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2013年10月29日 (火)

■1029■

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』、立川CINEMA TWOにて。
And_380318全編の六割ぐらい、劇団イヌカレーがつくってるんじゃない?と思わせるほど、異空間設計率が高い。僕などは、それだけで大満足なのであるが、「これでもか」と繰り出される気の狂ったイメージの奔流に溺れながら、決して虚淵玄さんの脚本に頼った作品ではなく、文学でも戯曲でもなく、まぎれもなく映像作品なのだ……と実感できて、嬉しかった。(TVシリーズは、やはり虚淵さんの脚本が半分、という印象。)

物語を裏づける理屈は、かなり難解であった。それでも、各キャラクターが、結果をどう受け止めたかは明確に描かれているので、「ハア?」ということはない。日本映画は何もかも情緒で片付けすぎるので、論理的に物語を進めてくれる姿勢を、僕は尊重したい。

「白になれないなら、黒になるしかない」のは、今風の考え方。「いかにして、自分を救うか」「白になれないのなら、いかにして真っ黒に染まるか」に徹してる。そのためには、多少の犠牲は我慢してもらう。愛するがゆえに、相手には真実を見せない。真実の重さは、自分がひとりで引き受ける。……ある意味、潔いですね。
昭和的な自己犠牲なラストが良かったのに……という人にとっては、完全な蛇足だろう。僕は、こっちの方がしっくりくるんだよな。


『黒子のバスケ』、TSUTAYAからレンタルDVDもコミックも撤去()。
「今回のコミケは、『黒子のバスケ』の件で、客足が鈍ったのでは」とアニメ会社の人から聞いたのは、昨年だった。警察とビッグサイトからの要請もあり、『黒子~』関連の同人誌は、一切販売せず。
それだけに終わらず、今年4月~5月、静岡や大阪、神戸でのイベントにも脅迫状が届く。最近の話だと、コンビニで販売予定だった「一番くじ」や食玩、これらが脅迫状によって取り扱い中止。

それどころか、一年前には原作者の母校や出版社に、実際に毒物が届けられている。
それなのに、どうして犯人は捕まらない? これはもう、十分にテロだと思うんだけど、警察は何してるの?
DVDやコミックを撤去しても、いま第二期が放映中。ジャンプでの連載もつづいている。『黒子~』が、消えてなくなるわけじゃない。コンビニやレンタル店は、別にアニメ・ファンの客だけで成り立っているわけじゃないから、この対応は仕方ないとは思う。

だけど、こんな簡単に、商品展開を潰せるものなのか? アニメやマンガって、こうまで弱いものなのか?と、呆然としてしまう。
ジブリ作品や『ドラえもん』なら、また対応も変わったんではないか。現在の気持ち悪い状況には、オタクならではの心情が関与している気がする……。


『スター・ウォーズ』ブームのとき、同じく『スター・ウォーズ』好きの後輩から、「早く、こんなブーム終わらないかな。そうしたら、あの人が『スター・ウォーズ』のグッズを買えなくなるのにな」と、聞こえよがしに言われたことがある。
『うる星やつら オンリー・ユー』公開前、抽選試写会に当たったのだが、同じように応募していた友人は落選してしまった。その友人は「お前だけ当選かよ。なんだよ、それ!」と、電話を叩き切った。
――似たような経験をした人は、多いんではないだろうか? オタク……というか、熱烈なファンは独占欲が強い。「俺さえ良ければ、他人はどうでもいい」という心理は、アニメだけでなく海外SFX映画ファンにも多いと聞いた。だけど、それは昭和生まれならではの貧乏根性だろうと思っていた。

現在もあまり、事情は変わっていないのだろうか。例えば、ある作品の絵コンテを使って雑誌記事を構成する。その絵コンテは、門外不出という約束で、お借りしているわけだ。
ところが、「そんなもん、僕でも持ってますよ」と、わざわざネットに画像をあげてくる人がいる。こちらには守秘義務がある。相手は、一体どのようなルートで入手したのだろうか? 最近は、どんなコンテや設定書にも「販売禁止」と書かれているはずだが。
ご丁寧にも、「僕も持ってますよ」と自慢するからには、何らかの優越意識を示したいのだろう。


『黒子のバスケ』の脅迫犯も、似たような人じゃないの? 「私以外のファンには『黒子~』に触れてほしくない」独占欲の強さから、同人誌を潰し、他人が手に入れうる商品を潰す。市場そのものを無くしてしまう。「残念だ」とくやしがる人がいればいるほど、嬉しいんだろうな。
この身勝手な心の動き、つくづく「オタクだなー」と、ちょっと懐かしい気持ちすらしてしまう。この嫌味ったらしい優越感や幼稚な排他意識を何とかしないと、オタク趣味は犯罪性を払拭できないと思う。「後ろめたい趣味」から、抜け出せないと思う。

ファンの人は、一体どんな嫌な思いをしているかなあ……と、複雑な気持ちになり、今夜は『黒子のバスケ』を録画予約した。愛の反対は無関心。「婦女子涙目w」と他人事にしているから、何も事態が改善しないんだよ。

(c)Magica Quartet / Aniplex・Madoca Movie Project Rebellion

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2013年10月28日 (月)

■1028■

まことに奇妙な、魅惑的な映画、『アナとオットー』。スペイン映画。レンタルで。
Los_am1少年と少女が出会い、義兄妹になるが、互いに惹かれあって恋に落ち……プロットを説明することは空しい。同じシーンが役を入れ替えて繰り返されたり、視点を替えてシーケンスが語りなおされたりするからだ。
例えば、冒頭ちかくで主人公の乗った車が急ブレーキを踏むが、同様のシーンは映画のあちこちで繰り返される。繰り返されるたび、元のシーンの意味が膨らんでいく。その膨らみ方が詩的であるため、『メメント』のように「答え合わせ」を求める映画には、なっていない。

物語の舞台は、フィンランドのラップランドへ向かう。ラップランドでは、太陽が沈まない白夜の日がある……と、アナとオットーの2人が思春期の頃、語られる。2人は成人後、それぞれ異なる理由でラップランドへ向かうが、偶然に偶然が重なり、その地で出会うことになる。
アナは偶然に振りまわされるように見えるが、オットーは自分の生前に起きたことをなぞるような行動をとる。どこまでが運命で、どこまでが恣意的に企てられたストーリーなのか、映画の後半では曖昧になっていく。パズルのピースを合わせていくと、とてもよく似たパーツが出てきて、どちらもピタリとハマってしまうんだけど……という映画。気まぐれのような、計算されつくされているかのような。

ラップランドは北極圏に近い。「ここより北極圏」と書かれた線を、アナがまたいで越える。その瞬間から、映画は別の次元に入ったのかも知れない。そんな、ルールが上書きされていくような幻惑味が、こたえられない魅力である。


『児童ポルノや恐喝 メールやLINE監視の対象として検討 通信傍受法改正の議論で【争点:安全保障】()』
そら、来た。「秘密保護法なんて、俺たちには関係ないぜ」と笑っていると、いつの間にやらアニメや同人誌といった趣味の領域で、何が起こるか分からない。国会議員や官僚は、何も守っちゃくれないって。いい加減、敵になりえる相手に尻尾をふるのは、みっともない。君がいかなる変態であろうとなかろうと、君の趣味・嗜好、それらを守るのは君自身しかいない。

だって、秘密保護法に若い人が反対しているか?といったら、「分からない」とダンマリを決めこむ連中が大半らしいじゃん。(田中龍作ジャーナル 秘密保全法 市民「マスコミが言わないから分からない」
俺、こういう人たちは救わないもん。俺は、俺の自由のために反対しているだけであって、「分からない」とか言ってる若者のことまでは、知らない。

原発再稼動に賛成する大学生が多いらしいので、もう後は彼らに任せた。彼らが核廃棄物の管理をキッチリつづけてくれるだろうから、「次世代に押しつけるのは申し訳ない」などと罪悪感にかられるのがアホらしくなってきた。
(再稼動賛成ってのは、別に「原発を維持している社会システムに触れなくてすむ」免罪符じゃあないんだぜ?)
俺は、温泉につかった猿どもを助けたいわけじゃない。俺はまず、何はともあれ自分を助けたいのである。


