■0706■
『魔女の宅急便』公開当時の、宮崎駿監督のインタビューを読んでいたら、「この歳になったら、人前で恥をかいた過去を、ほほえましく見られるようになった」という意味のことが書いてあって、何だか嬉しくなってしまった。
宮さんは、このとき、47~48歳。今の僕より、少し年上だ。この作品の寛容さは、カッコつけるのをやめたオジサンの余裕から生じている。
キキの仕草については「ジブリの女性アニメーターを観察した」と言っているけど、これは照れ隠しじゃないかな……。
やっぱり、ご本人の生理とか、「女の子には、こうあって欲しい」という控えめな理想が、投影されているように見える。
しかし、この頃に比べると、『風立ちぬ』はシャレにならない領域に突入してしまった。
「もう一回、見たい?」と聞かれたら、かなり覚悟しないと無理だろう。見るのに、胆力が必要な映画が『風立ちぬ』。
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自民党の片山さつき議員が、初音ミクと性犯罪との関連を言い出した。(■)
「あしたのジョーの力石のお葬式」を例にあげているが、そんなの、1970年のことだからね。昔話ですよ。いまの若い人たちが、ピンとくるわけがない。
「初音ミク並のリアルな動きの女児」……これは、コンサートか何かの映像を見て、アニメだと勘違いしたんだろうな。音声ソフトであることを知らないのは、確かだろう。
ま、その程度です。対象を知ろうともしない不勉強な人間が、われわれを規制しようとしている。
片山は、「彼女は(18歳以上かどうかは別として)『女児』の設定ではなく『女性アイドル』の設定に私には見えますので児童ポルノの年齢的対象に入らないと思います」などと言っているが、つまり「18歳に満たない者」かどうかは、規制する側が「見た目」で決めるわけだ。
ここが、怖い。
児ポ法の「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させ又は刺激するもの」って定義が、すでに、どうとでも解釈可能でしょ。靴下を脱いでいたら、もう児童ポルノなのか? 靴下を履いていても、それを見て興奮したら、もうアウトなのか?
アウトかどうかは、規制する側が、勝手に決めることができる。いま現在、すでにそうなっている。
以前に児ポ法改正の動きがあった2008年ごろに比べて、事態は悪化していると思う。
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なぜならば、福島市での安倍総理の街頭演説のとき、「総理、質問です。原発廃炉に賛成?反対?」と書いたプラカードを掲げた女性が、住所や名前を聞かれたでしょ。(■)
「よく、逮捕されなかったな!」と思ったよ。去年の都知事選のとき、法定ビラを配っているだけで、逮捕されたおじいさんがいたぐらいだから。
そうした権力側の横暴を支持してしまう人たちが、この数年で激増した。アニメのアイコンで、「脱原発デモやってる連中は、銃殺しちゃえ」とコメントするような連中ね。
「自分の意見を言う」「自分の意志で行動する」こと自体が、気に入らない。だから、ネットという隠れやすい場所から、罵詈雑言を浴びせる。
そういう人たちが、児ポ法改正に危機感を募らせているとしても、現政府に対して意見したり行動したりするとは、とうてい考えられない。だって、政策に反対したら「左翼」なんでしょ?
「事態が悪化している」というのは、権力に付和雷同する者が増えすぎた、という意味です。(08年には法改正反対の署名活動があったけど、今はどうだろうか……。)
そんな趨勢も作用して、児ポ法は改正されると、僕は思っている。
「自業自得」という言葉が、脳裏に浮かばないでもない。先日、パンチラ・フィギュアのイベント(■)をやったのは、まだ出来るうちに、わずかでもカウンターを打っておきたい気持ちもあった。
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前の僕なら、「若者は選挙に行け」とか「被曝に気をつけて」ぐらいは、言ったと思う。
だけど、手遅れになったことを言っても、仕方がない。若いうちは、好きなように生きたほうがいい。
自由というのは、「世界中から見放される」可能性を覚悟したとき、やっと本物になる。
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