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2013年10月16日 (水)

■1016 クロアチア旅行記・6(完)■

モスクワに一泊、ザグレブに二泊、リエカに一泊、ロヴィニに二泊して、またザグレブに戻ります。

ホテルで朝食を早めにすませ、フロントに行く。僕の顔を見るなり、昨日の白髪の女性が「Shall I call Taxi ?」  この機転のよさが素晴らしい。
Cimg0240
ホテル前、午前8時の太陽。タクシーで、ロヴィニのバス・ターミナルへ向かう。ここからザグレブまでは、プーラとパジンを経由、5時間ほどの長旅になる。
バスに乗っている間、少しずつ気持ちが滅入ってくる。ささいな失敗が、気にかかる……。自販機で買ったコーラを、スラックスにこぼしてしまう。


しょんぼりした気分で、ザグレブのバス・ターミナルに降り立つ。またしてもホテルの場所が遠いので、タクシーに乗る。15時、ホテルに到着。しかし、運転手に「ここが?」と聞き返してしまったほど、ホテルらしくない。カフェやレストランの入った雑居ビルの雰囲気。
そして、ホテルのフロントは、なんとパブの中にあった。憂鬱そうな顔をした、ハンサムな青年が「10」と書かれたルームキーを、僕に渡す。

部屋に入って、呆然とする。映画スターの写真が、壁に飾られている。
Cimg0248なんかこう、矢沢永吉グッズで埋め尽くされた部屋みたいな。「YAZAWA」みたいな。……これが、クロアチア最後の夜? 早めにビールでもくらって、寝てしまいたい。まだ15時だけど。

とりあえず、付近を歩いてみよう。ホテルの真ん前が、トラムの停留所になっている。
そこから先は、パブやステーキの店なんかが、ポツポツと並んでいる。タクシーが、何台か止まっている場所もあるけど、タクシー乗り場というわけではないらしい(乗ろうとした女性が、運転手に断られていた)。


スーパーでビールを買い、もう少し歩いてみる。カフェやパン屋が多くなってくるが、歩くほCahnvo4q_3どに、気が滅入ってくる。
この、うらぶれたムードの正体が分かった。数百メートル先が、トラムとバスの終着地点なのだ。そこで道は途切れ、川が流れている。橋の向こうまで歩いてみたが、これといって、何もない。この世の果てのようだ。終点なので、人だけは多い。
終戦後、20年も経ていない国であることを、いやでも思い出してしまう。

「KEBAB」と書かれた店で、14クーナのチキンバーガーを頼んだ(この地域でのケバブとは、巨大ハンバーガーのことを指す)。お姉さんはハンバーガーを温め、野菜をはさみこむと、「ソースかける?」と聞く。そのかすかな笑顔さえ、いまでは嬉しい。
しかし、ホテルへ持ち帰るつもりが、「ハイ」と食べやすい形で、手渡される。しかたなく、曇天の路上で食う。かぶりつくほど、ハンバーガーから中身があふれ、ソースの味は強烈だ。毒を食らわば……というヤツ。ここまで来れば、これ以上の最悪はないだろう。


薄暗いホテルに戻り、明日どうやって空港へ行くか、プランを練りはじめる。ホテル前から、トラムを使う手もある。クロアチアに着いた初日、Yさんから渡された路線図を広げる。
……待てよ、ここから反対方向へ行けば、ザグレブ中央駅まで、一本じゃないか! まだ早いんだし、試しに歩いてみるか!

すると、駅方面への道には街路樹が並び、センスのいい本屋まである! おお、文化の香Cimg0243り。大学もあるし、公園では骨董市もやっている。
遠回りになるんだろうけど、中央駅までトラムに乗って、タクシーで空港へ向かうのが、ベストな気がしてきた。この、いかにもザグレブな道を通って帰るのが、いちばん気持ちいいに決まっている。

懐かしい植物園の前を通り、ザグレブ中央駅に着く。「トラムヴァイ・カルテ」と、キオスクのお姉ちゃんに言う。トラムの一回乗車券、10クーナ。
駅前のトミスラフ広場を抜けていく。人々は噴水のまわりのベンチに、思い思いの格好でCimg0246 座っている。お婆ちゃんとお母さんに両手を引かれた子供が、歓声をあげながら、両足で地面を蹴る。

ほんの4日前だが……、初めて、朝のザグレブの静かな住宅街を歩いたとき、誰もいない芝生の公園で、母親と子供がブランコで遊んでいた。その寂しくも楽しげな光景が、頭をさらない。
僕は、街路を踏みしめる足の裏から、自由を感じた。風のような気持ち。あの気持ちに、また帰ってくることが出来た。


翌朝、僕はトラムに乗って中央駅で降り、そこからタクシーを拾った。「エアポート」と僕が言うと、運転手のオジサンは「エアポルト」とくり返した。
そして、空港に着くと、あの重たい荷物を入り口まで運んでくれて、「Good Bye.」と笑った。

まだ、帰りの飛行機のチェック・インが始まってない。
Cimg0251僕がサンドウィッチ屋の前でうろうろしていると、カウンターから店員が手招きする。僕はサンドウィッチとコカコーラを注文した。彼は「あ、コカコーラ・ゼロの栓を開けちゃった!」と、栓を力づくで元に戻す芝居をしながら、「ごめんね、ノーマル・コークのほうが良かったよね?」と、笑わせてくれた。

コカコーラ、22クーナ。サンドウィッチ、25クーナ。
ともあれ、それが、クロアチアで食べた最後の食事となった。

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コメント

はじめまして。おじゃまします。

■アニメを見ている人たちの尺度がアニメしかない
から飛んできました。

上のコカコーラ0@空港ロビーのシーンですが何カットぐらいになりますかね?^O^ 新海誠 監督のバージョンをみてみたい気もします。(贅沢)

ところで、一揆のシーンの映画は、邦画でしたか?モノクロ?それともカラー?

ちょっと気がついたらご報告しまっす!
(`・ω・´)ゞ

投稿: けんけんRX | 2013年10月23日 (水) 12時40分

■けんけんRX様
はじめまして。

>一揆のシーンの映画

カラーだと思いました。村崎百朗という人の本にタイトルが出ていたんですけど、間違って捨ててしまったのです。
ごめんなさい。

投稿: 廣田恵介 | 2013年10月23日 (水) 14時19分

とえあえずはずれを覚悟して。\o\

http://www5b.biglobe.ne.jp/hyogocc/3sakuhin/gujoikki/gujo.html

映画『郡上一揆』製作委員会 (2000年)  芸術文化振興基金助成事業

投稿: けんけんRX | 2013年10月23日 (水) 22時26分

■けんけんRX様
>映画『郡上一揆』製作委員会 (2000年)

もっと古い映画です。60~70年代頃の、低予算映画です。  

投稿: 廣田恵介 | 2013年10月24日 (木) 11時21分

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