俺が「秘密保護法、通ってしまいそうだな」と焦りだしたのは、あまりに日本国民のルーズさにジャスト・フィットした法案だから。だって、「ことが重要であればあるほど、知らないふりをしたい」のが国民だもん。「大事なことは、誰かに決めさせよう」、そして「決まったものは、もうしょうがない」と、最初からあきらめる準備をしているのが日本人だもん。

例えば、群馬県で基準値を大幅にこえる野生ナメコが流通()。関東産のキノコがやばいなんて話は、二年前からえんえんと繰り返されているのに、採ってきた人が「出荷制限を知らなかった」と言ってるんだから、もう話にならないよ。出荷制限を破っても、誰も罰せられないんだもん。
このナメコを食べても、別に即死しないだろうさ。だけど、俺は自分の土地で起きていることさえ把握してないルーズな連中が「儲かるから」程度の動機で、ずるずるルール違反を犯して罰せられない、このひたすらだらしないサイクルに巻き込まれたくないだけだ。
やっぱり、倫理がなきゃいけない。自分が損するかも知れないけど、倫理が許さない。自分が得しなくても、倫理が黙っておれない。そういう心の動きがなければ、歳をとった意味がない。

「俺には関係ない」で、汚染されたキノコを食べてもいいですよ。だけど、それを流通させているルーズな構図に加担していると、そのルーズさが、今度はアンタの大好きな趣味の領域へ回っていくかも知れないよ?って話。
多数派に、強者に迎合したところで、弱者は決して救われない。「弱者を、まずは潰しましょう」って社会になりつつあるからね。

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2013年10月25日 (金)

■1025■

レンタルで、『モーターサイクル・ダイアリーズ』。若き日のエルネスト・チェ・ゲバラの南米縦断旅行を描く。
320083view002カメラか被写体か、どちらかが必ず動いている。バイクが走れば、カメラも並走する。バイクを失って歩く旅になると、カメラも手持ちで歩き出す。
フィルムに、生理というか生命のリズムが刻まれている。こういう映画は、言葉が通じようがどうだろうが、観客をグイと引き込む。

監督は、ドキュメンタリー出身だと聞いて、おおいに納得する。
雪の中を無理やりに走ろうとして転倒するバイク、猛烈な風の中、飛ばされて流されるテント。ゲバラ役の俳優が雑談する、市場の人々の自然なリアクション。むき出しの臨場感。
そして、常に揺れ動く画面とは対照的に、モノクロでカメラを見つめつづける旅先で出会った人々。彼らのインサート映像は肖像写真のように静止しながら、まばたきもするし、体はかすかに動いている。ジッと凝視している姿から、その人に固有の生活や意志が、ありありと浮かび上がってくる。

こんな生き生きとした映画に、点数など付けられるわけもない。見るときのコンディションや心境によって、いかようにも変化するのが、表現というものだ。
気持ち悪いのは、「物語の結末まで書かれている場合があります」と警告する映画情報サイトだ。「物語の結末」ごときを知ったところで、映画の価値が落ちるわけもない(いや、それこそ映画の種類、個性によるはずだ。すべての映画は一本一本、すべて異なる)。
つまりは、「ネタバレすんな!」と一方的に被害者ぶりたい観客のために、映画一本さえ語りづらい環境が生まれてしまっている。

すべての事象、それこそ娯楽や暇つぶしにまで「言ってはならないこと」が存在する、という根拠不在の思い込み。その思い込みが「ネタバレすんな!」という他者への抑圧を生み出している。せめて娯楽ぐらい、趣味の世界ぐらい、オープンに腹をわって話させてくれよ!


クロアチア一人旅から、まだ一ヶ月も経っていないのに、もう次の旅行のことを考えはじめている。
旧ユーゴ諸国のうち、どれかひとつ。そこと、クロアチアの二ヶ国訪問はどうだろう? 最初はモンテネグロを考えたが、クロアチアの南端、巨大観光都市ドブロヴニクの先にある。ドブロヴニクはテーマパークのようなつくりなので、一度訪れれば十分……。無難に、スロベニア~クロアチアを考えている。

スロベニアの首都リュブリャナが、前回の旅で気になったリエカと近いので、リエカとどこかもう一箇所。ザグレブ国際アニメーション映画祭は、来年2月開催。そんなに早く、貯金が回復しているとは考えにくい。
だけど、見知らぬ町を気ままに歩く解放感は、何にも替えがたい。


特定秘密保護法案が、閣議決定。今国会中には成立を目指すという。だけど、国民のほとんどは、この法案を知らない。パブリック・コメントを二週間で打ち切り、8割の反対意見を無視している。それが、この国の政府。

台風が再び東京に接近、伊豆大島に全島避難勧告が出ている。
先週、大島で多数の死者が出ていた時間、ツイッターで自慢げにジョギングの報告をしていた猪瀬直樹知事。今度は、2020年の東京五輪で、福島県を含む被災三県に「各国からの選手を受け入れたい」と言い出した()。
あれ? 東京五輪って、安倍総理が「東京は福島から250キロも離れている」と言って、招致成功したんじゃないの? コイツラ、一体なにをどうしたいの? 

どこの職場でも、こういうアホ上司っているんじゃない? 「案件Aを強行しようとすると、ペンディングされていた案件Bと矛盾しちゃうんだけど……いいや、まずはAを通してしまおう! あっ、だけどやっぱり、Bもやろうか、同時に!」 スケジューリングが出来ないって、仕事できないヤツの基本型だよね。
だから、僕の感覚としては、日本政府も東京都も「仕事できないヤツが、分不相応な役職についている」ってだけなんです。警察も、そう。「とりわけ仕事のできないおバカさんに、とりわけ強大な権力を与えてしまった」悪例が、日本の警察。

特定秘密保護法が成立したら、何しろバカのやることだから、「アレを潰したんだから、これも潰そう」と連鎖していく気がする。だから、今のうちに反対しておかないと、手遅れになるよ!って話。

Kobal/FILMFOUR/SOUTHFORK/SENATORFILM/TheKobalCollection/WireImage.com 

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2013年10月23日 (水)

■1023■

上智大学の田島泰彦教授の主催する、特定秘密保護法反対の集まりに行ってきた。
Cayj6aua_3首相官邸前、400人ぐらい。今夜と明日の夜も、別の主催者で集まるという。特定秘密保護法は、25日に閣議決定される見通しというから、ジッとしていられなかった。

「この法案が通ったらヤバい」と感じるのは、警官が少女買春したのに、少女の側が逮捕されるような、クソッタレな国だからですよ()。
この事件なんて、弁護士が告発しなかったら、警官の脅迫勝ち、強姦勝ちだったんだからね。あまつさえ、この巡査部長は買春を持ちかけておいて「金を盗まれた」と、ウソまでついている。
こんなゴミクズ以下の警察は僕らを逮捕できるのに、警察を監視する組織なんてないわけ。だから、年に何度も警察官は事件を起こし、誤認逮捕をくり返す。誤認逮捕しても罰せられないんだから、そりゃ好き勝手に逮捕するよね。
虫でも殺すような冷たい目をした警官と対峙すると、この国は警官か官僚になったら、犯罪やり放題なんだと実感するよ。そこで怒りを感じない人間は、精神的インポテンツ。

昨夜の集会だけど、上智大学の教授が主催したのに、大学生ぐらいの歳の人は少なめ。こういう集まりは、なぜか平均年齢が高いです。いいんです、原発にも特定秘密保護法にも興味なくて、ぐっすり眠っている若者は。そんな羊のような連中まで、とても救ってはいられない。


こういう記事を読むと、みんなが眠りこけてしまう理由が、よく分かるんです。→「日本人が英語を話せない本当の原因は同調圧力~留学生の経験から()」
自分の意見を持ったとたん、「あいつ何様?」と叩かれてしまう。そんな貧しい義務教育の影響から抜け出せない連中は、デモや抗議活動を遠目に、「あいつら、うぜえ」「黙れよ」とネットでボヤく。ベルト・コンベアのように、誰かがどこかへ運んでくれるのを待っている。

自分の人生を、自分の命を、自分のものだと思ってないんですよ。
だから、スマホを見たまま歩いて、電車にひかれて死ぬなんていう無駄死にが出来てしまう。「誰かが守ってくれる」と思ってるんだよ。「自分の人生は、誰かが楽しくしてくれるんだろう」と、他人事のように考えている。

主体性をもたないと、楽しくならないよ。自分で「どうやったら楽しくなるんだろう?」と考えれば、何が大事で、何が自分の邪魔をしているか、分かってくるよ。


一週間ぐらい、海外で楽しく過ごして帰ってくるでしょ? 「税金払え」って通知が来ている。「払わないと、財産を差し押さえますよ」って。どうして、そんな脅迫みたいな言い方しか出来ない? 僕の税金がどう使われ、どう僕に還元されたか、ちゃんと明細を示せばいい。
保険料だって、同じです。「不公平感が出てしまうので、払え」。いやいやいや、「国民健康保険は、いい制度だな」と思えたら、喜んで払うよ。「みんな払ってますから」は、理由にならない。

市民を恫喝しないと税金がとれない国って、どうよ? その税金で働いている警官が女子高生を騙し、逮捕までしてしまう社会って楽しいの?
「みんながそうしてるから」という理由で我慢したり忍耐したり、「決まりだから守れ!」と自分や他人を抑圧するのが、楽しい人生なんですか?

