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2013年4月20日 (土)

■0420■

マチ★アソビでのイベント、「廣田恵介が聞く!フィギュア・メーカーの デザイナーって、どんな仕事?」が告知されました()。
これはねえ……たぶん、こういう形で立体物を語るイベントは、史上初かも知れない。いま、荷造りをどうしようか思案しています。
いずれ、また詳しく告知します。


旧ユーゴスラビアが、まだ内戦中だった1995年につくられた『アンダーグラウンド』。2011年にリバイバル公開された関係で、TSUTAYAでは「準新作」扱いで並んでいた。
B0176154_15786_2第二次大戦から、(撮影時に進行中だったはずの)ユーゴスラビア分裂までを描いており、とにかく破天荒で生命力にあふれた映画だった。三時間近い大作だが、とにかく大胆不敵、圧倒的。僕らが、いかにハリウッド的な、神経症的な解像度の、CMみたいな映像に飼いならされているか、こういう映画の匂いをかぐと、よく分かる。

(チェコスロヴァキアの『アデラ/ニック・カーター、プラハの対決』が、こんなテイストだった。あの頃は、とにかく、どんな国のどんな映画でも見ていた。)

ナチス・ドイツによる空爆から、パルチザンの英雄として有名になっていく主人公と、その親友。彼らの後ろには、なぜかブラスバンドがつきまとっており、いつも派手な音楽を演奏している。
主人公は、恋人をナチスの将校フランツから奪い返すため、演劇の上演中に舞台俳優になりすまし、彼を射殺する。二度目は医者に化けて殺すが、最終的に、フランツは「第二次大戦中のユーゴ」を再現した映画の撮影中、本物と間違われて射殺される。なぜなら、実際のフランツ役も、劇中劇のフランツ役も、同じ俳優が演じているからである。

終始、虚実がひっくり返ったような浮遊感に包まれた映画。
(そもそも、フランツってユーゴ占領軍の司令官で、実在の人物らしいんだけどね……。貴重な記録フィルムに主人公を合成したり、とにかく恐れを知らぬ映画。)


タイトルの「アンダーグラウンド」とは、レジスタンスの地下武器工場のこと。第二次大戦後、冷戦を経て、何十年ぶりかに地上へ出た主人公の弟は、今度は、仲間同士が殺しあう内戦の中に放り出されてしまう。
映画はこの辺りから、だんだん笑えなくなってくる。弟は、大戦中に動物園から連れてきたチンパンジーと、地下で再会する(地下では、時間が止まってしまっているかのようだ)。今ではクロアチア軍の司令官になった主人公の親友も、地下工場の井戸で、別れてしまった息子と再会する。やがて、かつてのように仲間が集まり、結婚式が始まり、ブラスバンドが元気よく演奏をはじめ……。
(とてもじゃないがラストを書けない映画というのは、こういうのを言うんだよ、「ネタバレ注意」とか書いて悦に入っている諸君!)

監督がセルビア系のせいか、ラスト近くに登場するクロアチア軍人は、冷酷無比に描かれている。この辺りだけ、ちょこっとリアリズムになるんだよな。
でも、それが作家の歴史観というものなのだろうな。製作国には、フランス、ドイツ等に並んでユーゴスラビアが名前を連ねている。つまり、製作中は、まだユーゴは存在していたわけだ。


血で血を洗うように、隣人同士が殺しあった国の歴史を知ってしまうと、新大久保や鶴橋で「朝鮮人ども、虐殺するぞ」とわめいている連中は、単に自己愛が満たされてないだけなのだな……と、乾いた気持ちになる。
私の母を殺した男のように、自分のつまらない人生の責任を、他人になすりつけているだけだ。

今日は、地元で反原発デモがあった。一年前、日本中の全原発が停止した。その後、「電力供給とは関係ない」と前提したうえで動いた原発は、たったの2基だ。
やはり、本質に触れていない。日本の原発は、そもそも電力需要に応じて導入されたのではない。『原発と権力』か『戦後史の正体』あたりを読んでほしい。
原子力規制委員会の新基準が適用されれば、いくつかの原発は廃炉に追い込まれるだろう。いまや、「原発がなければ経済が……」という人すら、減ったように思う。

ところが、廃炉作業中でも、放射性物質が漏れる……。(
問題は、原発という施設の稼動なんかより、そこから出る放射性廃棄物だ。あるいは、僕の家のベランダから出た3,000Bq/kgの汚泥のような、あちこちに降り積もった汚染物質。
これらを「見なかったこと」「なかったこと」にしておくと、いずれ、引き返しがつかなくなる。僕が本当に「怖い」と思うのは、みんなが内心では「ヤバイよなー」と思いながら、すっかり黙り込んでしまうことだ。

問題は、つねに自分が目撃しているのであって。間接的だろうと、偏向していようと、問題を知っているのは、いつも自分自身なのであって。
なのに、ネットの普及もあって、「俺はさておき、アイツはどう責任をとるんだ?」と他人のことばかり、みんな気にするようになってしまった。

(C)CIBY2000-PANDORA FILM-MOVO FILM

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