今から何が起きるのかを察して、じたばた暴れる。その様子にいたるまで、屠殺場で殺される家畜そっくりなのだ。
だから、戦争というのは「人殺し」ですらない、ただの「行い」なんだよね。


映画のラストカットは、射殺された何百、何千という人たちを埋めていく凍てついたような灰色の泥、それが寒空と森を背景に、ものすごく嫌な角度でフレームに収まっている。神経を逆なでする、人間の生理にフィットしない絵。
(その絵が暗転してからも、しばらくスタッフ・ロールが出てこない。真っ暗なまま。)

この映画には、さまざまな人々が登場し、それぞれに嫌な思いをするが、一切はラスト10分のために供される。その意地悪な構成も、しかし、カティンの森で整然と行われた虐殺行為の冷徹さには、遠く及ばない。
神も仏も、ないですよ。人間、やるときはやってしまうんですよ。想像しうること、すべてやってしまう。原発20キロ圏内で、飢えた動物たちが共食いしているそうだけど、同じことです。言葉ではない。行為が、すべてなんだよ。言葉は、本当に無力。


テレビ朝日『テレメンタリー2014 “3.11”を忘れない45 「隠蔽か黙殺か~封印された汚染マップ~』。
Untitled 平日の真夜中の放送だったけど、「原発も放射能も禁句」化しつつある腑抜けジャパンの中、なかなか辛らつな番組だった。
アメリカ軍は、原発事故直後、現場周辺を飛行機で測定し、正確な汚染地図を作成して日本政府にも提供していた。「日本政府」と言っても、防衛省、原子力安全・保安院、文部科学省、いろいろある。各省に個別にインタビューしていくと、「官邸が知らないはずがない」と言うわけ。汚染データを知っておきながら、現地にいる人たちには黙っていた。

それが日本政府なんですよ。だから、彼らが何をしようと、何を言おうと、僕は信用できない。選挙に行かない人たちが圧倒的多数なのも、当たり前です。正当な民主主義なんて、この国にはないと、みんな直感的に分かっている。

政府にかぎらず、世の中そのものがウソで成り立っていることを知っていて、だから何もしない人は、いっそ潔いのかも知れない。「無関心」でいることさえ、今の僕には正義に思える。「まずは選挙に行け」は、「まずは不公平なイカサマに参加しろ」と言ってるようなものだ。
公然とイカサマをやられているのに、民主主義を信じて疑わない「リベラルな人たち」は、ネトウヨ以上に手に負えないと思います。


児童ポルノ法規制強化について、いくつか書こうと思ったが、長くなったので、ひとつだけ。
現在閉鎖されているブログの2009年の記事なのだが、『APP研「オムツCMも児童ポルノです!」(キリッ)』(
以下、引用。「少なくとも子どものオムツの姿が性的なフェティッシュとしてとらえられるのは、重大な人権侵害、子どもの性的虐待につながり、ギャグですまされません。」 Aの人権を守るためなら、Bの人権を剥奪しても構わないという考え方。

敗戦国に生まれた僕たちは、戦後教育で弱いもの同士競争させられ、偏差値で「みんなより上すぎないか下すぎないか」意識させられ、中流意識を植えつけられ、志望校にパスしたらそれまでの勉強は丸ごと忘れてもいいから存分に遊べと侮辱され、いずれのテストも次のテストのためのテストだと奴隷扱いされてきた。
まったく本質的でないイカサマ教育の結果、「どうにかして他人を蹴落としてやろう」という歪な本能だけが残された。こうして、「普通でないヤツはすぐ通報しろ」という、いやらしい監視社会が出来上がった。

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