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2013年10月21日 (月)

■1021■

月刊モデルグラフィックス 12月号 25日発売予定
1375923_535448536541959_828080919_2 
●組まず語り症候群 第12夜
サブタイトルは「こまかく彫られたコマだから」。前回のつづきで、ズベズダ・ネタです。この連載も、「まあ休み休み、適当にやろう」と言いながら、一年間つづきましたね。

「そろそろ、一冊にまとめましょうか」と言われているけど、なんか考えないとね。付加価値を。できれば、500円ぐらいで紙質も粗悪で、すぐ捨てられるような本だと嬉しいんだけど……(薄っぺらいのに3千円とか、心が痛むじゃん)。


そろそろ、めんどくさい話でもしましょうか。

まず、秘密保全法(特定秘密保護法案)。これに反対するFAXを、私の住む東京22区の国会議員・伊藤達也先生の事務所に送っておきました(旅行前に)。伊藤先生は自民党なので、特に何の考えもなく、賛成なさるんでしょうか。
藤原紀香が、この秘密保全法の危険性をブログで訴えたところ、公安にマークされたとか、されなかったとか。

で、こうやって「FAXした」「抗議した」などと言うと、「議員の事務所に迷惑だろ」「威力業務妨害だな」と、個人が自由意志で何かやる分には、非常に厳しいのな。君たちは。
組織の人間が、組織のためにやることには、あきれるほど寛大な君たち。「左翼のクソども」とツイッターに書くような官僚を、「官僚も大変だなあ」などと、気味悪く気づかってしまう君たちは、たんに権威に弱いだけなのだろうか。

警察官は、自分の腕力でねじ伏せられそうな、見るからに弱そうな相手にしか、職質しない。屈強な黒人に立ち向かう勇敢な警官なんて、日本にはいない。立ち向かうとしたら、10人20人30人で取り囲むんだろうな。それが最も身近な、「個人と組織」のグロテスクな関係さ。
街を歩いているとき、好きな場所へ向かっているとき、僕も君も「個人」でしかない。無限に自由な個人。その自由を奪うのは、常に組織。この、胸のむかつくほどの圧倒的な彼我戦力差を、まずは認めなくてはならない。

自由は、木の葉のように軽やかだ。だが、木の葉は、マッチ一本で燃やされてしまうほど脆弱でもある。


大阪大学の一年生にアンケートをとったら、いま稼動中の原発がゼロだと答えられた学生は、113人中17人のみ()。
僕は、どこの大学も似たようなものだと思う。だから、明大で講義に立つことを、今年からお断りした。「助かろうと願っていない人間は、決して救うことができない」。これは、大震災で被災した旧友と話してみて、実感したこと。

上のアンケートを見ると、食べ物の産地を気にしない学生が64パーセント。助かろうと思っていない人たちは救えないので、僕からは、特に言うことはない。
スーパーやコンビニで、割と普通に買い物してても、意外と大丈夫なんじゃない?と、僕は思っている。だけど、自治体や農水省、食品業者に問い合わせてみ? そのルーズさに、唖然とするよ。

だけど、僕らは許してしまう。根拠薄弱、意志薄弱にも許してしまう。「許す」というのは、責任を手放すということだよ。「許さない」と決めた瞬間、ズシッと重たくなる。みんな、その重いのがイヤなだけだ。違うかい?
オリンピックだって、「いーよいーよ、決まったことだ」で許しているだろ? 僕はオセロゲームの盤面が真っ黒になっても、最後までひっくり返らない、白いコマでいたい。

自由は、木の葉のように軽い。薄くて上等なシャツのようなものだよ。その自由を満喫するのに、誰の許可を得る必要もないはずだ。僕も、君も。そうだろう?
だから、「オイコラ、止まれ」と職質してくる警官のような類い、権力を拡大しようとする連中を「いーよいーよ」で許すつもりは、毛頭ないのです。

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2013年10月19日 (土)

■1019■

11/17(日)15時~ フィギュア関連トークイベント第二弾「オッサンになったから、美少女フィギュアでも作ろうぜ!」(仮)
前回と同じく、模型の王国 浅草物件()にて行います。

内容は、僕と相方のべっちん氏が、初の美少女フィギュア造形にトライ。その無残な過程写真も公開しつつ、「40過ぎてから美少女を作る意味」を理論武装するという、苦しまぎれなイベントです。
特別ゲスト(ツッコミ役)は、おそれおおくも、東海村原八氏! 詳細は、また追って告知します。ネット配信、あります。


帰国後に見た映画は、『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』(ジュリア・ロバーツが美しくて良い)、『ビフォア・サンセット』(ミニマムな構成と終わり方が良い)、『レ・ミゼラブル』(こんな規模の映画を作れてしまうイギリスという国が怖ろしい)。
Ellisclotheschange_2あと、ケーブルで『謎の円盤UFO』。ヤバいよねえ、この番組は。
こんな、エリス中尉の着替えシーンなんて、あったっけ? 完全に見逃していた。エリス中尉もエロいんだけど、スカイダイバーの乗組員は、どうしてあんな、メッシュ状の服を着てるんだろう? 「これ、ホントに透けてない?」と気になって気になって、何度も見返してしまう。だんだん、ストーリーが頭に入らなくなってくる。
名前もないような女性オペレーターが、いちいち、性的なオーラを発しているんだよね。目線とか表情とか髪とか、体にピタピタのコスチュームとかで。

こういうSFメカ物と美女って、なぜか相性がいい。もっと言うと、ミニチュア特撮は、どこか脳の性的な部分を刺激する。


クロアチア旅行から戻って、丸一週間が経過した。まだ戻ってきた感じがしなくて、「ちょこっと、ザグレブ中央駅まで散歩してこようか?」みたいな気分になる。来週、旅券があったら片道10時間のフライトをものともせず、行ってしまいそう。

まとめとしては、
●クロアチア語は、エチケットとして挨拶を覚えておく程度でいい。ホテルの従業員はもちろん、屋台のハンバーガー屋、バスのチケット売り場、接客業の人はみんな、英会話が達者。
●物価は、それほど安くはない。EU加盟によって、物価が上がったのだろうか? 8クーナと聞いていたトラム(市電)の乗車券が、10クーナだった。そして、タクシーは東京とかわらないぐらい、高い。
●美人が多い。女子大生から勤め人にいたるまで、スラリと伸びた足をスリムなパンツでキリッとつつみ、キビキビ歩く。服の色は黒が多く、近寄りがたい、知的なムードを発散している。
●アジア人は珍しいので、一目で観光客だと分かってもらえる。その点、たいへん旅しやすかった。

最後に、ブログ未掲載の写真を何枚か……。
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もう10月だというのに、水着の広告は、あちこちで見ました。あと、最も人が集まるはずのザグレブのバス・ターミナルに「SEX SHOP」があったんだけど……何を売ってるのかは、確認せず。
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上から古着のフリーマーケット、車のプロモーションの一環として展示されていた馬車、骨董市。関係ないけど、レンタルDVD屋というのは、見かけなかった。
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とにかく、落書きされてない壁はない。何か、鬱屈としたものを感じてしまいます。最後の「よこそ」は落書きではなく、中央駅にあった公式な看板。教えてあげるべきなのか?(以上、ザグレブ)
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ロヴィニ。一番下のカッコいい船は、停泊したまま。夏には、動くんじゃないでしょうか。
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ロヴィニは、アドリア海に突き出すような形をしており、西端には見張り台がありました。夏は、この辺りから泳げるみたい。だけど、見張り台の中のゴミが壮絶だった。朝は、清掃車が走り回って、ゴミ入れのゴミは回収してたけどね……。
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おもいきり「NEMO」とか書いてあります。大雨がやんだあと、ちょこっと営業していました。
こうやって、中途半端に商業主義に走っているところが、とてもキュートな町です。(以上、ロヴィニ)

クロアチアには、ディズニー物は広く浸透しているのですが、日本アニメのDVDは『とっとこハム太郎』しか見かけませんでした。

(c)ITV plc (Granada International) All Rights Reserved.

