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2013年5月30日 (木)

■0530■

ちょっと前まで、5ラインぐらいの仕事を並走させていたけど、どうやら一本に絞れた。
去年は、「3ラインをどう走らせるか?」を考えていたので、仕事うけすぎです。

まず、大前提として、「いい本をつくりたい」と、誰しも考えるのであろう。「前より、いい本をつくろう」「今までより、上手につくってみせよう」と。(「前と同じでいいや」とか「楽して終わらせよう」ではなく!)
もちろん、「売って売って、必ず儲けを出すぞ」でも構わない。そこに理想があるなら。
「向上心のある読者を、しっかり啓発したい」「疲れている読者にとって、いい暇つぶしを提供したい」という良心があるなら、僕は大賛成するわけです。

……それをね。「会社が、上司が、こう言ってるから」とかさ。「スケジュールがこうなってますんで」とかさ。人のせいにすんなっての。アンタが、どうしたいか……だろ?
急いでるんであればさ、俺は「明日、ゆっくりやるか」と思っていた分を、前倒しにしてでも終わらせるよ。それが出来るのは、俺に主体性があるからでしょ。自分でコントロールしてるからでしょ。

あのね。こんな乞食寸前の、来月にはホームレスかも知れない、酔っ払いのキャバ狂いのライターでさえ、自分の責任だと思って、工夫して回しているわけ!
主体性のある人は、言葉にしなくても、仕事の進め方がいいから、分かるんだよね。どんなに手荒だろうと、「おめー、話が違うだろ!」ってことがあろうと、出来上がった本は、美しいんですよ。理想を、具現化してくれてるんですよ。

俺はね、そういう人たちを、心で抱きしめてますからね。


俺は前の日記で、母のことを書いた。
母のことで、いちばん嬉しいのは、いつもは何も言わない人が、だまって花束を持ってきてくれること。どんな言葉より、無言の花束が嬉しいんですよ。

何故なら、俺には、母を救えなかったという罪悪感があるからです。
Carf2u16(←三鷹駅前、2011年末)

先日、人妻のことを書いたでしょ。彼女は、会ったこともない俺の母に「夢で会った」「恵介さんと笑ってた」とか言うわけですよ。
嬉しいわけないでしょ、俺が助けられなかった母親の夢を、赤の他人が見たところで。

人妻さんよ。アンタが、なにをどう弁明しようと、もう絵空事にしか聞こえない。
俺の本当の痛みは、母を失ったことよりも。母を助けられたかも知れないのに、楽観して何もしなかったことにあるのだ。
――旦那との、ぬくぬくした暮らしを手放せないアンタに、分かるかね。離婚して、母を殺され、さぞかし、俺は物珍しい生き物に見えたんだろうな? フリーランスで、物書きで、さぞかし面白く生きてるように見えたんだろうな?

俺が、本当に、身も心もガタガタのとき、「抱いて欲しい」と言ったら、アンタは逃げた。
それが、アンタの正体さ。ぬくぬくした暮らしをしているヤツほど、根は残酷なんだ。

「私は、普通の人間です」ってヤツらが、いちばん、人の理不尽な死に、加担してるんですよ。
優しさの何たるかをね、頭のハゲたオッサンの私ですら、この歳で学ぼうと思うんだよ。何でそう思うか? ヤツらのように「私は優しい人です」なんて、自惚れちゃいないからだよ。


『惡の華』を見ればな、あそこに世の中を憎み、哂い、それでもそこで生きるしかない混沌、矛盾、絶望、それらの言葉の欺瞞、欺瞞という言葉に対する嫌悪、嫌悪すら乗り越えようとする慈しみ、すべてが透いて見えるだろう?

だけど、笑いながら生きなきゃならないんだって、大人なら分かるだろう。大人になっても、何も減らないし、何も増えないにもかかわらず。

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2013年5月27日 (月)

■0527■

土曜日、ドカン隊長と共に、模型塾へ下見に行く。WEB配信があるので、そのテストのため。
Cayalrb5彼はあいかわらず、黙々と必要なことだけをこなしていく。出来もしないことを「出来たらいいのに」なんてことは、決して口にしない男だ。
彼は、僕の欠点を膨大に知っていると思う。知っているからこそ、いまだに付き合ってくれるのだと思う。

