■0824■
モデルグラフィックス 10月号 明日発売
●組まず語り症候群 第10夜
今回のサブタイトルは、『たいへんジョーズにできました』。
タイトルこそストレートな駄洒落ですが(副編集長作)、内容は、例によって屈折しまくっていますので、よく噛んで味わってください。
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アルゼンチン映画『オリンダのリストランテ』。夜中2時から見はじめたけど、眠らずに最後まで。だけど、「眠れないほど面白かった」のとは、ちょっと違う。
言葉が通じない異国へ旅する映画は、たいてい面白いです。
『旅の指さし会話帳 クロアチア』、こんな本、あったのか! 即座に注文した。僕は挨拶以外、英語で押しとおすつもりなんだけど、いちおう持っていきますか。
3月のツアーのとき、一大観光都市・ドゥブロヴニクで、日本語で話しかけてくる人がいた。
午前10時半に、早くも腹が減っていたので、僕は「MOBY DICK」という小さなレストランに入った。(後から知ったのだが、有名なお店らしい。)
ビールを頼んでから、「アイム・ベリー・ハングリー」と言ったら、白いヒゲのおじさんが、メニューを持ってきた。「ムール貝? オイスター……牡蠣?」と、彼は日本語を使いはじめた。その仕草が、まるで昔話でも語るかのように、楽しげだったのを覚えている。
結局、僕はラム肉を頼んだ。おじさんは、もじもじしながら「もう一皿、何か頼まないか?」と言いたい様子だ。「Do you like French fries?」と聞かれて、やっと意味が分かった。「オーケー、アイ・ライク」とか返事したと思う。
ところが、出されたラム肉が、ものすごく美味しかった。パンにもビールにも合うので、黙々と口に運んでいたら、オジサンが「おいしい~?」と、踊るような身ぶりで話しかけてきた。
日本語で、「おいしい!」と答えてあげれば良かった。「ベリー・グッド」とか、つまんないことを言ってしまった。
その夜、「日本語メニュー、あります」と話しかけてきたレストランに入った。
その店では、料理を出すたびに「めしあがれ」と言うので、やや白けた。若い男は、どこか冷たいんだよな。
基本的に、クロアチアは、白髪のオジサンたちは働き者で明るく、かわいらしい印象。彼らだって戦争体験者だろうに、あの陽気さはなんだろうな?
それにしても、ほろ酔いで夜のドゥブロヴニクを後にしようとしたとき、「お楽しみはこれからだ!」とばかりに、大勢の観光客がライトアップされた城壁内になだれ込んできた、あの光景は忘れられない。
美女ばかりの聖歌隊が、正装して夜のバーに駆け込んでいく。彼女たちは、薄暗い店内に整列し、賛美歌をコーラスしはじめる。みんな、呆気にとられたように、彼女たちの澄んだ歌声に足をとめていた。
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福島第一原子力発電所の事故そのものがレベル7なのに、同施設の汚染水漏えいはレベル3(重大な異常事象)。海外メディアは「一昨年のメルトダウン以来の危機」と騒いでいるのに、東京でオリンピックだって?
「三無主義」「シラケ世代」と呼ばれていたころ、気がつくべきだった。誰も、本気じゃないんですよ。東京電力の「どうせ無駄だろうけど、一応やっときますか」という、のらりくらりと責任をかわす態度を見ていると、東電体質というより、国民性だと思えてくる。
こんな事態になっても、オリンピックで盛り上がれる日本人の無責任さが、何より僕は怖ろしい。
原爆も怖いけど、原爆を二発もくらったくせに「まだまだ戦えます、勝てます」と胸を張っていた軍部が、いちばん怖いじゃないですか。
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