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2013年10月16日 (水)

■1016 クロアチア旅行記・6(完)■

モスクワに一泊、ザグレブに二泊、リエカに一泊、ロヴィニに二泊して、またザグレブに戻ります。

ホテルで朝食を早めにすませ、フロントに行く。僕の顔を見るなり、昨日の白髪の女性が「Shall I call Taxi ?」  この機転のよさが素晴らしい。
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ホテル前、午前8時の太陽。タクシーで、ロヴィニのバス・ターミナルへ向かう。ここからザグレブまでは、プーラとパジンを経由、5時間ほどの長旅になる。
バスに乗っている間、少しずつ気持ちが滅入ってくる。ささいな失敗が、気にかかる……。自販機で買ったコーラを、スラックスにこぼしてしまう。


しょんぼりした気分で、ザグレブのバス・ターミナルに降り立つ。またしてもホテルの場所が遠いので、タクシーに乗る。15時、ホテルに到着。しかし、運転手に「ここが?」と聞き返してしまったほど、ホテルらしくない。カフェやレストランの入った雑居ビルの雰囲気。
そして、ホテルのフロントは、なんとパブの中にあった。憂鬱そうな顔をした、ハンサムな青年が「10」と書かれたルームキーを、僕に渡す。

部屋に入って、呆然とする。映画スターの写真が、壁に飾られている。
Cimg0248なんかこう、矢沢永吉グッズで埋め尽くされた部屋みたいな。「YAZAWA」みたいな。……これが、クロアチア最後の夜? 早めにビールでもくらって、寝てしまいたい。まだ15時だけど。

とりあえず、付近を歩いてみよう。ホテルの真ん前が、トラムの停留所になっている。
そこから先は、パブやステーキの店なんかが、ポツポツと並んでいる。タクシーが、何台か止まっている場所もあるけど、タクシー乗り場というわけではないらしい(乗ろうとした女性が、運転手に断られていた)。


スーパーでビールを買い、もう少し歩いてみる。カフェやパン屋が多くなってくるが、歩くほCahnvo4q_3どに、気が滅入ってくる。
この、うらぶれたムードの正体が分かった。数百メートル先が、トラムとバスの終着地点なのだ。そこで道は途切れ、川が流れている。橋の向こうまで歩いてみたが、これといって、何もない。この世の果てのようだ。終点なので、人だけは多い。
終戦後、20年も経ていない国であることを、いやでも思い出してしまう。

「KEBAB」と書かれた店で、14クーナのチキンバーガーを頼んだ(この地域でのケバブとは、巨大ハンバーガーのことを指す)。お姉さんはハンバーガーを温め、野菜をはさみこむと、「ソースかける?」と聞く。そのかすかな笑顔さえ、いまでは嬉しい。
しかし、ホテルへ持ち帰るつもりが、「ハイ」と食べやすい形で、手渡される。しかたなく、曇天の路上で食う。かぶりつくほど、ハンバーガーから中身があふれ、ソースの味は強烈だ。毒を食らわば……というヤツ。ここまで来れば、これ以上の最悪はないだろう。


薄暗いホテルに戻り、明日どうやって空港へ行くか、プランを練りはじめる。ホテル前から、トラムを使う手もある。クロアチアに着いた初日、Yさんから渡された路線図を広げる。
……待てよ、ここから反対方向へ行けば、ザグレブ中央駅まで、一本じゃないか! まだ早いんだし、試しに歩いてみるか!

すると、駅方面への道には街路樹が並び、センスのいい本屋まである! おお、文化の香Cimg0243り。大学もあるし、公園では骨董市もやっている。
遠回りになるんだろうけど、中央駅までトラムに乗って、タクシーで空港へ向かうのが、ベストな気がしてきた。この、いかにもザグレブな道を通って帰るのが、いちばん気持ちいいに決まっている。

懐かしい植物園の前を通り、ザグレブ中央駅に着く。「トラムヴァイ・カルテ」と、キオスクのお姉ちゃんに言う。トラムの一回乗車券、10クーナ。
駅前のトミスラフ広場を抜けていく。人々は噴水のまわりのベンチに、思い思いの格好でCimg0246 座っている。お婆ちゃんとお母さんに両手を引かれた子供が、歓声をあげながら、両足で地面を蹴る。

ほんの4日前だが……、初めて、朝のザグレブの静かな住宅街を歩いたとき、誰もいない芝生の公園で、母親と子供がブランコで遊んでいた。その寂しくも楽しげな光景が、頭をさらない。
僕は、街路を踏みしめる足の裏から、自由を感じた。風のような気持ち。あの気持ちに、また帰ってくることが出来た。


翌朝、僕はトラムに乗って中央駅で降り、そこからタクシーを拾った。「エアポート」と僕が言うと、運転手のオジサンは「エアポルト」とくり返した。
そして、空港に着くと、あの重たい荷物を入り口まで運んでくれて、「Good Bye.」と笑った。

まだ、帰りの飛行機のチェック・インが始まってない。
Cimg0251僕がサンドウィッチ屋の前でうろうろしていると、カウンターから店員が手招きする。僕はサンドウィッチとコカコーラを注文した。彼は「あ、コカコーラ・ゼロの栓を開けちゃった!」と、栓を力づくで元に戻す芝居をしながら、「ごめんね、ノーマル・コークのほうが良かったよね?」と、笑わせてくれた。

コカコーラ、22クーナ。サンドウィッチ、25クーナ。
ともあれ、それが、クロアチアで食べた最後の食事となった。

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2013年10月15日 (火)

■1015 クロアチア旅行記・5■

小さな古都・ロヴィニ、2日目。朝7時、教会の鐘の音が町中に響く。
Cimg0176(←左側の建物が、僕の泊まったホテル。)
朝食をとるため、ホテル一階のレストランへ降りる。お姉ちゃんが「コーヒーと紅茶、どちらにしますか?」と、にこやかに聞いてくる。笑顔を見せる美女は、クロアチアでは初めて見た気がする。
朝食はいまひとつボリューム不足だが、なんとスイカがあったので、味わって食べた。スイカ、日本ですら何年も食べていない。

明日の朝、バス・ターミナルまでタクシーで行きたい……と、フロントで話をする。しかし、白髪の知的な感じのフロントの女性は「それは無理です」と言う。ここまでタクシーで来たのだから、呼べないはずがない。「じゃあ、ターミナルまで歩いて行かなくてはならないの?」と途方にくれていると、「そうではなく、タクシーは、乗る当日に呼ぶ決まりになっているのです」。すごく丁寧に説明してくれた。「Thank you.Hvala.」と、お礼を言う。


朝9時すぎ、旧市街へ出かける。
Cimg0224_4どうしても、教会へ足が向いてしまう。雨がぱらついてきたので、一時間ほどで、いったんホテルへ戻る。
掃除の女性(僕より少し若いぐらい)が、部屋の扉をノックする。「ドアノブに掃除するかしないか、カードを出しておいてください」とのこと。この女性、何とも人懐っこい笑顔をしている。

昼近く、もういちど外出。簡単なパンとコーラを出す店に寄りたいのだが、朝からずっと、カウンターでオジサン2人が酒盃を傾けている。近寄りがたいので、小さなスーパーでビール、ベーカリーでパンを買い、海を見ながら立ち食Cimg0193い、立ち飲み。パンくずを投げると、すごい数の海鳥が寄ってきた。
僕が買い物したスーパーもベーカリーも、ザグレブに同一チェーンの店があった。都会と変わらない味が、このような小さな観光地でも楽しめる。その辺りの、いわば必然的に俗化している部分には、まるで抵抗をおぼえない。