その帰り、近くの九州居酒屋で、彼と飲んだ。早めに切り上げたはずだが、僕は千鳥足のまま、吉祥寺のガールズバーへ行こうと途中下車してしまう。
そして、北口の駐車場で、頭から転んだ。八年ほど前、3万円で作ったメガネが、壮絶にひん曲がってしまった。指から頭から背中から、あちこち傷だらけでバーに行く。女の子が、「せっかく、きれいな指なのに」と、絆創膏を巻いてくれた。
そのガールズバーの経営者だったAさんと道ばたで再会し、Aさんのキャバクラへも行き、「今までどうしてたんですか?」などと話し込む。

メガネは修理不能で、レンズを生かし、2万円もかけて新調することになった。
まるで、誰かにぶん殴られたような気分だ。愛する能力がない者は、心から愛されることはない。いや、別れた妻も、先日の人妻も、十分に僕を愛してくれていたのだと、今なら分かる。それに応える能力が、分別が、僕には欠けていた。

ドラッグから脱せないように、夜の街へ通いつづけるのは、いつまでも癒されない証拠だ。


ひさびさに、母の夢を見た。
母は、隣の部屋で、布団をかぶって寝ていた。「いつ帰ってきたの?」と、僕は聞く。

二人で、近所の広い公園に行くと、不思議な色の蝶々が舞ってきて、死んだはずの犬が遊びに来る。母は喜んで、犬を抱きしめる。僕は、何枚も何枚も、母と犬の写真を撮った。
西の空が、絵画的な陰影を形づくりながら、暮れていく。今度は、会ったことのない女の子たちが、小さな港の桟橋に集まっていた。彼女たちを喜ばせるため、僕は仕掛けてあった花火に着火する。現実の僕には、そんなサービス精神はない。


クロアチア旅行の計画。6~9月は、やはり、航空券もホテル代も高い。
すると、どんなに早くても、10月ということになってしまう。そして、最安値の航空券を選ぼうとすると、6泊ぐらいすることになる。どうやら、空港で一晩を明かすことになりそうだ。

10月には、クロアチアはEUの一部になっている。それを歓迎しない国も、あるようだ。
Cimg0947(←シベニク、3月25日。観光地としてはイマイチな対応だったが、それゆえに気になる街だった。)
クロアチアから他国へ、不法就労に出かける女たちもいる。シリア内戦で使われる武器は、クロアチア国内で入手しているとも言われる。

それらを含め、僕は、かの国に片想いしている。シベニクでは、バス・ターミナルのお姉ちゃんに冷たくさたれが、それすらも満ち足りた経験だった。

あの国にいる間の僕は、無神経なぐらい大声で笑ったし、恥すらも心地よかった。あの状態を、きっと幸せと呼ぶのだろうな。

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2013年5月24日 (金)

■0524■

月刊モデルグラフィックス 7月号 明日発売
Mg
●組まず語り症候群 第七夜
今回のサブタイトルは「君はプラモデルの前にいるのだ」。これで『ラピュタ』ネタだと気づいた人は、なかなかの宮崎アニメ通……というか、サブタイトルは編集部で考えてもらってるんで。
だけど、このページにキットを掲載してしまうと、「記録完了」という気持ちになってしまうので、おそらく次のスーパーフェスティバルで、販売すると思います。

●最後の晩餐
今回は、私が登場しています。副編とスタジオで「そんなキットがあったら最高なのにねえ」と笑っていたら、それについて書くことになってしまいました。
冗談の通じない読者は、怒り出すかも……。

他には、ヘッドラインでアオシマ製「ギガント」について書いています。


そろそろトーク・イベントの告知をします。
タイトルは『人類は、いかにしてプラモデルの金型にパンツを彫りこんできたのか。』 (略して『人パン』)
今までブログ、同人誌で展開してきたネタですが、このイベントで極限まで語りつくします。

日時:6月30日(日) 15時~17時 ※延長あり
場所:模型塾(
出演:廣田恵介、べっちん氏、そして特別ゲストに前田久氏!
備考:入場無料、USTREAM配信あり(配信担当は、あのドカン隊長!)

「マチ★アソビで似たようなイベントやったじゃん?」という方も、大丈夫です。そもそも、先日のイベントは「普通の通行人もいるから、アレは出さないでおこう」と相談した“自粛バージョン”だったのだから(笑)。
今回はキットの数もCa4cowpp増えたし、前田さんからのツッコミで、視点が多元的になると思います。プロモデラーも、コラボってます。
また、プラモデルだけでなく、「80年代初頭の美少女文化とは何だったのか?」というところまで、話を広げる予定です。

