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2013年8月 5日 (月)

■0805■

「アニメスタイル004」を、株式会社スタイルからいただいた。
今号で通算10冊目。次号から、さらにリニューアルするというから、もはやライフワークだ。
Caxrbfeu『惡の華』のページも良かったが、『ヤマノススメ』の第5話のレイアウト。僕のいちばん好きなカットが、大きく載っていた。この前後のカットも掲載されていたので、あの「絵」の切れ味を分かる人が他にもいたのか、と嬉しくなる。

実写映画のキモは、「いかに語るか」という描写に尽き、描写の中に風景も俳優の顔も含まれると思うのだが、アニメは、どんなに映画を模そうとも「絵」だ。
「絵」としての切れ味がよければ、好みなど関係ない。ろくに「絵」を見ていない人に限って、好みを口にしたがる。


明治大学の講義、今年は、お断りすることにした。
理由は、いまの19~20歳の大学生に、伝えるべきことがないからだ。それなのに高額のギャラを受けとるのは、後ろめたい。彼らに「君たちは祝福されている」などとウソは言えない。「祝福どころか、呪われた時代に漕ぎ出すのだ」と本音を語ったところで、それはあまりに無責任だ。
僕も役立たずなら、危機感を若さの中に埋没させて楽観・諦観している君たちも、大概だ。ところが、僕のような逃げ腰の大人を殴ってもらったところで、誰のためにもならない。

そんな煮え切らない態度で教壇に立つ理由は、もはや「ギャラをもらえる」ぐらいしか残らなくなる。それだけは、嫌だった。

ごく少数だが、僕と仕事をしたがってくれる若い編集者がいる。彼らとなら、責任感を分けあえる。彼らになら、応える術も、覚悟もある。


大学卒業後、一年間は近所のコンビニとレンタル・ビデオ店までしか、足を伸ばすことが出来なかった。引きこもりに毛の生えたような、陰気な23歳だった。
家で、たいした金額にならない模型づくりのアルバイトを機械的にこなし、一日に2~6本の映画を見て、執拗にメモをとった。メモをとっていたからには、何がしか野心は灯っていたのだろう。
ところが、日々陰鬱で、あの気だるい気分のまま、なぜ一人暮らしの決心がついたのか、自分でも説明がつかない。親に養われているのが、情けなく感じられたからだろうか。家賃7万の部屋に引っ越し、それでも開放感にはほど遠く、陰鬱の日々は継続していた。

下北沢の熱帯夜、クーラーのないバーの窓際の席で、友人と酒をあおった。
八王子に転居し、工場のアルバイトを転々とする24歳になると、苛立ちや欲望が、くっきりと輪郭を持ちはじめた。すると、自分から離れていく者、近づいてくる者も歴然と分かれてくる。

僕は、痩せこけた野良犬のような若者だった。いつでも腹が空いていて、からっぽの胃が、僕の人生を駆動させていた。
そんな貧しい経験があるので、僕は飢えた若者にしか、話す言葉を持たない。自分の無力さに歯ぎしりしているような相手になら、かける言葉も見つかるだろう。

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