また教会に行き、60メートルの鐘楼に登る。
Cimg0140うっかり、ポケットに入れていた札を落としてしまったのだが、係の青年が追いかけてきて「あなたのお金ですよ」と、届けてくれた。彼もまた、なんとも爽やかな笑顔をしていた。

教会内部の、クリーム色の有機的な内装に見とれる。胎内にいるかのような安らぎ。われわれの住む世界は、実はまだ母親の胎内であって、“本当の”外の世界はステンドグラスのように、きらきらと眩いのかも知れない。

トイレに行きたくなると、ついついホテルへ戻ってきてしまう(公衆トイレの使用料が高すぎるのだ)。
先ほど、ドアをノックした掃除の女性が、「本当に、部屋を掃除しなくていいの?」と聞いてくる。タオルは2セットあるし、こうやってちょくちょく戻ってこられなくなるので、掃除は必要ないのだ。
「じゃあ、明日は掃除するわね?」と言われて、答えに困る。明日は、もう帰る日なんだよなあ……。女性は、「あ、分かった」という顔をすると、人差し指と中指でトコトコトコッと、歩いて帰る仕草を見せた。とてもキュートだった。


午前中、小雨だった雨は、とうとう、どしゃ降りとなってしまう。
Cimg0200僕は、南側の港のカフェへ入り、ビールを頼んだ。ここで見張っていれば、遊覧船が動いたとき、すぐ乗れるはずだ。

すると、ただ一隻、港についた船に、人々がどんどん乗っていくではないか。僕も、彼らにまじって、その船に乗り込んだ。
……しかし、お金は? タダってことはないだろ? 船が少し離れた島につくと、客は全員、降りてしまった。どうやら、この島にあるホテルに人を運ぶためのシャトル便のようだ。
勝手に乗ってしまったので、ホテル客を誘導していたオヤジに「僕はチケットを持っていない」と言うと「チケット? そんなもんは必要ないよ」。じゃあ、乗ったままでいいんだな……と、二階の眺めのいい席につく。

船が動き出すと、さっきのオヤジが来て、「いや、悪かったな。チケットはいらないと言ったCimg0211が、実は、ひとり40クーナとることになっているんだよ」。40クーナなら安いものなので、その場で払った。
(←この荒海の中、ひとりでカヌーを漕いでいる猛者。)
オヤジは「Have a goodtime.」と言って、去っていった。……いや、その一言が余計なんじゃない? それは商売っけがありすぎるでしょ。飽くまで、ホテル客用のシャトル便なんだから。

是が非でも、ロヴィニでは船には乗るつもりでいたから、ぜんぜんいいんだけどね。


あれだけ激しく降っていた雨が、急にやんだ。お別れのつもりで、また教会へ行く。
Cimg0184もう夕方なので、観光客は少ない。教会付近は、犬の散歩にくる人が多いのだが、茶色い中型犬をつれたオジサンが「ハハハ!」と楽しそうに犬に話しかけながら、「チュッ!」と音が聞こえるぐらいのキスをしていた。つい、笑ってしまった。

しばらくして、桟橋へ移動すると、そのオジサンが愛犬とまったり和んでいたので、また笑ってしまう。どんだけ犬好きなんだよ、と。

夕景が、いい感じになりそうなので、ケバケバしい看板のカフェに入り、ビールを頼む。
Cimg0237
旧市街は、すっかり寂しくなったが、港のほうには、まだ大勢の人が歩いている。子供の声がすると、何だかホッとする。僕の隣の席では、60歳ぐらいの夫婦が、仲良くソフトクリームを食べている。
Cimg0238_2


さて、今夜も安そうなレストランを厳選して、夕食をとることにする。
魚料理が食べたかったが、背が高くほっそりとしたボーイは「今日は、魚料理はできないんです。パスタの中から選んでください」と言う。パスタは好きじゃないので、ムール貝のリゾットにした。

先にきたビールを味わっていてると、背の高いボーイがやってきて、「どこから来たんですCimg0239か? ひょっとして日本?」「東京ですか? 東京には、百万人ぐらい人が住んでいるんでしょ?」
話し好きの若者だなあ、と思っていたが、そうではなかった。彼は『ラストサムライ』を見てから侍に魅せられ、叔父さんと一緒に刀の模型を自作してしまったほど、日本好きなのだ。
彼がケータイで見せてくれた写真には、着物をきた彼の肖像画まであった。「僕は日本に行って、刀職人になりたいんだよ。東京には、刀職人はいるの?」

僕は、なんとか、この青年の喜ぶことはできないだろうか?と、考えた。彼の名前を聞き、メモ帳に日本語で、「○○よ、君はクロアチア最高の侍だ」とか適当なことを書くしか、思いつかなかった。
彼は、日本語で「ありがとう」と何度も言っていたが、あまり嬉しそうではなかった。チップを渡すとき、「円はないの?」と聞かれた。ああ、日本円か……! ホテルに戻れば、スーツケースの奥にあるけど、この店からでは遠すぎる。無理してでも、とってくれば良かったんだろうか。今でも、悩む。
「いいんです、気にしないで」と、彼は笑ってくれたのだが。


僕たちは、外国人が「サムライ」「ニンジャ」と言うだけで、「プッ」と笑ってしまう。しかし、自分たちだって侍や忍者について、きちんと説明できるわけじゃない。自国の文化なのに、自分たちが最もバカにして、何か分かった気になっている。ただ、覚めているだけだ。
そして、今の日本は、とても海外から人様を呼べるような状況ではない……。

明日は、この小さくて控えめで、人間くさい人たちの住む、静かな都を離れる。
階下のレストランから、昨夜も今夜も、趣味のいい音楽が流れてくる。ペトゥラ・ クラークの『恋のダウンタウン』のような、古いポップスや、ジャズ。それらを聞きながら、僕はまどろむ。

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2013年10月14日 (月)

■1014 クロアチア旅行記・4■

モスクワで一泊、クロアチアの首都ザグレブで二泊、貿易都市リエカで一泊し、いよいよ旅の最終目的地であるロヴィニへ移動します。

昨夜のリエカの町の、はち切れんばかりの元気さが忘れられず、朝食後に、ホテル近辺を散歩。
Cimg0109(←貿易港なので、こういう渋い船や倉庫もある。)
月曜日の朝8時なので、通勤途中のお姉ちゃんが、チラホラいる。市場も開いていた。

10時に、ホテルに頼んでおいたタクシーが到着。いかついオッチャンが運転手だったが、「バス・ターミナルから、どこまで行くんだ? ロヴィニ? それなら、5番乗り場だ。あそこに見えるだろ」と、本当に親切。
まだ一時間ぐらい時間があるので、バス・ターミナル近くの待合室で、サーモンとチーズ入りのパンを買って、食す。さすが海に近いので、ソーセージやサラミではなく、サーモン。

バスは、プーラという大きな観光地を経由して、ロヴィニへ向かう。
Cimg0111(←リエカの長距離バス・ターミナル。奥に、いかにも港町らしいクレーンが見える。リエカ→ロヴィニのバス代は、106クーナ。2,000円もしない。)
バスの車内は閑散としていたが、僕の後ろの席では高校生ぐらいの女の子が3人、席から身を乗り出しておしゃべりしていた。その子たちもプーラで下車し、ロヴィニへの車内は、僕をふくめて3人きりとなった。


ロヴィニのバス・ターミナルは拍子抜けするぐらい、小さい。到着してすぐ、明後日、ザグレブに帰るためのバス・チケットを買っておく。とにかく、まずは足を確保する。(ロヴィニ→ザグレブ間は、152クーナ。遠距離なのに、本当に安い。)
午前便のチケットが買えたので、安心してホテルへ向かう。重たい荷物を押して歩くのは、さすがに懲りたので、タクシーに乗る。運転手はオジイサンと言ってもいいぐらいの年齢だったが、「チャオ」と笑顔で別れた。クロアチアの、オッチャンたちのキュートさは女子高生に勝る。