模型塾の定員は多くはないようですが、無料イベントです。先着順なので、お早めに。
また時期が近くなったら、このブログで、ご案内します。


今日はこれから、今月最後のインタビューです。
なぜ、今月は、こんなにもハードなのか。勢い余って、来週発のクロアチアへの航空券を買ってしまうところだった。どうやら、8月半ばぐらいまで、日本から動けなくなりそう。
……ライター生活、きっかり15年だね。31歳のときに、始めたから。

善いも悪いも、ないんです。「今日は、たまたま調子が悪い」「明日は、上手くやる」、すべて言い訳です。
一生懸命やることもないし、無理することもない。昨日までの蓄積はウソをつかないから、普通にやればいいんです。上手くやろう、綺麗に見せようとするから、苦しいだけ。
普通にやって出来たもの、それが、あなたの実力です。

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2013年5月20日 (月)

■0520■

実は、『惡の華』第7話は、たまたま放映日に、長濱博史監督にインタビューしてしまって。
すると、自我の弱いライターは「あんないいスタッフがつくっているアニメを、批判的に見てはいけない!」なんて、バイアス丸出しの発言をするようになってしまう。
僕も、「やっぱり、ちょっとヒイキ目で見てしまうよなあ……」と警戒しながら視聴し、「確かにスゴイんだけど、第7話は一回見れば十分かな」と苦しい合理化を行い、そのまま封印するつもりだったのです。

だけどまあ、とんだ皮かむり野郎でしたね、俺は。
『惡の華』第7話のクライマックスの狂乱を見て、『台風クラブ』を思い出してしまうのは歳かな?と思ったんだけど、ATGみたいにさ、「映画をもって革命を起こそう」なんて考える監督が、今の日本にいるんですかね? 当時は、寺山修司の『書を捨てよ、町へ出よう』なんて、男性器ドUPの予告まで流れていたし、それを見た皮かむり野郎たちが「けしからん!」と怒り出す中、寺山に心酔していた未成年の俺は、震えながら映画館に通っていました。
今さ、映画をもって現状を突破しようと挑む監督って、園子温が、たまに試みているかな?って程度で、あとは広告代理店の言いなりでしょ?

映像作品を解放せよ! 見る自由、見られる自由を手放すな! そう思ったから、俺は署名を集めたり、映倫に質問状を送ったりしたはずです。
前にも書いたけど、仲村さんのいう「変態」は変態性欲のことじゃありません。いわば、「内面のない状態」のことだろうね。春日くんに内面がなかったら、初めから「佐伯さん、キミの体操着を盗んじゃった。ゴメンね!」と、教室のみんなの前で、舌を出していたろう。……それ、確かに変態だけどね。ウソはついてないよね、自分にも周囲にも。善いも悪いも、内面がないって、そういうこと。

……で! その精神状態を、仲村さんは行動に表して欲しかったんだね。彼女は、みんなが皮かむってるのが許せない、不健全だと思っている。誰もが解放される、誰もが内面をなくした「変態」になれば、この閉塞感を吹き飛ばせると信じている、やってみなくては分からない! 
仲村さんの提案を拒否する理由があるとしたら、それは「臆病」以外にないと思うよ。


『惡の華』は、内面の話だと、ずーっと思ってた。だけど、社会の話ですよ。どの大人も、皮をかむってるから、ややこしくなるんでしょ。だけど、本音を言うと、「引くわー」ってなるでしょ。
行政の決めたことに、へこへこ従ってるほうが楽でしょ。考えなくてすむし、勇気もいらない。仕事だって、そうだよ。「大人の対応」とやらで対立を避け、臆病さを糊塗し自己正当化し、口座に金が入れば、みんな黙ってしまう。

僕は、黙りたくなかった。だから、マチ★アソビをはじめ、肉声で伝えようと思った。
「文:廣田恵介」となっていても、しょせんは権利者のチェックした文章しか印刷されない。チェックどころか、プロデューサーや広報担当者が、平然と僕の文章を書き直してますからね。著作権を侵害しているのは、一体どちらなのか。……こういうことを言ってしまうから、僕はプロデューサーから、名指しで嫌われている(笑)。

トークでは何度か言ってきたけど、「こんなことを口にしてはヤバイのではないか?」と、みんな最初から怖れすぎるの。ただの臆病を「大人の対応」って誤魔化してるから、本当の歓喜に触れられない。本当の歓喜ってさ、ガミラスとイスカンダルみたいに、恐怖や罪悪感と隣り合わせてるんだよ。

勇気は、天から降ってこない。クソムシたる我々の中で、いつでも寝息をたてているのだ。

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2013年5月18日 (土)

