■0724■
月刊モデルグラフィックス 9月号 明日発売
●廣田恵介の組まず語り症候群 第九夜
今回のサブタイトルは、「思春期のパラダイス・ロスト」。
ネタは編集部から振られたのですが、先日のイベント(■)と、けっこうシンクロする内容となりました。
イマイの1/12リン・ミンメイをお題にしていますが、あのキットを、けっこうセクシーに改造した人がいて。やっぱり、世の中に「救いようのないキット」なんてないんじゃないか?と、改めて思うのでした。
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『パシフィック・リム』、マスコミ試写。ちゃんと3Dで上映された。
例によって、レビュー記事には書かない、個人的感想をメモしておく。ギレルモ・デル・トロ監督は、アクション物より、『パンズ・ラビリンス』の印象が強い。あの映画も現実と内面のふたつの世界が描かれたが、『パシフィック・リム』も、そういう構造になっている。
そのため、うっすらとセンチメンタルな雰囲気が生じ、「とにかく敵を倒せ!」的なハリウッド大作にくらべ、ややテイストが柔らかい――。
社会性より、個人の過去に軸足を置いた映画で、思ったよりも好戦的ではない。ロボットは、怪獣に対して容赦しないんだけど、それでも、どこか「仕方なしに戦っているんだ」というムードが漂う。
(バトル・シーンそのものは、『ロボ・ジョックス』の超豪華版という感じで、70年代のロボット・アニメ風。)
基地のシーンと夜景が多いので、ラストの青空に開放感があって、すごく綺麗だった。薄曇りではあるんだけど、ちゃんと青空を大きくフレームに入れているのが、良かった。映画の思想って、そういうところに出てしまうので。
だけど、画面の多くを占める密閉感、閉塞感は、やっぱり『パンズ・ラビリンス』の監督なのだなあ……と、実は少し、嬉しかった。
(あと、どこにどういう扱いで出るかは言わないけど、「原子力」と「被曝」。そのまま上映するのが正しい姿だが、ギクリとした日本人は少ないだろうな……。)
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ホラー映画のレビューブログ『ホラーSHOX [呪]』のtinkerさんが、「映倫とMPAAを比較する内容の英文記事を準備中」とのこと(■)。
『ぼくのエリ 200歳の少女』に加えられた無残な処理に関する僕の記事も、参考にしていただいているようだ。
小学校の頃、たまに体育館で、子供向けのチャチな映画を、上映してたんですよ。みんな、周りに合わせて大爆笑していたけど、俺は真面目に見ていなかった。隣の子が、「どうしたの? 面白くないの?」と不思議そうに聞いてきたのを、覚えている。
小学二年生だったけど、教師が見せる映画なんて面白いわけないじゃん、と分かっていた。洗脳されないためには、大人が「見るな!」と言っているものを見るしかないと、なぜか、それだけは直感していた。
だから、映倫のような機関が「見るな!」と言っているなら、彼らの化けの皮をはいでやらないといけない。
僕らを正気に保ってくれるのは、野に放たれた映画、漫画、アニメ――エロもグロも雑多になった「その他いろいろ」だけなんですよ。規制なんてさせてたまるかって話。
tinkerさんの試みを、支持します。
(C)2012 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.AND LEGENDARY PICTURES FUNDING,LCC
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コメント
ありがとうございます!
投稿: tinker | 2013年7月27日 (土) 07時40分
あ、パシフィックリムはすごく楽しみにしています。なんだか知らないがすごそうだ!と話題一色で、宣伝もうまいですよね。
> 「とにかく敵を倒せ!」的なハリウッド大作にくらべ、ややテイストが柔らかい――。
というご感想にじつに興味を惹かれます。
投稿: tinker | 2013年7月27日 (土) 07時45分
■tinker様
表現の自由の敵は、すべてに対する敵ですから、応援しています。
>なんだか知らないがすごそうだ!と話題一色で、宣伝もうまいですよね。
モチーフが「ロボットvs怪獣」ですから、とにかく、迷いのない宣伝ですよね。
異形のものに対する愛情が染み出した、不思議な優しさの映画です。
投稿: 廣田恵介 | 2013年7月27日 (土) 09時41分