ホテルは旧市街の入り口、チトー広場に面した素晴らしい場所に建っている。
荷物をおろして、雨がやんでいる間に、キキのフィギュアを持って旧市街へ向かう。
Cimg0115
ここからは、写真おおきめで行きます。ホテルから歩いて2分ぐらいの桟橋。やはり、まだ雨がポツポツと降っている。
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反対側の港から、旧市街を望む。こちら側には大きな駐車場がある。中央に見える丘の上のエウフェミヤ教会が、いい目印となっている。旧市街そのものは、一時間もあれば回りきれてしまう。
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このように、入り組んだ街路から、いきなり海へ降りられてしまう場所が、いくつかある。このブツギリ感が魅力。しかし、たいていは可愛い感じのお店に改装されてしまっている。
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ほら、こんな具合に。「なんという俗物」と思った。デザインの上に、デザインを重ねているだけというか、店のオーナーの「してやったり」感が嫌味かな、と。
旧市街を離れるとすぐ、港の周りに、ギトギトに毒々しいカフェの看板が、競い合うように並んでいます。
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夏には海水浴もできるようなので、トロピカルな南国ムードに爆走してしまっている。この頭の悪さこそ、むしろクリエイティブだ。この通りには「3D PHOTO CRYSTAL」という看板も出ていて、もう何の店だが分からんでしょ? この優美な古都に「3D」って、アンタ。
だけど、これらのケバい看板や「3D」の破壊力は、町の景観に便乗して何か創った気になっているアーティストに対して、圧倒的に勝っていると思うのです。
Cimg0161
こうやって、カフェの店頭で音楽を流すと、お客さんが踊りだしてしまったり。「何とでも、どうとでも楽しんでくれ」と言わんばかりの投げっぱなしの気軽さが、町全体から漂っている。
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ザグレブまでのバス・チケットも買えたし、残金を計算して「多少は贅沢してもいいかな」と思い、レストランへ。ラム肉とピザ、ビールもひっくるめて、111クーナという安さ。高いお店だと、一皿で250クーナとか書いてあるので、安そうな店を慎重に選んだ。
この店は、ボーイの太っちょのお兄ちゃんが通りかかるたび、満面の笑みでウインクしながら「GOOD?」「OK?」と親指を立ててくる。そのバカっぽさが、かわいくて仕方ない。チップ多めに渡してしまった。
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西の空が、なかなか暮れてくれない。夕陽を見逃す手はないので、また教会のある丘へ向けて歩き出す。教会の中は、ステンドグラスからの光が、聖人の像を見事に照らすように配置されている(写真は禁止なので、撮っていない)。
Cimg0166
この時間になると、旧市街に観光客はおらず、映画に出てきそうな暗い石畳を歩くのは、市街に自宅のある人ぐらいだ。
Cimg0171
教会がライトアップされる時間まで、待ってみた。近くのトイレは、5クーナ(クロアチアの公衆トイレは有料のところが多いが、5クーナは高い)。そのトイレも、営業終了だ。
この鐘楼のてっぺんには、エウフェミヤという15歳の少女の像が、町を見下ろしている。雨の日も、荒らしの夜も、彼女は悠然と天空に立ちつづけている。世界最強のフィギュアだ。
僕は、町のどこからでも見ることの出来る彼女の雄々しい姿に、すっかり惚れこんでしまった。

翌日、僕は15クーナ払って、この鐘楼に登ってみた。入り口のところで、屈強なオジサンが黙って仲間の帰りを待っていた。なぜなら、木の階段の下が丸見えで、むちゃくちゃ怖いからである。

とりあえず、町を二周したところで、初日はダウン。20時に就寝。とうとう、クロアチアの西の果てまで来た。

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2013年10月13日 (日)

■1013 クロアチア旅行記・3■

帰国した夜から、原稿修正の依頼があり、さっそく仕事に追われています。
以下、クロアチア旅行記、第三弾です。


モスクワで一晩、クロアチアの首都ザグレブで二晩を過ごした。旅行4日目は、貿易港のあるリエカという町へ移動。

アパートメントをチェックアウトしたのは、お昼12時ぐらい。長距離バスが出るのは14時なので、バス・ターミナルまで、ゆっくり歩いていくことにした。……が、これが大失敗。荷物が重たい。トラムの乗車券はキオスクで売ってるんだけど、キオスクがないんだわ、この通りには。
ザグレブ中央駅に着いたときには、もうヘトヘト。駅前で果汁入り飲料水を買って、休む。宗教勧誘のオバチャンが来る。「Sorry」と断ると、「Dobro(Goodという意味)」と言って去っていった。

一時間もかかって、ようやくバス・ターミナルに到着。17クーナのハンバーガーを買って、ターミナルで食う。ちゃんと温めてくれる上、「ケチャップかマスタードかける?」と英語で聞いてくれる。高いだけあって、美味い。
Cimg0253で、我ながら呆れはてるんだけど、ターミナルのメディアショップで『Winx Club』の本が売っていたので、買ってしまう。アホ。
着せ替え遊びのできるマグネットが付いて、25クーナ。コミックがメインでありつつも、『Winx Club』のキャラが、ファッションや音楽を紹介している雑誌のような体裁。もちろん、すべてクロアチア語という珍本。


ザグレブのバスターミナルは立派で、鉄道よりバスのほうが圧倒的に発達しているのが、よく分かる。
『地球の歩き方』には、ザクレブからリエカまで、バス代は最低91クーナと書いてるけど、実際には86クーナだった。タクシーとは比較にならないぐらい安い。

で、リエカ行きのバスには、お客さんがいっぱい乗っていて、席の番号が分からない。するCimg0084と、周りのオバチャンたちがクロアチア語でいろいろ話しかけてくれて、なんとか自分の席が見つかる。「ハワラ」と、頭を下げまくる私。何を言ってくれていたのか、さっぱり分からなかったけど、ありがたかった。

バスの車内は、オバチャンたちが楽しそうに会話していて、すごく和やか。あと、ケータイの着信音があちこちから聞こえ、みんな普通に長電話してます。
リエカまで、3時間。少しずつ、車窓からアドリア海が見えてくる。


そして、片側にクレーンなどの湾岸施設、もう片側に町の喧騒が見えてきて……この町Cimg0088 は、ザグレブとは違う! バスの中から、もう心がざわついてきた。リエカには一泊するだけなので、この町の空気は、今夜のうちに吸わなくてはならない!
ダッシュで、明日のロヴィニ行きのバス・チケットを買う。立派なターミナルなどなく、なんとなく事務所っぽい受付っぽいところへ駆け込み、「ここでバスのチケットも買えますか?」と聞く。OK、買えた。 

そして、ホテルまで歩いていけるだろ……と、大きな荷物を引きずって、ホテルとは逆方向へ歩き出してしまう。
Cimg0089すると、『時をかける少女』のポスターが! ザクレブで国際アニメーション映画祭が開催されていて、『おおかみこどもの雨と雪』が上映されたのは知っていたけど、リエカでもやってるの?
どうやら、この町の映画館では毎年、日本映画の特集上映をやっているらしく、『時かけ』以外では『わが青春のアルカディア』『銀河鉄道999』『太陽の王子 ホルスの大冒険』『カフカ 田舎医者』を上映! この町、気に入った!

とりあえず、ホテルの場所が分からないので、バスの止まった辺りへ引きかえす。この界隈のざわつき感、普通ではない。
タクシーにホテルの名前を告げ、部屋に入るやいなや、荷物を置いて飛び出す。早くしないと、この町のザワザワした感触を味わえない!


ホテルは、タクシーでは数分だったけど、さっきの騒がしい辺りからは離れている。もはや、勘をたよりに歩くしかない。多分、絶対にあっちだ!
Cimg0097すると果たして、すっかり暗くなった広場のあちこちに、若者たちが黒い塊をつくっているのであった。店頭で、サッカー中継を流している店がある。ゴールが決まるたび、ビールを手にした若者たちから歓声があがる。

Cimg0102子供たちが、通りで赤い風船を蹴飛ばして、笑っている。閉まったオモチャ屋のショーウィンドウを熱心に見ている子供もいる。19時すぎ、たいていの店は閉まっているのだが、まだ誰も帰ろうとしない。エネルギッシュだ。ザクレブの整然とした空気が、この町にはない。今夜こそ何かをぶっ壊してやろうと、町と人とがケンカをはじめようとしている……そんな真夏の夜のような雰囲気だ。

そして、広場のあちこちに、また『時かけ』のポスターが。
Cimg0099僕はキオスクでビールを買って、酔いを楽しんだ。夕飯を食べていないことに気がつき、マクドナルドが雑然とにぎわっているのを発見した。駆け込んで、「BIG TASTY」をテイクアウトで注文。ビッグマックとフライドポテトのセットだ。
マクドナルドもまた、親子連れや若者でごった返しており、注文の列がとぎれないのであった。


何かイライラとした情熱が、町からあふれ出ようとしている。僕は広場の石垣に座り、ビッCimg0096グマックをビールで楽しんだ。今日は日曜日だ、と気づく。それで親子連れが多いのか。
僕の前に、誰かが座る。注意をひくように、咳ばらいしている。無視してポテトを食べていると、何かブツブツと言って、立ち去った。「ジャポネ」という単語が聞こえたので、ひょっとしてフランス人? 