■0518■

結局、自分で自分の時間をコントロールできないから「忙しい」ことになる。何十本仕事があろうと、自分の時間割で進められるなら、「忙しい」という、最悪の言葉は出ない。
なぜ自分の時間なのに、自分でコントロールできないのか? スケジュールが曖昧だったり、急だったり、たいてい、パートナーがシャンとしてくれないからである。曖昧だったり急だったり……を、防いでくれるパートナーでなければならぬ。
だって、俺はスケジュールを「なるべく早く」と曖昧にしたり、「やっぱり明日中」だとか、急にしたりはしないもん。スケジュールは明確にしておいて、余裕をもっておいて、その期間内に片付けられるかぎりにおいて、引き受けるもん。

「忙しさ」の本質とは、ようは「だらしなさ」と「主体性の欠落」なのだ。
へらへらと遊び歩いているように見えて、約束どおりに仕事を終わらせる。それが本物だと、覚えておいていただきたい。
(逆を言えば、「○日までに仕上げます」と自分で言っといて、「やっぱり出来ません」と言い訳するようになったら、俺もいよいよ終わりだろうね。)


秋のクロアチア再訪計画。
港町のロヴィニに行くには、クロアチア最大の貿易港と呼ばれるリエカを経由しても良い。ザクレブからロヴィニへの直通バスもあるらしいけど、リエカで一泊してもいいな。
とにかく、ゆっくりしたい。ロヴィニは西端にあるから、小さな古都であるロヴィニで、しみじみと寂しい気持ちで旅の最後を味わい、帰りはザグレブへの直通バスで帰るってのはどうだろう? それから、ザグレブでもう一泊して、翌朝早く、飛行機に乗る。計四泊か。

その次は来年春か初夏、プリトヴィッツェ湖群国立公園だけを目当てに行くとか。
「いやいや、やっぱりクロアチアはもういいや」という気分になったら、叔母さん(母の妹さん)に薦められたように、ハワイにでも行けばいい。とにかく、楽しむ。義務にしない。

僕は、人生経験が少ない。その少なさを使って、楽しむ。
Cimg1158(←ドブロヴニクにあった寿司屋の看板。とにかく何でもあるドブロヴニク。あまり上手くはないアーティストが住みついて、好き勝手に作品を描いていたのも分かる街。
怪しげな飲み屋もあったけど、飲み過ぎそうで、怖くて入れなかった。朝から歩き回って、フラフラだったからな。夜は、レストランでウイスキー一杯頼むのが限界だった。)


クロアチアを知ったのは愛知万博のときだから、8年まえか。「もう10歳若いときに行っていれば」という後悔は、成り立たない。その頃は、ツアーなんてなかった。結婚していて、窮屈だったしね。
春のツアーには、世界のあちこちを巡っている老夫婦もいた。僕には、そんな相手はいないし、そもそも経済力がない。じゃあ、どうすれば幸せになれるのか?

「客死」ってのは、いいなと思うよ。いつでも、どこかへ行く途中でいたいんだ。
目的地に着いたら、また次の目的地へ……クロアチアというのは、物理的な国というよりは、「心の在り方」であって。俺は、またあの気持ちになりたいんだ。あるいは、ずっとあの気持ちでいたいんだ。

たいした人間じゃなかった。成功したとは言えないだろう。でも、俺は幸せだ。
宝を手に入れたんじゃなくて、呪いがとけたんだと思う。苦労して宝を手に入れるのは、俺からすれば、幸せではないです。そんな呪縛から解き放たれることのほうが、何万倍も大事だよ。

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2013年5月16日 (木)

■0516■

5月も、半ばを過ぎました。ようやく、自分の時間割りで仕事ができるようになった。
「空いてる時間があれば、休まず原稿を書け」という人は、何か勘違いしている。そういう人に限って、こちらをコントロールしているつもりなんだろうけどさ……。


ひさびさに、原発・放射能の話でもしますか。

今年1月~3月の水道水の汚染値が発表されている()。
北海道や西日本が「不検出」だと、やっぱり、うらやましいものですよ。セシウム137だけ見ると、東京の方が福島県より高いぐらいだから。青森・秋田も不検出なので、いかに関東が汚染されているか、よく分かる。

で、俺は西日本産の食材を口にするよう、気をつけてはいるけど、その努力の結果がどうなるかは、正直わからない。健康被害なんて、起きないんじゃないの?と、楽観的になろうと努めてはいる。
(……と書いた翌日に、このマンションで孤独死しているかも知れないから「分からない」と言っているわけだけど。)
「ちょっとでも汚染物質の検出された食材を食べたら、確実に病気になるぜ」と思っているわけではない。こんなに汚染の因果関係がありありとしていて、選択の余地があるのに、わざわざ汚染食材を口にするのがアホらしい、情けないから口にしないのだ。

