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月刊モデルグラフィックス 2014年2月号 25日発売
●組まず語り症候群 第14夜
今月から千葉ーザム氏が担当編集となり、アオシマのデコトラを見開きで取り上げています。
デコトラのプラモデルが自分の中でヒットしたのは、「これはプラモデルを作らない人向けの商品ではないか?」という千葉ーザム氏の一言でした。どうも、僕らの知っている模型文化とは違う文脈から売れている商品ではないか。模型のなかのヤンキーというか、「言葉の通じない感じ」がすごい。
「えーと、そのキット、表面処理はどうするんですか?」とか聞いたら、「ああ!? 表面がどうしたオラア!」とすごまれるような。
そういう、俺の知っているはずの趣味を、思わぬ角度からのぞき返してみたい衝動にかられる。アニメや模型に対する興味が枯渇しないのは、その「思わぬ角度」を探しつづけているからだろうな。
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「独裁者の強権政治だけでファシズムは成立しない。自由の放擲(ほうてき)と隷従を積極的に求める民衆の心性ゆえに、それは命脈を保つのだ。」
「何もかもが怖い人々は、とりあえず最も強そうなものに縋(すが)りつく。そもそもの恐怖の種をまいてくれた、他ならぬ国家の警察と軍隊に。」
「積もり積もった不満や不安を、だからといって権力を有する元凶にぶつければ報復が怖い。より立場の弱い人々に八つ当たりし、あるいは差別の牙を剥(む)いて、内心の安定を図るようになっていく。」
――斎藤貴男 『安心のファシズム-支配されたがる人びと-』
我が子を放射能から守りたい母親たちを「放射脳」とさげすむのも、秘密保護法に反対する人たちを「在日」「サヨク」とあざ笑うのも、「とりあえず最も強そうなものにすがり」、「より立場の弱い人々に八つ当たり」する心理だよね。
Ustreamで、大飯原発ゲートの抗議活動を見ていたとき、人気アニメ作品のアイコンをつけて「お巡りさん、こいつら銃殺しちゃってください」と書き込んでいた人も、原発に対するあまりの恐怖心からから、ついつい警察にすがりついてしまったのだろうな……まあ、分かりますよ。今となっては。
自分の人生を生きてないんだよ。自分が対峙しなければならない相手に、媚びへつらう。自分の欠損を埋める努力を怠り、最短距離で優越感を得ようとする。「俺は日本人だ」とか「大和民族だ」とかさ。
「目的のない行動はあり得ないから、目的のない思考、あるいは目的のない感覚に生きている人たちは行動というものを忌みきらい、これをおそれて身をよける」
――三島由紀夫 『行動学入門』
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年末のコミケでは、児童ポルノ法規制強化に反対している山田太郎議員のお手伝いをするかも知れない。『コミケplus Vol.1』掲載の山田議員のインタビュー記事は、HPからも読めるけど、「そもそも性的に興奮することがそんなに悪いことなのかという議論もありますし、まして国家が個人の嗜好の問題にまで介入して、憲法に保障された表現の自由を規制する必要があるのかという疑問もあります。」
――実に、正鵠を射ている。
2010年の都条例(聞いたことあると思うけど、「非実在青少年」という言葉を生んだ条例改正案)のときは、漫画家や出版業界が猛反対した。
今回は、どうだろう。ともあれ、人に「やれ」と言うよりは、自分から動かねばね。
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