« ■0824■ | トップページ | ■0827■ »

2013年8月24日 (土)

■0824-2■

アニメ系の編集者に会うたび、「『ガッチャマン クラウズ』、すごいですよ!」と語っていたら、シナリオが送られてきて「次号、『クラウズ』について書いてみて?」という話になってしまったわけですが、第7話です。
Photo7_1白眉は、丈が「フレイム・フェザー!」と武器の名前を叫ぶたび、「ふれぇ~むふぇざ~」と茶化すベルク・カッツェですね。もう、ムチャクチャ気持ち悪いし、ムカつく。
というか、このシーンだけは、いちおう「ヒーロー物」のフォーマットに則ってつくられている、大事な対決シーンだと思うんだよな。それなのに、決めゼリフをいちいち茶化す、一種の「楽屋落ち」を挿入することの、居心地の悪さね。自分たちで「これ」と決めたフォーマットを、自ら陵辱しているわけですよ。(だから、肉体派ヒーロー物の元祖である『ガッチャマン』の名を冠する必然性が生じてくるんだよね。)
あまり好きな言葉ではないけど、この演出として折り込まれた「批評性」を楽しめないと、『クラウズ』は不愉快な番組だろうな。

ついに、カッツェは丈に言う。「ねえ…ねえ、まだそんなことやってんの? 地球救わなきゃーとか、俺がやらなきゃーとか、マジで出来ると思ってるの? …ねえ、バカなの?」
カッツェの挑発が、実は正論であることは、これまでのエピソードが裏づけている。そうでなくとも、単独、あるいは少数の超常者が危機を救うヒーロー物(『幻魔大戦』とかさ!)が、いかにリアリティを欠いてしまっているかは、311を肌身に感じた僕らなら、分かっているはず。旧『ガッチャマン』直撃世代は、「それとこれとは別だろう!」と言いたいだろうな。


現実とフィクションは、相乗り状態で共存しているわけで、「現実とフィクションの区別をつけましょう」という詭弁は、むしろ、フィクションを直視できない軟弱者の言い逃れだと思う。
「選ばれたヒーローが、地球を救う」というオジサン好みのフィクションを、「だけど、現実はもっと無慈悲だったじゃん! アンタ、その目で見ただろう!」と切りかえしているのが、『クラウズ』なんだ。

だから、カッツェの言う「まだそんなことやってるの?」って、予定調和のヒーロー物の様式美を楽しみたかった視聴者に突きつけられた言葉なんだよね。
『クラウズ』の底知れぬところは、カッツェの価値観さえ肯定しかねない、冷徹なまでのバランス感覚なんだ。少なくとも、丈に向けられた「ヒーローなんて、実効力ないじゃん」という嘲笑には、首肯せざるを得なかった。
だから、カッツェを倒して、彼の価値観を否定すれば終わるような、甘い話ではない。宮崎駿のアニメは、常にニヒリズムを回避することで救われてきた。だけど、『クラウズ』の登場人物たちは、いつでもニヒリズムに陥りかねない危うさを持っている。それは、『クラウズ』が、311以降の状況と相乗りしているからだよ。
どんな作品のテーマでも、いつでも、ずっと以前から、僕らの胸にあるということ。つまんないヤツは、どんな作品を見ても、「つまんない」って言うもんなんだよ。

俺は『クラウズ』のキャラクターたちが好きで、瞳をウルウルさせながら見ている。
第7話は、作画がいつもの緩さと違っていて、なかなか良かったな。作画って、つまりレイアウトが広角ぎみで、ビシッと決まっていた。CGも、大盤振る舞いだったしね。
変身を決意したO・Dの表情も、すごく良かったよね。というか、あれだけウザかったO・Dが、こんなにも頼もしく見えてきたんだから、シナリオや演出、声優の演技でキャラ立ちさせる手腕も、相当なものだと思うよ。
(……というわけで、このエントリは号外でした。)

(C)タツノコプロ/ガッチャマンクラウズ製作委員会

|

« ■0824■ | トップページ | ■0827■ »

コメント

はじめまして。ガッチャマンクラウズと幻魔大戦がちょっと似ているなと思って、検索してここに辿り着きました。
※以下、これまでのブログを読んではいないので、もし意図を読み違えていたらすみません。無視して下さい。

幻魔大戦の原作の内容は御存知ですか?
幻魔大戦って、アニメ版と原作の小説で全然違うんです。
もしかすると、クラウズは幻魔大戦の中盤以降を意識した作品かもしれないなと思ってます。
よかったら原作読んでみてください。

投稿: トト | 2013年9月 3日 (火) 15時25分

■トト様
はじめまして、コメントありがとうございます。

>幻魔大戦の原作の内容は御存知ですか?

すみません、劇場アニメしか見てないんです。

>もしかすると、クラウズは幻魔大戦の中盤以降を意識した作品かもしれないなと思ってます。

おお、そうなんですか、それはまた意外な……。
たまたま明日、『クラウズ』の関係者の方にお会いするので、さり気なく聞いてみます。

『幻魔大戦』原作も、ちょっと見てみます!

投稿: 廣田恵介 | 2013年9月 3日 (火) 15時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ■0824-2■:

« ■0824■ | トップページ | ■0827■ »