地域独占の傲慢企業がまき散らかした放射性物質を、「今までのように儲けたい」一心で、農家も卸業者も、高級料理店も場末のヤキトリ屋も、みんな揃って「安全安全!」という顔をしているのが、徹底的に気に入らない。
大人であれば、ちょっとずつ責任を分け合っているはずだよ。原発事故に対してね。
だけど、「安全に決まってんだろ、この放射脳がw」って連中は、単に、起きてしまった事態に対応するのが面倒かつ、責任を感じたくないだけだろ?

「めんどくさい」から、100ベクレルでも何ベクレルでも食べちまえ、食べさせちまえ……ってのが本音じゃないの?


原子力規制委員会が、「もんじゅ」の再開作業に停止命令を出した。
敦賀原発も、今のままでは廃炉になりかねない。――「原発がないと、日本経済が立ち行かない」「病院が停電になる、病人が死ぬ」と騒いでいた人たちは、どうすんの? 例によって何もしないの?

去年の5月5日、日本中の原発が停止した。動いたのは、関西電力の大飯原発が2基だけだったよね。しかも、関電は「電力需給とは関係ない」と前置きしていたよね。
あのときも、原発必要論者は、なぜ激怒しないんだろう?と思ったよ。だって、電力不足だから動かすわけじゃないんだもの。

だから、問題は、もはや原発という施設ではないんです。原発から出て、日本中に溜まりつづけている使用済み核燃料。そして、僕の家のベランダにまで積もってしまった汚染物質だよ。これらと、どう付き合っていくか、なんですよ。


クロアチア再訪のことばかり、考えている。
初日はザグレブに一泊するとして、ロヴィニ()に行ってみようかと思いはじめている。小さい町らしいから、一日あれば回りきれるだろう。ちょっとイマイチ感のある観光地のほうが、発見が多い気がする。

旅行記のサイトを見て回ると、「ルフトハンザ航空がオススメ」という。調べたけど、高い。僕の行ったツアーは、航空券・ホテル代・バス代、すべて込みで20万以下だった。
エールフランスが、まあまあ安いようだが、それにしても……二泊3日などと言っていないで、五泊ぐらいして来ようかなあ……。

40代後半は、過去の甘い思い出だけで生きていくつもりだったけど、未来のことを考えるのは、やはり楽しい。旅行資金用の口座も開いたしね(クロアチアのATMで使えるやつ)。

「あと24時間で死ぬ」と分かったら、俺はハイジャックしてクロアチアに飛び、アドリア海を見ながら息絶えると思うよ。

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2013年5月13日 (月)

■0513■

カートゥーンネットワークで『アイアン・ジャイアント』。10年ぶりぐらいに見た。
9ca573bb0eefbecb976c2558bfa15f50ボーイ・ミーツ・ロボット物は、最後にロボットが失われたほうが味わいが増すよね。『ガンヘッド』しかり、『ポケットの中の戦争』しかり。巨大ロボットは通過点にすぎない、というところがいい。
そして、必ず女性から「ロボットなんて、そんなバカなこと言ってないで」と説教されるシーンがある。巨大ロボットと出会うって、やっぱり勃起であり、精通なんだと思う。だから、ロボットは、納屋とか公園とか、男子だけの秘密の場所に隠されている。「女に理解なんてされて、たまるか」という気持ちってあるでしょ。「女子と遊ぶなんて、かっこ悪い」と思っていた時期は、誰にでもあると思う。
男子には、女性に対して秘密にしておきたい、恥ずかしくも誇らしい体験があって、それが「巨大ロボットと出会う」ドラマの意味なんだと思う。この作品が子供たちにではなく、大人にウケがいいのも分かる気がするね。

それはともかく、『アイアン・ジャイアント』は、「いかにして兵器と共存するか?」と問いかけてくる映画だ。銃さえ向けなければ、アイアン・ジャイアントは、決して自分から攻撃しない。ところが、武装を放棄するわけではない。それが現実的かつ知的な態度だと思う。
「武器を捨てれば戦争がなくなる」発想は、ファンタジーでしかない。武器は持っているけど、戦争はしない。それが最も賢い生き方だ――というのも、なかなか女性に理解してもらえない気がする。「戦わないなら、武器なんて捨ててしまえばいい」と、多くの女性は考えるだろう。