20時近く。明日は早いので、まだ熱の冷めないリエカの町を後にすることにした。きっと、彼らには、まだまだ娯楽が足りないのだろう。小さなアートスペースがあったが、そんなものでは足りないのだろう。
リエカには、古城や大聖堂などもあるという。だけど、僕には、何Cimg0103かを楽しみたくてイライラしている若者たちの発する熱、それだけで十分だった。

泊まったホテルは、手でエレベーターの扉を押して開けねばならないほど、古い建物だった。

翌日は、いよいよ最終目的地のロヴィニへ向かう。

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2013年10月12日 (土)

■1012 クロアチア旅行記・2■

昨夜、友達が無事の帰国を祝って、酒を飲み交わしてくれたんだけど、「個人の海外旅行は、犯罪に巻き込まれるケースがあるので」とのこと。そういう意味で、ツアーは安心なのかも。


さて、モスクワのシェレメーチエヴォ国際空港に着いたら、チェックインして、出発まで過ごす。空港の売店でも、やはりユーロは使えず。やむなく、千円札をロシアン・ルーブルに換金してもらって、イチゴ味の飲料水を買う。
この空港は「トランジットに時間がかかりすぎるか、無さすぎる」と評判で、わざわざホテルに泊まりたくない人は、空港の床で寝ている。

とりあえず、モスクワを出発したら、クロアチアまでは3時間です。


クロアチア空港は、徳島阿波踊り空港かと思うほど、ちっちゃいです。初日と2日目は、日本人経営のアパートメントに泊まるので、送迎のタクシーを運転してくれる人を探す。「HIROTA」と書かれた紙を持って立っていたのは、端正な顔立ちの青年だった。
空港から首都ザグレブの中心地まで、30分ぐらいですかね。タクシーは安くはないけど、バスを使うと、アパートメントまで歩くか、トラム(市電)を使うしかなくなるので……。

アパートメントというのは、本当に普通のアパートの部屋を、そのまま貸し出している。
Cimg0013_2僕の泊まったアパートメントは、日本人が経営しているので、いろいろ情報が聞けて、すごく便利だった。

アパートの入り口で、どの部屋のボタンを押していいのか分からずにオロオロしていると、80歳ぐらいのオジイサンが笑いながら話しかけてきた。しかし、クロアチア語は挨拶ぐらいしか分からない。
オジイサンはそのアパートの住民で、事情を分かっていたらしい。笑顔でアパートの中に手招きして、「あそこの部屋だよ」と教えてくれた。すごい親切。
クロアチア語で「ありがとう」は「Hvala」。本には「フヴァーラ」と書いてるけど、僕には「ハワラ」と聞こえるので、オジイサンに「ハワラ」とお礼を言って、アパートの中へ。


アパートの経営を手伝っている、Yさんという女性から、トラムの乗り方を教わり、路線図までもらって、位置関係が分かってくる。3月のツアーで行った大聖堂や聖マルコ教会とは、まったく逆方向の市街地にいる。

まずは、アパート周辺をぐるっと散歩。スーパーやパン屋があるので、食べ物には困らない。
Cimg0027トラムというのは、この写真に見える、青い乗り物です。これに乗れるカードもYさんが貸してくれたので、明日乗ってみることにする。
こういう映画祭をやっているところが、何とも文化的で良いなあと思うのです。(翌々日、とんでもない映画ポスターを、僕は目にすることになる……。)

スーパーでビールを買うと、10クーナ以内で買える。10クーナは170円ぐらい。安売りなら、3~4クーナでロング缶が買える。
Cimg0040パンとかピザは、ひとつ10クーナ~17クーナぐらい。交通費を最重視して、食費をケチるため、とにかくパン。町中のパン屋でも、ショーウィンドウを指差して「This one」と言えば、普通に買えます。歩き食いも出来るし、パン屋が多いのには助けられた。

ビール2本とパンふたつで、いい感じに眠くなってくる。明日は、リエカという町までのバス・チケットを買いに行くので、20時ごろに就寝。


翌朝。バス・ターミナルは、中央駅より少し先にあるので、トラムに乗って行くことにする。Yさんからお借りしたカードをCimg0020 ピッとかざすだけなので、すげえ簡単です。結局、僕は日常生活で「分からない」「間違える」ことを、何より怖れている。車の免許をとらなかったのも、「間違える」可能性が増えるからだろうな。

パス・チケットが買えなかったら困るので、行き先と希望時間を書いたメモを持っていった。
「明日の午後、リエカ行きのチケットを一枚」と英語で言ったら、簡単に買えましたけどね。「そんなバス便はない」とか言われたら、旅行の予定がすべて崩れるので。
精神的に余裕が出たので、ツアーでも行った聖母被天昇大聖堂に歩いて行ってみよう、と決意。地図があるので、まあ大丈夫だろう。


で、大聖堂近くに本屋があったので、何かディズニー物でもないかな?と、フラリと入ってみる。
Cimg0252そしたら、イタリア・アニメ『Winx Club』の紙バッグが売っていた! それと、『塔の上のラプンツェル』のクロアチア語CD付きの絵本。
両方で50クーナぐらい。安い。これらを買ったのはいいが、袋に入れてくれないんです。これを持ったまま、大聖堂に入れと? 

やむなく入りましたけどね、『Winx Club』の紙バッグ持ったまま。大Cimg0055聖堂も、自分の意志で見に行くと、身に迫ってくるような迫力がある。ネットもテレビもなく、これを肉眼で見るしかなかった10世紀半ばの人々は、どれほど感激しただろうな。


しかし、『Winx Club』の紙バッグをむき出しで持ち歩くのは、さすがにアレなので、大聖堂近くの青果市場で、オバアチャンからビニール袋を買う。2クーナ。観光地のせいか、「How much?」で通じます。
Cimg0052あと、市場はあちこちにあるので、腹がへったら「This one」でパンを買えばいい。これはなんか、野菜の入ったパンでした。
市場で、すれ違いざまに「ニーハオ!」と声をかけられたが、アジア人の観光客は少ないし、別に腹はたたない。

で、大聖堂から公園を通って中央駅に出て、そこまで来ればアパートまで徒歩20分ぐらいで帰れるはず……と歩き出したら、それからえんえん4時間、ザグレブの町をさまようことになるのでした。
トラムの線路をたどっていけば、必ず駅前に出られる……と思ったんだけどね。
Cimg0060Yさんからもらったカードで、ケーブルカーにも乗れると聞いたので、つい乗ってしまったのが、運のつき。

10メートルほどのケーブルカーを降りると、ツアーで行った聖マルコ教会が、ちらりと見えた。そっちは興味ないので、またトラムの線路を探す。
そしたら、ポツポツ雨が降り出した。折り畳み傘があって、よかった。


トラムの線路が、公園の中でグルッとターンしていたりして、これはもうダメかも……と思いかけたとき、植物園に行き当たった。路線図では、植物園の次の駅が、中央駅なのだ。ここまで来れば、一安心。
植物園をのぞくと、傘をさした女の人が立っている。ここは無料のはずだし、トイレもあるので、迷わず見物していくことにする。

すると、大きな温室は14時でクローズしてしまっていて、小さな温室がひとつ空いているきCimg0075り。全体的にさびれていて、なかなかイイ雰囲気の植物園でした。

中央駅まで、歩いてすぐ。駅の構内で「This one」でパンを買う。
帰りはトラムで、アパート近くまで。大きなスーパーがあり、カップヌードルも売っている。
だけど、レジのオバチャンがドスコイ系のでかい人で、俺の顔を真正面から見ながら、クロアチア語でベラベラベラッと何か言った。こーいうのが、いちばん怖い。レジ袋が必要かどうか聞いたらしいのだが、そういう「知らないルール」が目の前に現われると、急に萎縮してしまう僕なのでした。


