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2013年10月29日 (火)

■1029■

『劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語』、立川CINEMA TWOにて。
And_380318全編の六割ぐらい、劇団イヌカレーがつくってるんじゃない?と思わせるほど、異空間設計率が高い。僕などは、それだけで大満足なのであるが、「これでもか」と繰り出される気の狂ったイメージの奔流に溺れながら、決して虚淵玄さんの脚本に頼った作品ではなく、文学でも戯曲でもなく、まぎれもなく映像作品なのだ……と実感できて、嬉しかった。(TVシリーズは、やはり虚淵さんの脚本が半分、という印象。)

物語を裏づける理屈は、かなり難解であった。それでも、各キャラクターが、結果をどう受け止めたかは明確に描かれているので、「ハア?」ということはない。日本映画は何もかも情緒で片付けすぎるので、論理的に物語を進めてくれる姿勢を、僕は尊重したい。

「白になれないなら、黒になるしかない」のは、今風の考え方。「いかにして、自分を救うか」「白になれないのなら、いかにして真っ黒に染まるか」に徹してる。そのためには、多少の犠牲は我慢してもらう。愛するがゆえに、相手には真実を見せない。真実の重さは、自分がひとりで引き受ける。……ある意味、潔いですね。
昭和的な自己犠牲なラストが良かったのに……という人にとっては、完全な蛇足だろう。僕は、こっちの方がしっくりくるんだよな。


『黒子のバスケ』、TSUTAYAからレンタルDVDもコミックも撤去()。
「今回のコミケは、『黒子のバスケ』の件で、客足が鈍ったのでは」とアニメ会社の人から聞いたのは、昨年だった。警察とビッグサイトからの要請もあり、『黒子~』関連の同人誌は、一切販売せず。
それだけに終わらず、今年4月~5月、静岡や大阪、神戸でのイベントにも脅迫状が届く。最近の話だと、コンビニで販売予定だった「一番くじ」や食玩、これらが脅迫状によって取り扱い中止。

それどころか、一年前には原作者の母校や出版社に、実際に毒物が届けられている。
それなのに、どうして犯人は捕まらない? これはもう、十分にテロだと思うんだけど、警察は何してるの?
DVDやコミックを撤去しても、いま第二期が放映中。ジャンプでの連載もつづいている。『黒子~』が、消えてなくなるわけじゃない。コンビニやレンタル店は、別にアニメ・ファンの客だけで成り立っているわけじゃないから、この対応は仕方ないとは思う。

だけど、こんな簡単に、商品展開を潰せるものなのか? アニメやマンガって、こうまで弱いものなのか?と、呆然としてしまう。
ジブリ作品や『ドラえもん』なら、また対応も変わったんではないか。現在の気持ち悪い状況には、オタクならではの心情が関与している気がする……。


『スター・ウォーズ』ブームのとき、同じく『スター・ウォーズ』好きの後輩から、「早く、こんなブーム終わらないかな。そうしたら、あの人が『スター・ウォーズ』のグッズを買えなくなるのにな」と、聞こえよがしに言われたことがある。
『うる星やつら オンリー・ユー』公開前、抽選試写会に当たったのだが、同じように応募していた友人は落選してしまった。その友人は「お前だけ当選かよ。なんだよ、それ!」と、電話を叩き切った。
――似たような経験をした人は、多いんではないだろうか? オタク……というか、熱烈なファンは独占欲が強い。「俺さえ良ければ、他人はどうでもいい」という心理は、アニメだけでなく海外SFX映画ファンにも多いと聞いた。だけど、それは昭和生まれならではの貧乏根性だろうと思っていた。

現在もあまり、事情は変わっていないのだろうか。例えば、ある作品の絵コンテを使って雑誌記事を構成する。その絵コンテは、門外不出という約束で、お借りしているわけだ。
ところが、「そんなもん、僕でも持ってますよ」と、わざわざネットに画像をあげてくる人がいる。こちらには守秘義務がある。相手は、一体どのようなルートで入手したのだろうか? 最近は、どんなコンテや設定書にも「販売禁止」と書かれているはずだが。
ご丁寧にも、「僕も持ってますよ」と自慢するからには、何らかの優越意識を示したいのだろう。


『黒子のバスケ』の脅迫犯も、似たような人じゃないの? 「私以外のファンには『黒子~』に触れてほしくない」独占欲の強さから、同人誌を潰し、他人が手に入れうる商品を潰す。市場そのものを無くしてしまう。「残念だ」とくやしがる人がいればいるほど、嬉しいんだろうな。
この身勝手な心の動き、つくづく「オタクだなー」と、ちょっと懐かしい気持ちすらしてしまう。この嫌味ったらしい優越感や幼稚な排他意識を何とかしないと、オタク趣味は犯罪性を払拭できないと思う。「後ろめたい趣味」から、抜け出せないと思う。

ファンの人は、一体どんな嫌な思いをしているかなあ……と、複雑な気持ちになり、今夜は『黒子のバスケ』を録画予約した。愛の反対は無関心。「婦女子涙目w」と他人事にしているから、何も事態が改善しないんだよ。

(c)Magica Quartet / Aniplex・Madoca Movie Project Rebellion

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コメント

廣田様、お久しぶりです。

今日長女とまどマギ映画を見てきました。

サービスカット満載の前半からジェットコースターと化した怒濤の後半とあの超どんでん返しな結末。

あの結末は中々受け入れられませんでが、まどマギでは無くほむマギとしてとらえてようやく納得しました。

投稿: やっさん | 2013年11月 9日 (土) 20時22分

■やっさん様
ご無沙汰しております。
ちゃんと、お子さんと見に行かれたのですね、さすが。

>サービスカット満載の前半からジェットコースターと化した怒濤の後半とあの超どんでん返しな結末。

映画3本分ぐらいの情報量は、あったと思うんですよね。途中から、もう理屈で分かろうとしても無駄だ、とあきらめました。

でも、それは悪い意味ではなく、物語のスタイルとしては先端を行っている、と感じたんです。分かりやすいオチがつくよりは、全然よかったです。

投稿: 廣田恵介 | 2013年11月 9日 (土) 23時49分

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