……というより、女性的な考え方を、どこかで受け入れないと、包括的な視点は得られない。『アイアン・ジャイアント』の主人公も、ロボットを失ってからは、お母さんと仲良くやっていたからね。


寝たり起きたりしながら、『続・激突!/カージャック』もムービープラスで見たけど、これも抜群に面白かった。どこか、ニューシネマの曖昧な空気が残っている。
……それにしても、一週間に一本以下しか原稿のなかった今年初めごろが、懐かしい。今は3誌で、複数の記事を平行させている。打ち合わせを行ったムックを含めると、軽く10本を越えてしまう。

やっぱり、「さて……今日は、映画でも見に行くか。それとも、ジブリ美術館のあたりまで散歩しようか」と考えるのが、平和な状態であって。


6月に、トーク・イベントをやります。今度は、都内です。もう東京でイベントをやる必要って、あまり無いんだけど、安くすませようと考えたら、都内になってしまう。
これも、忙しくならないよう、ゆったりやりたいんだけど。

™ & © Warner Bros. Entertainment Inc.

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2013年5月 9日 (木)

■0509■

これから10日間ほど、落ち着いて映画を見られない日々がつづく。
昨夜、フランス映画『フランドル』を借りてきたが、もっと温かい映画が良かったかも知れない。

最近、人生には3ラウンド目まである――と考えるようになって、自分は今、その準備をしているのだと思う。ずっと続けてもいいであろうことを、あえて終わらせているのは、第3ラウンドで身軽になるためだ。
それは損でもないし、得でもない。まして、「景気が回復すれば、また仕事が戻ってくる」式のファンタジーとも無縁である。

クロアチアにツアー旅行したのが、直接的なキッカケだった。
Cimg1100(←ドブロヴニク城壁、3月26日。)

46年間も、たまたま生まれた国に引きこもり、対人恐怖に悩みつづけ、できるだけ無残な死を望んでいた自分が、やっと青空の下に出られた。
それは入り口ではあったが、しかし、出口はない。帰ってくる必要などない。

「本当の自分」などない。あるがまま、その日に為したことが全てだ。


僕の第1ラウンドは、そうとう悲惨なものだった。大学卒業間際、こっぴどい失恋をした。心療内科に通わねばならないほど、ダメージは大きかった。
卒業から一年後に一人暮らしを始めたが、家賃を滞納するほど、生活に困窮した。

模型を作って金を得てはいたが、早々と腕の衰えを感じていた。
そもそも、自分は20代のうちに映画監督になるべきだと考えており、そのための努力が、よけいに僕を疲弊させた。夢想するだけではなく、具体的に映画会社にコンタクトしてしまった。
今の仕事に就いてから、無数の成功者と出会った。彼らから学べるのは、才能ある者は、徹頭徹尾、才能に見合った努力だけをしている――ということだ。
つまり、磨けば光る部位を磨いている。いくら磨いても光らない部位には、最初から触れようともしない。早々と、あきらめる。その「見切り」こそが、才能なのである。

自分を「見切れ」ない人には、第2ラウンドは訪れない。光りもしない玉を磨きつづけて、歳だけをとっていく。
そういう者は他人を妬むばかりか……、やがては自分をも憎悪するようになるんじゃないだろうか?


インターネットは、原則的に、実生活の報告の場だと考えているが……、「【急募】レイシストの俺を、レイシストじゃなくする方法」には、ひさびさに呆れはてた。→

新大久保で「在日は死ね」、鶴橋で「大虐殺しますよ」と叫んでいる自称レイシストは、みんな同じような考えなのかね? 問題は、国家でも民族でもない。いい歳をして自己実現できず、それゆえに恋人もできず、だからこそプライドと憎悪で、自分を鎧わずにいられぬ人々……。

僕の母は、「殺すぞ、殺すぞ」と脅されつづけ、本当に殺されてしまった。
新大久保や鶴橋で「ぶっ殺すぞ!」と気持ちよさそうに叫んでいる、しょせん本気でない皆さん。本当に世間をイヤになるのは、血が流されてからだよ。

自分に誇るべきものがない人は、自分の生まれた場所・地域の自慢を始めるという。
ま、そこに生まれるだけだったら、何の苦労もないわけで。僕だって、ただ日本に生んでもらったから「日本人です」と言えてるだけであって、そこには努力も特権もないわけだ。
だけど、とうとうポケットが空になった人間は、「私は日本人だ」ってプライドの持ち方しかなくなる。自分が一文無しであることを自慢するしか、なくなるんだよ。