クロアチア2日目は、道に迷って終了でした。リエカまでのバス・チケットが買えたので、上出来でしょう。明日の夜は、ついにアドリア海。
Cimg0254そして、道に迷いつつも、大きな本屋で購入したのが、『Mjesećeve sjene』というタイトルの本。「月の影」という意味らしいんだけど、悪魔の装束をした俳優たちが、さみしい森の中の廃墟に集まっていて、デジタル加工で、不気味な炎が合成してあったりします。

お値段150クーナ。2千円ってとこですか。古い皮のような印刷処理がしてあったり、底知れぬ魅力に溢れた本です。

そして翌日、リエカという港町で、懐かしいアニメと出会うことになります。

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2013年10月11日 (金)

■1011 クロアチア旅行記・1■

10月3日~11日、クロアチア共和国を一人で旅してきました。今回は、子細にメモをとったので、それを元に旅行記を書きたいと思います。
1_2
クロアチアは「く」の字型をした国なのですが、今回は首都ザグレブから西へ、長距離バスを乗り継いでの旅です。貿易都市であるリエカで一泊し、最終目的地は、小さな古都ロヴィニです。
ロヴィニは、ネットの記事で少し有名になったのに、世界遺産もないし、観光ルートからは、なんとなく外されてしまうようですが……。
Cimg0197_2
こんな風情なので、「ジブリアニメっぽい」とか言われています。「『魔女の宅急便』に出てくる都市は、クロアチアではないかという噂がある」などと、旅行の本にまで書かれる始末です。
実際には、『魔女宅』で取材されたのは、スウェーデンです。
だけど、「せっかくキキのフィギュア()作ったんだし、本当に“海の見える街”で撮影してくれば?」と友人に薦められ、キキと一緒に、クロアチア最西端のロヴィニまで行ってきました。

Cimg0123
この日は雨模様だったんですが、ロヴィニに着いてから1~2時間だけ、ちょっと日が出たんです。その隙に、旧市街の三ヶ所ぐらいで、撮ってきました。
Cimg0124_2←こういう場所とかで。普通に観光客が通りすぎつつ、チラチラ見ていきます。またポツポツ降ってきたので、人目なんか構っていられない。

だけど、背景が良くてもピタッと平面に置ける場所がなかったり、町全体が雨で濡れていたので、いろいろ苦労。
意外と、オタク的なものに出会えた旅だったので、今後の更新をお楽しみに。


まず、番外編として、飛行機の乗り換えの都合で立ち寄った、モスクワの話でも。(東京でビザ取るのが、面倒でした。)
Cimg0001モスクワのホテルで一泊するため、シェレメーチエヴォ国際空港で降りて、ホテルに向かいます。
(←青と銀をベースにした建物はSF風でカッコいいのに、いろいろ問題ある空港として知られる。ユーロは使えず。)

送迎バスが見当たらないので、タクシーの運転手に「ユーロ、OK?」と聞く。だが、「ユーロ? ユーロって何? そういう名前の都市に行きたいのか?」と、まるで通じない。
印刷物に刷られたEUROという文字を見せると、「ああ、ュイェロか。使えるよ」。まったく発音が違う。

ホテルのフロントのお姉ちゃんは、ブロンドのショートヘアに白いスーツで、本当に70年代SFというか、アンドロイドっぽい。翌朝、「チェックアウト」とルームキーを差し出したときも、パソコン画面を凝視したまま「んーふ」としか言わない。そういう人造美女が好きな人には、たまらんホテルなんだろうけど、併営のレストランではユーロ使用不可。

ホテルの周りには、SUBWAYがあるだけ。どうせユーロは使えないだろうから、通りすぎる。翌朝の朝食サービスまで、水で我慢。
Cimg0008その近くにあった花屋が、80年代スピルバーク製作総指揮というか、裏庭から冒険がはじまりそうな、いい雰囲気だった。

翌朝は、ホテル前からの送迎バスで空港へ(バスというか、ワゴン車だけど)。ターミナルF、E、Dに停車するんだけど、Fで停まると、一緒に乗っているオッチャンたちが口々に「F!」「F!」「F!」 後ろの乗客に伝えるためなんだけど、その掛け声がまた、SFっぽくてカッコよかった。

ちなみに、モスクワまで飛行機で7時間ぐらい。モスクワから、クロアチアの首都ザグレブまでは、さらに3時間近くかかります。
 

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2013年10月 1日 (火)

■1001■

Febri Vol.19 10日発売
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●『ガッチャマン クラウズ』 設定構築・工藤孝雄氏インタビュー
中村健治監督の右腕ともいうべき工藤さんに、企画が決定するまでの推移、どうしてああいう最終回になったのか?などをお聞きしました。

●『ガッチャマン クラウズ』全話解説
いざ、この作品を貫くテーマを語ろうとすると、大変難しいですね。いい場面カットを選んだつもりです。ベルク・カッツェについて、コラムも書きました。

『クラウズ』の記事は掲載予定なかったのですが、編集長に熱く語ったかいあって、オールカラーでの掲載となりました。

●クールジャパン社会学 第2回(構成)
レナト・リベラ・ルスカさんの連載第二回。例によって、インタビューして記事に構成しなおすという作業をしました。「英語圏と非英語圏での日本アニメの扱いの差」が、テーマです。

ちょっと早いのですが、旅行中に発売されてしまうので、告知しておきます。そういえば、「渋キャラオヤジ列伝」は今回、お休みです。


クールジャパンといえば、スーパーフェスティバルでチラシをいただいた「クールジャパンヤマナシ2013」は、11/3~4開催()。
マチ★アソビに触発されたんだろうけど、こういう地方イベントは、たまに開かれている。第一回の客入りが悪いと、今回で終わってしまいそうだから、行ってみようかな……。
ただ、経産省のクールジャパン戦略なんて失敗してるんだから、次回からは、開催コンセプトとイベント名を変えた方がいい(公式HP参照)。経産省なんて、マチ★アソビすら知らないでしょ?

僕は、東京に何もかも集めるのに反対だから、地方イベントには活性化してほしい。東京では話しづらいこと、人が集まらないかも知れないトークでも、地方でなら聞いてもらえる。
東京生まれの東京育ちであることに、コンプレックスもある。地方出身の友達の「こっちでは○○なんて放映してなかった」「□□が公開されなかった」「だから、遅れて入荷してくるアニメ雑誌で、初めて知った」とかの話が、とてもエキサイティングで。
子供って「無いなら、無いなりに工夫して遊ぶ」でしょ? 中学生ぐらいにハマっていたものって、一生持ちます。中年になって、「……俺って、何が好きなんだっけ?」と手持ちぶさたになったとき、必ず中学時代の趣味が味方してくれる。行き止まりから救ってくれるんです。
(ジジイがジジイだけの理屈で考えるから、「東京でオリンピックだ」とかいう貧しい話になる。)

かつて、才能ある若い人に「早く東京に出ておいで」という言い方があった。
だけど今、地方に住みながら仕事しているイラストレーターも、ちゃんといますよね。


「自分の反対側に、何があるのか?」ということを、きっと、考えなくてはいけないのです。
僕ら軟弱な文系たちの反対側には、ヤンキー文化がある。僕の部屋にケーブルTVの工事のお兄さんが来ると、アニメのことを「マンガ」って呼んだりする。

昔の『エヴァンゲリオン』は、未来の東京ではなく、「東京」という名前の地方都市(もちろん過疎化している)が舞台だったから、幅広い層に訴えられた。家出したシンジのさまよっていた場末、綾波が住んでいた団地……日本中で見つかる風景だと思う。
東京にいるなら、東京の反対側を思え。明朗快活なヒロインがいるなら、無口で無表情なヒロインを考えろ。

(結婚していた10年ぐらい前、横浜の戸塚なんて場所に、メイド居酒屋ができた。
コスプレって、プロレス文化に通じるところがあるだろうし、風俗や飲食業にコスプレが結びついた90年代に、それまでアニメに興味がなかった層が、どっと流入してきたんじゃないか?)

自分の得意なことって、いずれは廃れていく。どんな才能も、やがては磨耗していく。何が不得手か、何が出来ないか考えておくと、意外と突破口が見つかるかも知れないよ?


明後日3日から11日まで、旅行に出ています。原稿を書けるのも、明日いっぱい。
お金もユーロに替えたし、変圧器も買ったし、あとは何が必要かな……。
 

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