――僕は、自分の道を探す。自分だけの自由と幸せを探す。栄誉と無縁の美しい場所で、いつかひっそり死ぬために。

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2013年5月 6日 (月)

■0506■

徳島から戻りました。「マチ★アソビ Vol.10」でお会いした皆様、どうもありがとうございました。
特に、最終日に思いつきでねじこんだ四番目のイベント、『藤津亮太と廣田恵介のオヤヂ酒場 徳島旅情篇』。あんなヘロヘロの与太話にお付き合いいただき、最後には「すだち酒」と「鳴門金時芋せんべい」まで、お土産にいただいてしまって……。

初めてマチ★アソビでトークをやったのは、氷川竜介さんと一緒でした。2010年の10月ですDsc01565ね(写真参照)。その翌年、大河原健プロデューサーと明治大学のレナト・リベラ・ルスカ講師を呼んで、やっぱり眉山山頂で(2011年10月)。
僕がチョーシこきはじめたのは、去年の春の『ライター/編集/広報、3つの視点で語るアニメ出版業界ぶっちゃけクロストーク』(GIGAZINEさんの記事では、そういうタイトルになってます)ですね。

他の出演者の方にとっては、あの記事は問題アリだったようで、それ以外の事情もあって、今年は取材がなくなったんです。

その代わり、僕が主催した『鋼鉄のヴァンデッタ』上映&トークショー、『廣田恵介が聞く! フィギュア・メーカーの デザイナーって、 どんな仕事?』は、たとえアルジャジーラが来ようとも、全メディア取材ウェルカム状態だったので、後者は、ニコニコ生放送でぜんぶ中継したっぽいね。あと、BSフジの取材も入っていましたね。


『ヴァンデッタ』トークの方は、来場者に「課題を残す」ことがテーマだったので、ちょっと重苦しかったかも知れません。

その反動というわけではないけど、『フィギュア・メーカーの~』のほうは、ゲストのべっちんさんと、中古屋やヤフオクで必要な旧キットを買いそろえ、「さあ、歴史に残るイベントにしよう」と息巻いていましたからね。
……そんなこと考えちゃ、いけないんだと思うね。「歴史に残そう」なんて不純なことは。でも、最初は5人ぐらいだったお客さんが、いつの間にか30人ぐらいに増えて、ボードウォークを埋め尽くすように、扇状にガーッと広がっていく様は、圧巻でした。
あの夢のような光景は、壇上の僕とべっちんさんしか、目撃していない。

と同時に、「もう、これ以上は無理だ」と思ったね。『フィギュア・メーカーの~』より受けるネタは、もう僕の中には残っていない。べつに著名人ではないから、ネタで勝負するしかないじゃないですか。
終わってから、いつも取材してくださるGIGAZINEさんが「今回は、特に面白かったー!」って。いつもは、サッと帰って、数日後に記事UPなんですけどね(今回も楽しみにしてますよー)。
それと、BSフジの「ジャパコンTV」さんが、「インタビューさせてください!」って。……嬉しかったし、マチ★アソビの魅力を言葉をつくして語ったけど、「俺なんかに聞くのは、どこか間違っている」と内心、思ってしまった。もっと、下心のない人に聞かないと。

帰り際、「廣田さん、3日間、いらっしゃるんですよね?」と話しかけてきたお客さんがいて。「じゃあ、まだ面白い話、聞けますよね?」って……それはもう、プレッシャーですよ。
だから、俺は、「へし折れよう」と思いました。「立つ鳥、あとを濁そう」って。


翌朝、新町公園で『翠星のガルガンティア』のトークを待っていたら、藤津亮太さんが「あれ、廣田さんじゃないですか」って来たとき、「チャンス到来」と思ったね。「氷川さんで始まって、藤津さんで終えるってのは綺麗じゃないか!」って。
氷川さんは、仕事としてマチ★アソビに来たので、俺とのトークなんて、オマケみたいなものだったんです。じゃあ、お二人には失礼な言い方だけど、藤津さんも仕事で来た(『 「さらにその先へ、アニメCGのミライ  マチアソビ編」トークショー』出演)なら、オマケに付き合ってよ、とお願いしたわけです。

で、急な企画だけど、ufotableさんに電話したら「オッケーです!」って即答だし。藤津さんと前夜にお好み焼き屋で打ち合わせたら、「おっぱいをテーマに語ろうよ!」とか言うし。
それで、あんなグダクダな雑談を、90分もしてたんですけどね。途中で帰ってしまったお客さんには、本当に失礼をしました。
でも、僕も辛かったですよ。もう、本当にネタがないの。離婚とキャバクラぐらいしか残ってない。だから、藤津さんの胸を借りたし、彼は貸してくれましたよね。それで、「俺は、藤津さんが好きだ!」って言ったんだよな。

そして、もう「マチ★アソビ」に来ないことにした理由は、いろんな人々の善意とか寛恕とかに甘えてる分際で、「廣田さんのトークは面白いです」って言われてしまって、そこで気分良くなっている自分を、イヤになったから。
確か、「マチ★アソビに依存している自分が、イヤになった」って言ったはずだよ。そしたら、藤津さんらしく「廣田さんなら、そう言うだろうね」。だけど、「一度離れてみたら、また良いアイデアが出るかもよ?」「前向きになれるかもよ?」みたいなこと、言ってくれるわけ……。

年に二回、徳島に飛行機で行って、好きなこと喋って……僕ほど、マチ★アソビを満喫した人間はいないと思うよ。もともと、人前で話すのなんて、苦手だったんだから。
最初に誘ってくれた近藤光プロデューサーと僕のトークを聞いてくれたすべてのお客さん、同じぐらいに感謝してます。徳島駅から新町川までの空気、空、水、光、すべてにね。

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2013年5月 2日 (木)

■0502■

いよいよ明日から、徳島県で「マチ★アソビ vol.10」()、スタートです!
私は、明日3日のみ、以下三つのイベントに出演します。

【3日(金)スケジュール】
アニメ編集・ライター クロストーク
13:00~13:30 東公園ステージ

『鋼鉄のヴァンデッタ』上映&トークショー
14:00~15:00 ufotable CINEMA
ゲスト:玉村仁(監督・プロデューサー)、高橋裕一(キャラデ・総作監)

C179上映自体は20分ぐらいなので、残り40分で、ディスカッションが出来れば……と思っています。豪華スタッフ・キャストでつくられたこのアニメ企画、今後どうするのがベターなのか?
どうせ、満席でも30名ですから、みんなで参加して、言いたいことを言い合いましょう!

廣田恵介が聞く! フィギュア・メーカーの デザイナーって、 どんな仕事?
15:30~16:15 しんまちボードウォーク パラソルショップ
ゲスト:べっちん(某フィギュア・メーカー、パッケージ・デザイナー)

パラソルショップのどの辺りを使わせてもらえるのか、まだ分からないのですが、たいした距離ではないし、自力でたどり着いてください。それぐらいの気力がないと、このトークには着いてこられません(笑)。もちろん、場所が決まっていたら、早めに告知はしますけどね。
あなたがフィギュア好きである必要は、まったくありません。「とにかく、面白い、新しい話を聞きたい」人全員が対象です。

とにかく、世の中、クソッタレなことが多いし、日本にはロクな大人がいないとは思うけど、「マチ★アソビ」ではイヤなことは忘れて、これから先を生きていく力を分け合いましょうよ。
僕も、本当に思ったことしか言わないし、笑いたいときには笑います。肉声にまさるエンタメはない、「人と話す」こと以上の楽しみはないですよ。
僕の話していることがつまらなかったら、途中で帰ってもらっていいしね。意見があったら、その場で、どんどん聞かせて欲しいし。

3日のイベントにしか出演しないのに、ちょっとしたトラブルで、6日の午前まで徳島にいます(なので、ブログ更新はお休み)。
町で見かけたら、声をかけてください。


イスラエル・フランス・アメリカ合作の『迷子の警察音楽隊』。
328959view001エジプトからイスラエルへ派遣された警察音楽隊が、現地で迷い、砂漠の田舎町で一泊するという、ただそれだけの映画。
ひとつひとつのシーンが、したたる水滴のような点描で、飲み下すのがもったいないような、洗練された映画。

深夜の公園のベンチで、イスラエルの食堂の若い女主人が、音楽隊の隊長と話している。
「人生でいちばん大事なのは、釣りだよ」と、年老いた隊長は言う。「昔は、釣った魚を、女房に調理してもらったもんだよ。……今は、釣っても、逃がすようにしているけどね」。女主人は、隊長の顔をジッと見ている。「亡くなったのね」。
その短いやりとりの中に、数十年の異国の人生が、ギュッと詰まっている。こういう映画を見なくては、ダメだ。

そして、ラストで音楽隊が演奏するエジプトの曲が、涙が出るくらいロマンティックで、すがすがしい。

夜中に、見るべき映画の一本もないなんて、それは寂しい人生だ。
では、徳島でお会いしましょう。

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